#5 キスをする

「キスをする部位によって意味が変わるんだって、梅雨ちゃん知ってた?」
「そうなの、知らなかったわ」
「この雑誌に書かれてたの」
「髪の毛へのキスは思慕、瞼へは憧憬、唇は愛情……色々あるものね」
「凄いよねぇ、28もあるんだって! 知らなかった」
「キスっていえば、口付けかしら……まだ私たちには少し先の話になるけど、…いつか誰かとっていう憧れはあるわ」
「そうだね…今はヒーロー活動を学ぶことで手一杯だけど、いつかはねって思っちゃう」
「ケロケロ、名前ちゃんはそういう相手はいないのかしら」
「……んー、わかんない」
「いつか話してくれた憧れの人は?」
「ひぇ!? つ、梅雨ちゃん??」
「その人にもし、口付けるなら名前ちゃんは何処にするのかしら?」
「つ、梅雨ちゃんぐいぐいくる」
「ごめんなさい、お友達とこういう話をした事がなくって…少し気分が昂ってしまったみたい」
「ううぅ、か、可愛いから全然OKです……」
「無理しないでね、名前ちゃん」
「無理はしてないけど……ちょっと照れくさいかな〜」
「ケロ、可愛いわ」
「ほんとに照れる……」
「その人のことが本当に好きなのね」
「……うん、そうだね。もし、彼に口付けするとしたら、私は、たぶんこの中から選べないや」
「……全部ってことかしら」
「うん。全部、私の気持ち」
「名前ちゃんの気持ち、その人にも伝わると良いわね」
「……うん、そうだったら…良かったなぁ」
「…名前ちゃん?」
「んーん、なんにもないよ〜」
「………」
「あ、私が梅雨ちゃんにキスするならほっぺかな!」
「……ケロ、親愛ね。嬉しいわ」
「梅雨ちゃんのほっぺふくふくでキスのしがいもありますし!」
「ふふふ。私が名前ちゃんにキスするなら、そうね……名前ちゃん、少し、お借りするわ」
「へ」
「−−−」
「、っ、つ、梅雨ちゃん??」
「……私が名前ちゃんに口付けるなら、コメカミかしら」