衝撃的事実
「そうなれば……ヴェル」
「はい」
そう呼ばれて社長室に来たのは
黒髪を上にまとめて、白いスカートのスーツを着て眼鏡をかけた女性
「ビズリー社長の秘書のヴェルです」
「あ、はい。よろしくお願いします……」
そのヴェルと呼ばれた人は私にに小さいピンバッチとスカイブルーの携帯を渡した
「これが、分史対策エージェントの証です。そしてGHSをどうぞ」
「あ、ありがとうございます……けど、携帯ならありますよ?」
「携帯?」
鞄から至って普通の携帯取り出してみると、ヴェルさんは携帯をまじまじと見た後に説明をはじめた
「失礼ですが、そちらはGHSではありませんね」
「え、GHSと携帯って違うんですか?」
詳しく聞くと、エレンピオスでは個人情報はGHSで管理されており、多額の借金を背負った人はGHSによって所在を追跡され、逃走防止のために移動手段も制限されるそう
「元から使ってたこの携帯は使えないのかぁ……」
「はい、ですからこちらをお使いください」
そういう事情なら仕方ないと、私はGHSも受け取りながらビズリーさん……いや、ビズリー社長に聞いた
「あの、そう言えば私はいきなり分史対策に所属して大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。すぐに実戦しろと言うわけでは無いのだからな」
「はぁ………あ、もう1つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
そう、さっきから疑問に思っていた事を思い切って聞いてみた
「なんで、私が異世界から来たって思ったんですか?」
「あぁ、その事か。一族に伝わる歴史で“オリジンの結晶はエレンピオスとは異なる世界の者にも与えられ、招かれる”と記していた文がある。それにあの学生証と契約書に書かれていた文字……」
「え?」
「実はあの文字が読めなかったんだ」
「そうなんですか?」
ビズリー社長は苦笑いしながらそう話した
納得。逆に私はこの世界の文章が読めないもんね
それにリドウも私が住んでいる町名聞いても首を傾げていたし
「そして警告として言っておくが、異世界から来たと言うのはこの場にいる人間以外にはあまり公言しない方がいい」
「まぁ話しても誰も信じないし、痛い目で見られますよねー」
「いや、それもあるが……クロノスに知られてしまえば君は間違いなく奴に真っ先に消されるだろう」
「えっ!?」
事情を聞くと、クロノスって言う時空の精霊は“ぶんし世界”を作っている犯人で、
オリジンの審判の妨害をしたり、過去にいたクルスニクの鍵やオリジンの結晶を与えられた人を殺害した事もあるらしい
「随分、人間嫌いな精霊ですねそのクロノスって。なんの為にそんなに人間を……」
「さぁな。しかし人間好きの精霊もそうそうにいないが……とにかく君はこれから記憶喪失と言う事で生活してもらいたい」
「記憶喪失、ですか……」
そう言われても、私は演技は苦手だから大丈夫かな……
……と、不安になったけど、この世界の事わからなければバレないか!と開き直った
「……今日はこれくらいにして、君の住む場所を案内しなくてはな」
ビズリー社長の言葉でヴェルさんはGHSを取り出すと、どこかへ電話を掛けて話し始めると、すぐに切って終わる
「リル様を案内する者を1階のホールに呼びました」
早っ!あなた仕事早い!もう決まったんですか!?
ヴェルさんのバリバリな働きぶりに目を丸くさせ「すごい」しか口から出なかった
「では、私は会議があるのでこれで失礼する。明日から頼むぞ」
そう言ってビズリー社長とヴェルさんは社長室から出て行った
残されたのは、私とリドウ
嫌だなぁ……元から親しくない他人と話す事が苦手なのに、超ムカつく奴ってわかったから早くここから出たい
もう、さっさと1階に行って住む場所に案内してもらおうか……
その時
「お前19歳か?」
そうリドウが唐突に聞いてきた
「え?そうですけど……」
「なんでわかったかって?俺、女性の年齢当てるの得意だから」
「はぁ……」
そんな事誰も聞いてないっす
あぁ〜……新人に得意技の披露したかったのかな?
いらない努力、ご苦労様です〜
そう思って、では失礼しますと私も社長室から出ていこうとした時だった
「19歳なら、もう少し大人物を身につけろよ」
「えっ?何がですか?」
いきなり、意味深な事を言われた
大人物?そう言われてもこの服装は私が用意したわけじゃないし、そんな子供っぽくはないような……
私はどこか変な所無いか、よくよく服や鞄を何度も見る
すると、リドウはそんな様子を見てニヤニヤしながら私の横に来た
はっきり言ってニヤニヤ顔が気持ち悪い。普段の顔はイケメンなのに、なんかキモくて残念になってる
そして、私の耳元に顔を近付けて小声で話してきた
「紺色と白は落ち着いた良い色だと思うが、縞になってると子供っぽいぞ?」
「はい………?」
紺色と白の縞……?
そんなの身に付けていたかって思ったが
すぐに思い出した
今日はそんな柄の下着を付けている事を!!
「――――っ!!」
それに気付いた私はもう顔から火が出そうになるほど熱くなった!!
「ちょっ、ちょっと!!」
クククッと笑いながら出ていこうとしたリドウを呼び止めた
「何どさくさに紛れて見てるんですか!?サイテーー!!」
「あぁ?何言ってんだ?右の太股を怪我したんだから、治療する時見えて当たり前だろ?」
「そっ、そりゃそうですけど……そこはもうちょっと配慮してくださいよ!って言うか、するべきでしょう!?」
ほぼ八つ当たりっぽくリドウに言った
すると
「ま、明日からせいぜい頑張るんだな縞パンちゃん♪」
と、私の言葉をスルーして、ニンマリ笑って言って社長室から出ていった
シン……と静かになった社長室で1人になった私は……
「(あたしは……
リルだっつってんだろおおおがああああああーーー!!!
あんの野郎おおおおおーーーー!!
絶対いつかフルボッコにしてやるううううううう!!!!)」
心の中でそう毒を吐きまくった
もう、決めた!あのリドウって人嫌い!関わりたくない!
話していれば、絶対あたしはいつかキレてトラブル起こすわ!!
やり場の無い怒りが静まらなく叫びたいと思ったが、外のホールにはたくさん人がいたのを連れて来られた時に見た
その人達に聞かれるのも嫌だし、初日に目立った事をして全社員から注目されたくないから、その場で地団駄踏むしか出来ない
ムキーー!この状態の自分にも悔しい!!
しばらく怒りを十分に抑えてから、1階ホールに行くことにした……くぅぅっ!