ミラと、ミラ






船の中間辺りに差し掛かった時、そこにいたアルクノアに見つかって皆は武器を構える




「マクスウェル!」

「だったら何?」

「やっと会えた」




そのアルクノア兵はミラを見つけると、すぐに攻撃しにかかってきたが、ミラはその攻撃を軽々と避けて反撃して倒した




「ミラ、大丈夫?」

「はぁ…はぁ…ええ、なんとか…」




ミラを心配しながら他にもアルクノアはいないか探したけど、どうやらこの空間にはこのアルクノア一人だけのようだ

先を急ごうとしたその時、さっき倒したアルクノアが起き上がり左手に筒状の物が束になった何かを持ち、右手に持ったスイッチを押そうとした

まさか……あれは!




「皆、下がって!」




私は急いで皆の前に出てバリアーを張ると、アルクノア兵の持っていた筒状の束が光ったと思ったら一瞬で大きな音と黒煙の混じる強風に変わり、周りが見えなくなる

そして……それが消えると、さっきいたアルクノアも跡形も無く消えていた




「やっぱり爆弾だったなんて……皆、怪我は?」

「ああ、助かったよ。リル」

「まさか自爆するなんて…」

「アルクノアのミラへの恨みはハンパないからな」




そうだ。アルクノアはリーゼ・マクシアに漂流して、まだ幼かったミラ=マクスウェルに奇襲されて半数以上殺されたんだった

彼らがリーゼ・マクシアとの和平反対するのは、そのことも含まれているから……リーゼ・マクシア人だけではなくミラ=マクスウェルも彼らにとっては最大の敵になる




「この世界のミラが、奴らを壊滅しそこなうからよ」




ミラは、今回のテロは元々ミラ=マクスウェルが自分みたいに完全に壊滅させなかったのが原因だから恨まれて当然。って呆れたように言う




「僕にとっては、よかったんだけど」

「え?」




だけど、その横でジュードが申し訳なさそうに笑って自分の事を話し始めた




「実は、僕の父さんはエレンピオス人でアルクノアの一員だったんだ。リーゼ・マクシア人の母さんと出会って、僕が生まれた。それでアルクノアを抜けたんだって」

「(あ……)」

「!?、ちょっと待って――」




そう言えばそうだった。ジュードの父親のディラック・マティスはただのエレンピオス人じゃなくて、アルクノアと一緒に漂流してきた一員だったのを今思い出す

それを聞いたミラは何かに気付いて慌てた様子で話を聞いていたら、船内に警戒音が響く




「ばれたな。急ぐぞ」




入口とかで音を立てて戦ったから当然だ。けど、アルヴィンの言う通り急がないとテロは進行を早めるし、私達やマルコや助けた生存者、そして奥で捕まっているマルシア首相が危ない

すぐに中央ホールに向かおうと、私達は足早にその場を後にする




「……」

「ミラ?」

「ミラ、元気ないよ?どっか怪我した?」




その時、ミラが足は急いでいるけど、何かショックを受けたように呆然とした様子なのに気付く




「……ねぇ、エル。もし私が貴女のパパを殺したらどうする?」

「えっ?パパを……殺す?」

「ミラ、急にどうしたの?」




今ここでそんな例え話は…

父親と会えない寂しさと涙を我慢しているエルには、冗談では済まされないかもしれないのに、ミラは何を聞こうとしているの?




「パパは死なないよっ!エルがカナンの地に行って助けるんだから!パパは……エルのパパはっ……!」




案の定エルは、ミラの話を例え話としてではなく、真に受けてそんな事は起こらないし自分がそうさせない!って泣きそうになりながら怒る




「落ち着いて、エル!ミラは例え話をしただけだから!」

「そうよ!今のは例え――ウソの話よ」

「なんで……ウソの話なんかするの?」

「ごめん……」

「べつに、許してあげるけど、ウソでもイヤな事言わないでよね」

「ごめん。わかったわ……」




ミラに悪気はないってわかったエルはすぐに許したけど、彼女の真意はわからず嫌な気持ちを少し残したような様子でジュードの所へ行った




「ミラ……」

「はぁ……元精霊の主が、なんてザマよね」

「自分の世界でのした事を後悔しているの?」




私は今の話でミラは何を思ったのか、わかった気がした

ミラが自分の世界でアルクノアを壊滅させたって事は、その世界のジュードの父親も殺していて……間接的にジュードも殺していた事実も含まれているのに気づいたんだろうって




「後悔…かしら?ただ、自分のやった事が本当によかったのか、少しわからなくなっただけなのに…」

「その、何が正しいとか間違いだとかは決まってないと思うよ。だから、この話も…」

「リル…」

「ミラ、色々考える事はあるだろうけど、私はミラがいなくなれば泣くよ?だから勝手な事をしちゃ駄目だから」

「泣くって貴女ね…子どもじゃないんでしょ?それに私を誰だと思っているの?約束もしたんだし」

「そう、だよね…!」




危なく泣きそうになったけど、ミラがいつもみたいに呆れた様子で笑いながら私に話してくれたのを見て、私の気持ちがわかっているんだなって改めて思う

そうしながら先を行っている他の仲間に追いつくと、広い空間に大きな階段が現れる。この階段を登って一旦外に出ると中央ホールに行けるらしい




「急ぐぞ!」

「うん!」




ルドガーの声で私達は階段を走って一気に上った

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