#10 獣耳がはえる

「はぁ……」
「…………」
「相澤先生から、1日だけの個性事故とお聞きし、一安心はしたのですが……半猫化……しかも対話は不可能ということですし……見た目は名前さん、そのもの、なんですが」
「にゃー……(ごめんね?)」
「…くっ、」
「……にゃ?(ん?)」
「いえ、こんな気持ち今は抱いてはいけないと分かっています……分かっているのですが……」
「にゃー?(百ちゃん?)」
「〜〜〜か、可愛らしすぎますわ!名前さん!!」
「に゛ゃぁ(ぐぇ、おっぱいが)」
「なんですのこの獣耳は!?ひゃっ、……こ、この耳は動きますのね!!?さ、触っても……よろしいんでしょうか……?」
「にゃー(んー)」
「頭をこちらに差し出すこの体勢、宜しいのですか……!? 」
「にゃお(どーぞ)」
「で、では、お言葉に甘えて……あ、暖かいのですね……」
「……にゃ(……あー、まって)」
「手触りもふわふわしてて……」
「………に(……これは、あれだな、)」
「はっ!……人の耳は今の時点では無くなっていらっしゃるみたい……不思議ですわ……音は聞こえづらかったりするのかしら……猫と人と聞こえ方の違いが分からないので、ご不便がなければよろしいのですが……」
「…………」
「それにしても、ふふ、ぴくぴく動く耳を見ていると……つい、ずっと触れていたく感じてしまいますわ……」
「…………」
「あ、今もピクっとなりました!……って、名前さん? どうなさりましたか、お顔がすごく赤いですわ」
「〜〜〜!(この無自覚ド天然もこわい……!)」