轟印のおまんじゅう

「轟焦凍の紅白饅頭」
「ああ、それ、経営科の奴らが授業の一環で作ってたやつみてぇだ。ヒーローのコラボ商品考えるっつー授業」
「へぇ、経営科も面白いことやってるんだねえ」
「で、協力の謝礼に貰った。日持ちしねぇから早く食わねぇとなって」
「轟くんが食べたらいいじゃん」
「苗字は饅頭嫌いか?」
「いや、好きだけど。轟くんへの謝礼じゃ……」
「だったら、お茶入れてくるから待ってろ」
「あれ、聞いてない。この人」
「なんとなく、貰った時にお前の顔チラついて。ほら、お茶、熱いから気をつけろよ」
「ありがと……って、ねぇ、食い意地張ってるって言いたいの?」
「そうは言ってねぇよ」
「んー、釈然としない……有難く貰うけど」
「おう、遠慮なく食え」
「……にしても、君のデフォルメだから躊躇するな……じゃ、えっと、左側から……あー」
「キャークワレル」
「轟くん?」
「ん? どうした」
「君、お茶飲んでた?」
「飲んでた」
「んんん?」
「なんか不思議なことでもあったか?」
「あったんだけど……あれ??幻聴??」
「ほら、早く食って感想教えてくれ」
「はあ……? えっと、じゃ、右側にしようかな……あー」
「タベラレチャウヨー」
「…………やっぱ、半分こ」
「いたいよー」
「轟くん!!!」
「ふ、ははっ」
「食べてって言ってるくせに!!君は!!」
「悪ぃ……」
「笑いながら言って、全然思ってないでしょ!!」
「いや、戸惑う、お前見てたら、つい……ふふ」
「余計に食べにくくなるでしょ、純粋に味わって食べさせてくれるかな!!」
「わかった、わかった、もう邪魔しねぇから」
「ほんとに、もう。……じゃ、改めて頂きます」
「おう、たんと召し上がれ」
「やけに機嫌がよいね……ん、……あ、美味しい」
「へぇ、美味いのか」
「うん、美味しいよ。轟くんの」
「…………」
「中にいっぱい入って、おいしい。ちょっと指に白いのいっぱい付いちゃうのが難点だけど」
「…………」
「片栗粉と粉砂糖混ぜてるのかな……この白いのも甘くって美味しいよ」
「…………あーー、コレは考えてなかったな」
「ん? あれ、轟くんどうしたの顔赤い」
「お前も大概カマしてくるよなと思ってんだよ、バカ」