この恋を埋めるの、




やらない後悔よりやる後悔と云うけれど。確かにそうだなと思った。けれど、己は臆病だったのだ。否定されるのが怖かった。今の関係を壊したくなかった。だからそれを押し込めて良き友人として接するよう心掛けた。決して口に出さぬよう、態度に出さぬように。
「あーあ、」
自分は臆病だった。否定されるのが怖かった。今の関係を壊したくなかった。けれど、けど、自分以外の人間にあんな顔で微笑んでいるのを見るのは、
……だから、決めた。

***

「これでよし、と」
「なあ、旅人。本当にやるのか……?」
フリンズがイルーガほかのひとを恋慕の炎を宿した目で見ていたのを偶然見てしまった翌日。パイモンに見守られながら掘った穴の深さを確認して満足気に呟くと、引き止めるような声が聞こえた。
「何云ってるのパイモン。ここで止めたら掘った意味ないじゃん」
「け、けど……お前その宝石気に入ってただろ?なんでまた急に埋めるだなんて……」
「……だから、だよ」
フリンズおもいびとを連想させるような色合いのそれは、確かに気に入っていた。金に糸目つけずに商人から即決で買ったモノだ。
でも、この恋を殺すと決めたから。だから埋めるのだ、土の中に奥深く。
「さようなら。……好きだった」
パイモンに聞こえないよう、小さくそう呟いて宝石を収めた箱を閉じる。穴の中にそっと箱を置いてゆっくりと土を被せていった。そうしてまた数分かけて掘り起こした土を全て戻し終えた頃にはすっかり日が暮れていた。
「よし、やっと終わった。お待たせ、夕食食べに行こう」
「お、おう……」
まだパイモンは納得いってないらしい。浮かない様子の彼女に思わず苦笑する。
「いいんだってば。……でもさ、パイモン。さっきの事は、俺とパイモンだけの秘密ね。誰にも云わないで」
俺が、おれを埋めたことを。