#18 好きなこと

「今日は昨日までのテストのご褒美に、うへへ、新作のパラ○ーマル・アクティビティを借りまー……あ、すいません」
「……いえ、こちらこそ……って」
「あれ、常闇くん?」
「苗字……奇遇だな」
「それね。昨日まで、テスト三昧だったから羽を伸ばそうと」
「俺もだ」
「常闇くん映画好きなの?」
「いや、嗜む程度ではないが……今日出たこいつを借りに。上映している時は受験のせいで見逃してしまったからな」
「目的も理由も一緒なんですが」
「では、苗字もコレを」
「うん。てか、同じもの借りるんだったら一本借りて寮で一緒に見ない? あ、一人映画したい派?」
「いや、お前がそれでいいなら、俺は苗字の意見に従う」
「やったー!じゃ、借りてくるね!!」
「あ、おい……、て、あいつは足が早いな」




「借りてきた!」
「そうか。なら、行こう」
「寮に帰る?」
「いや、少し寄り道をする」
「ん? どこに?」
「着いてくれば分かる」
「???」
「苗字はリンゴは好きか」
「リンゴ好きだよー」
「成程、丁度いい」
「ここ…?」
「つい最近出来たそうだ」
「アップルパイのお店?」
「ああ。買ってくるから、少し待っててくれ」
「あ、お金」
「不要だ」
「え!?」
「先程のレンタル代は苗字が出してくれた。なら、ここは俺が持つ」
「いやいや、ここ、かなり美味しいらしいけど、そこそこいい値するよ?!明らかに私の方が得をしているような」
「上鳴を倣う訳では無いが。友から語らいの場に誘われて嬉しかったという俺からの気持ちだ」
「うっわぁイケメンすぎないか、常闇くん…………ご馳走さまです」
「ああ、すぐに戻る」
「ういっす」
「アップルパイを食べながら見ような、苗字」
「えへへ、はーーい!!」




「パラノーマルもアップルパイも最高だよ……」
「そうだな」
「常闇くんのおかげで最高の休日だ」
「俺も常時より楽しめている」
「…………なぁ」
「ん?」
「上鳴くんだ」
「めっちゃ甘い匂いに釣られてやってきたら、お前らよくそんなん見ながらアップルパイ食えんな!!」
「「アップルパイは何にでも合う」」
「上鳴くんも見る?」
「見ねぇわバカ!!また爆豪に世話にならねぇといけなくなる!!」