もしもの話



墓場まで持っていくから、赦してねIFもしもの話



「全く、貴方も無茶をされますね。偶々通り掛かったから良かったものの……」
「御免フリンズ、助かった。有り難う」
湧き出たワイルドハントの掃討が完了し、全ていなくなった事を確認して取り出していた武器を仕舞うさなか、戦闘中に駆けつけてくれたフリンズが呆れを滲ませた声でこちらを振り返った。
「無事なのは良かったです。ですがもし僕がいなかったらどうするつもりだったのですか」
「はは……本当に御免ってば」
彼の指摘は尤もだ、フリンズにはかなり迷惑をかけたと思う。だから空としてはただ謝るしかない。
冒険者協会からの依頼が終わって帰る途中のことだった。突如ワイルドハントが湧き出る瞬間に遭遇した。ただ、その湧き出た位置的には見つからず通り抜けることも可能で、本来なら気づかれないよう通り抜けライトキーパー達に知らせるべきだったのだろう。けれど、敢えてそれをしなかった。数的に己の力だけでも余裕だろうと思ったから。実際、最初は余裕だった。だが途中から数に押され、囲まれてしまった。
あ、これヤバいかも。疲労からくる倦怠感とちらつく視界にそう悟った時、空とワイルドハントの間に割って入った影があった。それがフリンズだった。彼のお陰でこうして何とか切り抜けられたのだ。
「なら、傍で無茶しないか見張っててよ」
何となく云ってみただけの、軽い気持ちだった。なんてね冗談だよと続けようとした次の瞬間、構いませんよ、と聞こえてきた声に思考が停止した。
「……え?」
「その代わり、空さんも約束してくださいね。僕の傍から離れないと」
「え、その、え……?」
思った反応と違う。予想外すぎて先程云おうとしていた言葉が出てこない。……え、冗談だよね?
「それで、お返事は?」
「あ、うん……、……!?」
妙な圧を感じて思わず頷くも、直後どうやら本気で云ったらしいことに気づいてしまった。え!?と驚きに目を瞠りフリンズを見遣れば、そこには何時もの穏やかな笑みを浮かべた表情がある。
「ふふ、約束ですよ。僕の傍に居て下さいね。――ずっと、ね」