衝撃的事実
ビズリーさんが話し終わると、ここまで聞いてなんとなく分かったような……
いや、失礼だけど本当の事言います
いきなり沢山の事を話されても理解が遅れて、頭がなかなか追い付かないです
けど、とりあえずこのクランスピア社の社員はクルスニク一族が数十名いて、その中には“がいかく”って能力を使って“ぶんし世界”ってのを破壊して世界を守っている事
で、その数少ないクルスニク一族の中で、数先代に1人というもっと少ない能力者“クルスニクの鍵”がいて、ビズリーさんの亡くなった奥さんを最後に他のクルスニクの鍵がいるのは確認されていない事
…がわかったかな?
にしても、クルスニクってたしか前回のエクシリアでは賢者として歴史にあったのもあれば、アルクノアが作った兵器の名前にも使われていた
そのクルスニクの一族がまさかそんな歴史があったなんて……
「そして、君のそれ……」
そこまで話したビズリーさんは私のブレスレットを指して話した
「それは、クルスニクの鍵と同じく貴重な能力の証だ」
「えぇ!?」
「オリジンの力が籠められた結晶と言われ、与えられた者にしか力を発揮できないもの」
「与えられた者……?でも私はクルスニク一族じゃ……」
「その結晶はクルスニク一族以外にも与えられる。つまり君は正にオリジンから直接選ばれた者だ」
そっか。私をここに連れてきたのがオリジンって事は、その時にこのブレスレットを……力を与えてくれたんだ
けど、なんで沢山いる一般人の中から私が選ばれたんだろう……
「あの……力ってなんですか?使い方がわからないです」
「骸殻が使えなくとも、強いクルスニク一族の力を使う事ができるが…詳しい使い方は後に説明する」
話し終わったビズリーさんは椅子から立ち上がって、私の目の前に来る
「その力があれば、カナンの地に早く辿り着き、審判を超える事が出来れば無事に元の世界に戻れるだろう」
「はぁ……」
本当かな?その審判超えれば全て解決して終わるのかな?
「さて、どうするんだ?」
左隣にいた赤い人……リドウって呼ばれた人が聞いてきた
「……ちなみに、それにNOと言えば、私はどうなるんですか?」
「そんな事わかっているだろ?何も知識無いところに放り込まれれば、後にのたれ死にの運命。けど、君には借金があるから、のたれ死にが早くなるかな」
やっぱり、そうなるかぁ……
……って借金!!?
「待ってください!借金ってなんですか!?」
「君の腕と足の治療費」
「確かに私は怪我をしたけど……なんで貴方が請求するんですか?」
「だって、俺はドクターエージェントの室長だから」
「ドクターって貴方だったの!?」
信じられない……機械と戦って助けてくれたこの人は怪我まで治してくれた人なんだ!
すごい腕の人!素敵じゃん!
あ、でも今聞かなければならないのは…
「……ちなみにいくらですか?」
金額を恐る恐る聞いてみると
「そうだな……500万ガルドだな」
「ごっ、500万!!?」
私は思わず目玉が飛び出そうになった!なんだその金額は!!せめて0の単位1つ減らせよ!!
ガルドなんて実際に使った事ないけど、長年様々なテイルズをプレイしてきた私にはその金額を貯めるにどれだけ大変かはわかる
「君の命の値段だよ」
「はぁ!?命ぃ!?なんでそんな金額なんですか!?て言うか命に値段なんて付けれるだけ安値じゃないですよ!」
「じゃあ、もっと高くするか?」
「いや、そんなわけで言ってない……あぁ!もう!自分で何を言ってんだか!!」
もう驚きやら焦りやらに更に怒りも重なって頭の中がヒートアップして混乱してしまう!
「ははははっ、馬鹿が必死に頭使って言い負かそうとしても無駄だ」
リドウは口元に手を当てて、あたしを見て馬鹿にした態度で笑う
ム……ムカつく!ムカつく!ムカつく!!
何こいつ!かなり嫌な奴じゃん!!
あぁ、こんなのが命の恩人なんて……
数分前まで彼に感謝して、すごい人って思ってた自分が嫌になる……うぅぅ……
「これでも一応、安くしておいたんだけどなぁ」
「はぁ?」
「骨に達してなかったから手術しやすかったが、止血で手間取ったからな」
うぐぅ……そ、そんな事で……
なんて思っていると、ビズリーさんが話し掛けてきた
「では、ここまで聞いて君はどうする?」
……こうなってしまえば、仕方ない
「………ちゃんとお給料出ますよね?」
「君の働き次第では多額の報酬を出す」
「わかりました………この世界で生きるため、ここのエージェントになります」
「うむ、いい決断だ」
そう言ったビズリーさんは、書類を数枚ほど出してきて私に渡した
クランスピア社の入社するための契約書……
のはずだけど、そこには変な文字が書かれていた
え?インド文字か何かですか?
「よ、読めません…」
「とりあえず、ここの空欄に名前を書け」
困惑している私に、リドウがそう言ってきた
大丈夫なんだろうか?と不安に思いつつ名前を書いた
「ふむ……まぁいいだろう」
書いた契約書をビズリーさんに返すと、なんだか困惑した表情になった
まさか、リドウは私にデタラメなところを教えた…!?
リドウを見ると、ムカつく雰囲気まとった澄ました表情をして私に言う
「OK、契約成立だな。あの書類の中に入社関係以外に借金についてのもあったんだけど、本当にわからなかったんだな」
「なっ!」
「つまり、それにサインさえしなかったら500万ガルドの借金は無いまま普通に入社出来たんだよ」
「ひ、酷い!あたし読めないって言ったのに、こんなやり方で借金を作らせるなんて……!!」
「本当に読めないかをチェックしたんだよ。でも、サインしたならもう取り消せない。社会のルールは守ってもらうぜ?」
「こんの……詐欺野郎おおおおおおおぉぉ!!」
怒りにまかせてそう怒るあたしに、軽く受け流すようにクスクス笑うリドウ
こいつ、マジ誰か警察に突き出して!!!
「すまないな…リドウの腕は確かなんだが、技術や機材費があまりにも多いのだ」
「あ、いや……」
しまった……うっかり、ビズリーさんの前で大声上げてしまった
隣では私を馬鹿にしたように笑い続けるリドウ。まだまだ怒りは収まらないが、これ以上騒ぐわけにはいかない
サインしてしまったなら、仕方ない……か
「わかりましたよ……もう決まった事で喚きません」
「いい子だ」
「(黙れ、ぱっつん野郎!)」
“いい子だ”って言ったリドウにまた怒りが燃え上がりそうだが、頑張って抑えて心の中で毒を吐いた
私の言葉を聞いたビズリーさんは、頷いて右手を出す
「よろしくな、篠宮莉瑠」
「はい、よろしくお願いします。あ、リルでいいですよ」
「あぁ、わかった。では改めて呼ぶぞ、リル」
私も右手を出して、ビズリーさんと握手をする
……これから新しい世界で生きていく決意を固め、会社との契約が完全に成立した瞬間でもあった