#20 一緒に踊る

「てめぇ……」
「ほんとごめん、ほんとごめん!!」
「何度目だ俺の足踏むの?!!!」
「だ、だってぇ」
「だってもクソもねぇわ!!?ンでこんな簡単なステップもまともに踏めんのじゃ!!」
「簡単????」
「簡単に決まってんだろ!!フォークダンスなんざ中学でもやっただろうが!!あん時てめぇは何してたんだ!?」
「嫌すぎて休んだ」
「クソかよ逃げんな!」
「ダンスなんか出来なくっても弊害ないもん……」
「今出てんだろうが弊害が!!文化祭てめぇどうするつもりだ!ダンス隊だろが!」
「そっちはそっちで頑張ってるけど、こっちにまで頭回らないって言うか……そもそもなんで文化祭後にフォークダンスがあんのよーー!?」
「うっせぇわ、あの痴女センコーが好きそうなやつだろうが」
「休みたい」
「相澤にちくんぞ」
「それはアカンやつ」
「だったら真面目に練習しろ」
「…真面目にやってるもん…………」
「…………ガチで凹んでんじゃねぇわ」
「……だって、爆豪にも付き合ってもらってんのに、全然できないし……情けないし、申し訳ない……」
「……はぁ」
「…………」
「苗字」
「……ん?」
「頭ん中空にしろ」
「へ」
「てめぇ、ステップを頭で考えてっから一歩遅れんだよ」
「で、でもそしたらわかんなくってグダグダになる」
「ならねぇよ。俺がリードしてやる」
「…………」
「あ?ンだよ、その間抜け面」
「……あ、いや……さ、才能マンというか、なんというか、ちょっと今のは……うん……」
「お前は俺に倣えばいいんだよ」
「でも、それ爆豪以外対処できなくない?」
「…………ずっと俺と踊っとけばいいだろ」
「照れずに言えたら満点だったね」
「うっせぇ、シバくぞ!」
「…………けど、ありがと」
「……にやけんなキメェ」
「可愛いの間違え?」
「寝言は寝て死ね。おら、やんぞ」
「はーい」
「何回もやったら覚えんだろ。お前、覚えは悪くねぇんだから」
「爆豪に褒められるの悪くないなぁ」
「褒めてねぇよ」
「そっかぁ」
「……デレっとした顔しやがって」