春宮の家に泊まりに行く柊迫
部活が終わって帰る途中、ちらりとスマホを見ていた臣さんに今日泊りに来いよと云われた。多分、用事かなにかで家に帰れないとでも親から連絡があったんだろう。……付き合ってるんだし、どういう意味が込められてるか解らない程鈍くはない。臣さんがどうしてもっていうなら、行ってもいいよ、ときっと恥ずかしさから赤くなってる頬を隠すように顔を逸らして答える。にやにやと笑う気配を感じて、五月蝿いと臣さんを小突いた。
着替えを取りに一旦臣さんと別れて家に帰ると母さんに今日は友達の家に泊まると伝えて、制服から着替え荷物を持ってまた家を出る。昨日、臣さんちはカレーだったらしくて夕食はうちで食べろよ、と云われたので明日の朝ご飯用のパンと飲み物を買いにコンビニに寄る。メッセージアプリを開き今から行くと連絡を入れてスマホをポケットに仕舞うと、臣さんちに向かった。
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「臣さん、上がったよ」
「おう……ってちゃんと髪乾かせって何時も云ってんだろ」
夕食を済ませると暫くだらだらとテレビを見て過ごし、そろそろ風呂に入るかとなったので順番に入る。髪をタオルで拭きながら臣さんの部屋に戻ると、ベッドを背にスマホを弄っていた臣さんが顔を上げおれを見るなり顔を顰めた。タオルドライで充分でしょ、と返すと臣さんは溜め息を吐きながら立ち上がり、おれの手を掴んで引っ張る。ベッドに座らされると、ドライヤーを手にした臣さんによって髪を乾かされた。……いいって云ってるのに臣さん、毎回こうやって乾かしてくるんだよね。もう慣れちゃったけど。
程よい温風に眠気を感じつつ暫くされるがままになっていると、軽い音と共に風が止まり終わったぞと声を掛けられる。眠くてん、とおざなりに返せば項に痛みが走った。え、なに? と振り向こうとする前にまた同じ場所に痛みを感じて、噛まれたのだとやっと理解する。待って、と上げようとした声は這わされた舌によって掻き消された。ぬるりとした感触と共に軽く吸われる。当然、眠気なんて吹っ飛んだ。唇を噛んで声を殺すけど、臣さんはそれが気に食わなかったみたいで今度は首に舌が這った。そのまま痕を付けるように歯を立てられ、それを何度も繰り返されて我慢出来ずに声が洩れる。
あ、だめだこれ、もう臣さん完全にスイッチ入ってるじゃん。
ぐるり、と視界が回って背中にシーツの感触を感じると同時に視界に影が差す。爛々とした眼が、おれを貫いてる。
「――侃、」
「……うん」
煌々と輝く眼から顔を逸らして、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でおれは呟く。……だからはやく、何時もみたいに続き、すればいいじゃん。
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スウェットの中に手が入ってきて滑らす様に肌を撫でられる。その手つきはまるで焦らすようで、行為に慣れた今ではもどかしい。早くしてよ、と訴えるように睨み上げれば臣さんの喉がごくりと鳴った気がした。それからスウェットの下を下穿きごと脱がされ、勃ち上がりかけたおれのものに手を伸ばすとゆるゆると扱くように動かす。その緩やかな刺激に、あ、と声が洩れた途端に先端を指で擦られてびくりと腰が跳ねた。
「ふ、ぅ…ッ、んんっ」
「だから声抑えんなって」
手の甲で口を塞いでいたら不満そうな臣さんに剥がされて片手でシーツに縫い付けられる。もう片方の手の動きはそのまま、時々爪を立ててくるからその度に声が洩れた。おれがそれに弱いと知ってて態とやってるでしょ……! 悔しくてキッと睨めば、臣さんはにやにやと笑うだけだった。
軈て限界に達しておれは精を放つとぐったりと脱力する。はあ、と荒い息を整えているおれを尻目に臣さんはおれの吐き出したものを指に絡めて後ろに這わせた。ん、と声が零れると同時に指が入ってくる感覚に襲われる。ゆっくりと、探るように指を動かされるたびにぞわぞわとしたものが背中を這い上がった。指が二本、三本と増えるたびにぐちゃりと粘着質な水音が大きくなって、おれは羞恥心からぎゅっと目を瞑る。
そうやって暫く中を弄られてからずるりと指が引き抜かれた。喪失感に襲われていると熱いものが押し付けられた感覚がする。あ、と閉じた目を開けた瞬間、臣さんのそれが一気に奥まで入り込んできて、その衝撃に目がちかちかした。
「ぁ…ッ?! っ、あ、ああぁ…っ!」
「……お前ほんとここ弱えよな」
「っ…だ、れのせいだと……ッ、ぅあ!?」
にやにや笑いながらそう云う臣さんに思わず云い返そうとするけどぐりっと奥を突かれて遮られた。臣さんは執拗にそこを突いてきておれの理性をどろどろに溶かしてくる。
「ああ? 俺のせいだって?」
「っ…ぁ、ああ…ッ、ぅ…っそう、でしょ……ッ、」
獰猛に眼を細めながらへえ、と口の端を吊り上げて、臣さんは笑った。その顔にあ、まずいかもと思わず待って、と呟いたおれの顔は多分青褪めてた。けど当然臣さんが止まるわけもない。今まで穿ってたそれをぎりぎりまで引き抜いたかと思えば勢いよく最奥を突いてきて、おれは堪えきれず声を上げた。おれの反応に臣さんはぺろりと自分の唇を舐めるとさっきのを繰り返す。その度に声が洩れて、おれはシーツを握り締めた。
「……っは、なら責任取ってやるよ」
え、とおれが理解するより早く臣さんはおれを抱き起こすと膝の上に乗せる。さっきより深くそれが入ってきて、おれは臣さんの背中に腕を回してしがみついた。おれの反応に気を良くしたのか臣さんは吐息混じりに笑いながら下から突き上げてくる。限界に近かったおれが耐えれるはずもなく、おれは呆気なく精を放った。……けど、臣さんは止まらない。ずっと下から揺さぶってくる。イったばかりの躯には強すぎる刺激でおれは臣さんの背に爪を立てながらまた達した。だけどやっぱり臣さんは止まってくれない。
「ひ、ぅ、ッぁあ! ま、まって、まだイって……!」
「イってる時に突かれんの好きだろ」
「ぁ、ぅ…ッ! すきじゃ、なっ……ぁっああ!」
そんなわけない、と否定しようとした瞬間思いっきり奥を穿たれて遮られた。目の前がちかちかする。嘘つくなってと低く笑う臣さんは楽しそうで、おれが否定しようとするたびに何度も突き上げてくるからおれは言葉が続かない。肯定以外認めないってほんと臣さん、暴君……!
「ぁ、あ…っ! …ッ、も……っ、…ッすき、すきだか、ら……!」
背中に立ててる爪に力を込めながら必死に頷けば臣さんはやっと素直になったかとでもいうように口の端を吊り上げて、一際強く穿ってきた。当然それに耐えられるわけもなくて、おれの視界は白く染まる。その直後臣さんも達したようでゴム越しに熱を感じた。
もうほんと無理、限界。
肩で息をしながらベッドに倒れ込むように身を沈める。ぼんやりと天井を眺めていると中に入っていたものが引き抜かれる感覚がした。疲れた、眠い……、と倦怠感から襲ってくる眠気に身を任せようとしたところで再び熱が押し当てられ、え、と目を開けて臣さんを見上げる。
「え、ちょっと、臣さん……?」
「あ? 俺はお前と違ってまだ一回しかイってねえんだよ」
「うそでしょおれもう限界なんだけど……!?」
思わず逃げるように後退るけど直ぐに引き戻された。だからもう限界だって云ってるじゃん……!
せめて休ませてよ、というおれの言葉は臣さんに口を塞がれて消える。……明日動けなくなったらどうしてくれるの、と思いながらもおれは諦めて力を抜いた。
***
翌朝案の定足腰が立たなくなったおれはベッドから動けず、そんなおれを甲斐甲斐しく世話する臣さんがやけに機嫌が良かったのは云うまでもなく。おれは臣さんに枕を投げつけた。