揺るがない悲しき決意










「突然、すまないな」




数日経ったある日、勤務中にビズリー社長から急ぎの用で伝えなければならない事があると言われ、今いつもよりも緊張感漂う社長室にいる




「いえ、それよりも一体何についての話ですか?」

「最後の道標のある分史世界についてです」




ビズリー社長ではなく、代わりにヴェルさんが答えてくれたけど…何やら訳ありみたいな表情をしている




「見つかったなら、すぐに侵入は……」

「それについて一つ難点がある。それをルドガーが来てから話そう」




どういう事だろう?いつもの分史世界とは違うのかな?ましてや、ルドガー達も集めて話されるってのはよっぽどの事だ

最後一つってのは、そう簡単にてに入れられないかもな…って、まだ何も聞かされてないのに緊張していると隣にいたリドウが私の頭に手を置いた




「心配するな」

「…はい」




何故か知らないけど子ども扱いされてるーって思う半面、リドウが頭をポンポン軽く叩いてくれて安心する

するとしばらくして、ルドガー達が急ぎ足で社長室に入ってきた





「遅かったな、ルドガー」

「ビズリーさん、なにか起こったんですね?」

「しかも、マクスウェル絡みで」

「“マクスウェル”…!?」




ビズリー社長の出迎えに最初に質問してきたのはジュードで、その後に話したミラの言葉に驚いた

“マクスウェル”って…どういう事?最後の道標のある分史世界と“マクスウェル”の関係性がわからない私はただ、社長からの話を待っている

そんなビズリー社長はまずルドガー達を見渡して、ガイアスに気づくと椅子から立ち上がった




「……まさか、あなたまでご一緒とは」

「話を聞かせてもらいたい。リーゼ・マクシア国王ガイアスだ」

「王の申し出とあれば。クランスピア社代表、ビズリー・カルシ・バグーです」




国の王と国一番の会社の社長だから、お互いに挨拶をしたあと握手をする

元の世界でもテレビでお偉いさん同士がこうして挨拶をしているところを何度も見ててその時は「へぇ〜」ぐらいにしか思わなかったけど、実際に目の前で行われると、その凛とした姿に貴重な瞬間だ…!って、感動した




「しかし、よろしいのですか。和平条約の調印直前に不用心では?」

「平気よ。私がついてますし」

「……こちらは?」




ガイアスの近くにいたミュゼを見て聞くビズリー社長。そのガイアスの答えは…?




「連れだ」

「ただの精霊です。お気になさらず」




と、すぐに簡単に紹介した

つ、連れ…?た、ただの精霊…?

別に王だからとか精霊だからって言いたいわけじゃないけど「仲間だ」って言うかと思っていたのに、そんな予想外の言い方に驚いた。何故なら……




「(そんな言い方だと…長年連れ添った夫婦の間柄みたい)」




私がそうガイアスとミュゼの関係についてモンモンと考えてると、ビズリー社長はガイアスの言葉を聞いて何か考えてからとりあえず納得した様子。い、いいのか…

と、ここで個人的な話は終わって、分史世界について話が戻る




「何が起きた?」

「最後のカナンの道標が存在する分史世界が探知されました。ですが、時空の狭間に障害物が存在し、進入点を塞いでいるのです」

「時空の狭間の障害物…?」




挨拶を済ませ早速話を本題に戻したけど、ヴェルさんの説明から何の事を言っているのかイマイチわからない

ジュードも障害物が何なのかわからない為、考えながら聞いてるとリドウが決定的な事を話す




「進入を試したけど見事に跳ね返された。四大精霊の力でな」

「四大の力!?」

「ミラ!」




ようやく“マクスウェル”との関連がわかった。四大精霊の力ってなれば今現在それらを仕える精霊は一人しか該当しない

けど、一つ疑問が思い浮かぶ




「そう、ミラ=マクスウェルが、最後の道標への壁になっているのだ」

「クロノスに飛ばされたんだ」

「でも、四大が一緒なら、時空の狭間から抜け出すくらいできるはず」

「戻らぬのか、それとも戻れぬのか」




そう、ミュゼが言うようにミラ=マクスウェルほどの大精霊なら簡単に抜け出せるって思っていたけど、何か問題があるのかな?ガイアスがビズリー社長にどんな状況か聞いたけど、観測ではわからないみたい…

じゃあなんだろう?また別の障害物があるのかな?とか色々考えていると、ルドガーの後ろにいたミラが何かに気づいて血相を変えた




「……っ」

「?」

「ミラ…?」




私とエルは何があったのかミラを見ているとビズリー社長から「ミラ=マクスウェルをなんとかしなければ、最後の道標は手に入らない。リーゼ・マクシアの皆さんにも、ご協力を願いたいのです」って言葉がかかって、皆は頷いて承諾する




「わかった。こちらも方法を探してみよう」




ガイアスがそう言って話は終わる…その時




「方法なら、分かってるわ」




そう静かに呟いたミラは顔を下に下げたまま社長室を飛び出した




「えっ?」

「どーしたの、ミラー」




エルの呼びかけにも答えずに飛び出すなんて…





「(ま、まさか…!)」





この時、なんでもっと早く気づけなかったのか後悔する

ミラ=マクスウェルが戻れないのは、クロノスのせいでもなく…もしかしたら…



いや、その考えが確定したわけじゃない

今はミラを追いかけて見つけないと!ミラを一人にしちゃいけない




「少し失礼します!ミラを探して話を聞いてきます!」




私はそう簡単に言って、走ってミラを探しに行った



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