#16 添い寝

「あー、珍しい組み合わせ発見」
「あ?」
「お、どうした、苗字」
「やー、変な夢見てしまって、ちょっと寝れなくなったから下降りてきたら、二人いたからさ!構ってもらおうと思って!」
「餓鬼か」
「餓鬼じゃないです。というか、どうしたの? 2人で居るの珍しいね」
「補講の座学、分かんねぇとこあったから爆豪に聞いてた」
「あ、そうなんだ。補講、お疲れ様です」
「おー。サンキュ。にしても、どんな夢見たんだ?」
「え!?あー、えっと、」
「…………」
「そ、その、皆で、……ぼ、冒険をしてたんだけどさ!」
「おう」
「…………」
「気付いたら私以外居なくなっててさ!いやー、ちょっとビックリっていうか!みんなどこ行っちゃったんだーっていうか、えっと、……」
「…………アホくさ」
「は。おい、爆豪」
「しょうもねぇ。ンなこと付き合えるか」
「しょうもねぇって……おい、どこ行くんだ、爆豪!」
「わ! 待って待って、轟くん大丈夫だから」
「いや、でもあいつ今のは失礼すぎるだろ」
「大丈夫、爆豪のあれはいつもの事だし、ね?」
「…………わかった」
「ほら、爆豪も補講行って疲れてるし。私がちょっと気遣い不足だった。ごめん、なんか変な空気にしてしまって」
「いや、俺はいいけど……苗字」
「ん?」
「空元気、しなくていいぞ」
「……え」
「なんか……笑い方、変だ。お前」
「失礼だなぁ〜轟くん。名前ちゃんはいつもこんな笑い方ですよ!」
「茶化すな」
「ちゃ、茶化してはないよ」
「それ、お前の悪い癖だぞ」
「…………」
「寂しくなって降りてきたんだろ」
「さ、寂しくは!」
「あ゛〜〜〜も〜〜!!!」
「ンぶっ!?」
「お、爆豪」
「いつまでもビービー喚くんじゃねぇ!!テメェのンな顔みたら誰でも分かるわ、バカか!」
「痛ったぁ、なにこれ……」
「掛け布団だな」
「お前は寂しいの一言も喋れねぇ無能な口しかついとらんのか?!」
「無能な……くち……だと」
「それ。苗字、ダメだ」
「うっ……」
「おいコラ、無能女、ちゃんと言うことあんだろ」
「…………」
「苗字、聞いてやるから」
「……………あ、あのさ」
「ンだよ」
「み、みんな居なくなって、怖かったから」
「おう」
「………そ、そばに居てください」
「…はぁ」
「ようやくだな。苗字は回りくどい」
「ご、ごめん、−−!? わ、ちょ、髪ぐしゃぐしゃなるって、ばくごー!!」
「んと、めんどくせぇ女。最初っからそう言いやがれ」
「苗字が安心するまでそばに居てやる」



「どうせ、明日は休みだからソファで寝てもいいよな」
「てめぇは帰れ、舐めプ」
「俺も掛け布団取ってくる」
「聞いてねぇな!あぁ!?」
「あ! 私も、取ってくる」
「待て」
「ぐぇ」
「てめぇはいい。3つもあったら邪魔くせぇわ」
「そ、そうか」
「てか、お前真ん中な」
「え」
「は??俺と轟で並んで寝ろってか?」
「あー、それは……うん、ごついね」
「俺もそれは嫌だな」
「あ、轟くん、おかえり」
「おう、ただいま」
「帰ってこなくて良かったけどな」
「苗字、爆豪まだはしゃぎ足りねぇらしいから、先に寝とくか」
「え!?」
「だぁれがはしゃぎ足りねぇだと!?」
「ほら、苗字、布団温いぞ」
「無視してんじゃねぇよ!……たく、おら、てめぇもボサっと突っ立ってんじゃねぇ」
「は、はい。……えっと、お、お邪魔します……?」
「他人行儀だな」
「いやだって、これは、照れくさいというか……」
「ぶつくさうっせぇ。轟、もっと詰めろ」
「そうだな」
「え、え、え、ち、近い!」
「寒いんだよ我慢しろ」
「が、我慢って−−ひぇ、誰の足?!」
「あ、悪い、俺だ」
「…………」
「ば、爆豪笑うな!」
「ふ、ふ、……わ、笑ってねぇよ?」
「声震えてんだよ馬鹿! ひぇっ、ちょ、轟くん!?冷たいって!」
「……爆豪ばっか構うな」
「さ、寂しがりかな!?」
「餓鬼」
「うっせぇぞ、爆豪」
「あ?」
「ちょ、ちょ、頭上でバチバチさせないで……って、こんな状況で寝れるか!!!!」


**

「あれ、麗日さん?」
「あ、しー、デクくん、ちょっと、しー」
「え?!あ、えっと、どうしたの?」
「ふふ、こっち」
「ん?……あ」
「えへへ、朝から可愛らしいもん見ちゃった」
「え、……かっちゃんと轟くんに苗字さん?な、なんで?」
「なんでかは分からんねんけど、爆豪くんに轟くん、名前ちゃんの手ぎゅっと握って離さへんの」
「三人ともよく眠ってるね」
「そー、今日は日曜やからゆっくり寝かしてあげようかなって」
「そうだね」
「写真だけこっそり撮ったけど。可愛くって」
「あはは。それ、後で僕も貰ってもいい?」
「任せといて」