思い出すのは…
ミラとの食事のお陰で少し元気が出た私は、言われた通り3日間休んでいくらか疲労は取れ、元通りの気持ち……にはまだ程遠いけど落ち着きが出たかな?
落ち着いたって言ってもやっぱまだ審判を優先する考えは認められず、仲間が大事という自分の信念は曲げないけど……今は私を助けて消えてしまったミラに感謝して、ここにいるミラとカナンの地に行こうって決意した
ちなみにその食事の時にミラはもう一人のミラを通して私の“秘密”を知ってしまったと言ってきて、ああこれはいい加減皆にも話さないといけないタイミングかな?って思ったら「リルが知られたくないなら、秘密にするぞ」って言ってくれて安心した……けど、こんな事秘密にしてくれてなんだか申し訳ないな
ミラの優しさに救われてばかりだなって思いながら出勤すると、遠くから駆け寄って受け付けの女性よりも先に私に話しかける人が来た
「リルさん!おはようございます」
それはイバルだったけど、いつもなら爽やかな笑顔なのに今日はなんだか悲しそう?……いや、申し訳なさそうな様子だ
「おはよう…どうしたの?」
「あの……この前はすみませんでした!」
何があったのか聞くと彼はいきなり私に頭を下げて謝る
「リルさんはもう一人のミラ様を失って悲しんでいたのに……俺はミラ様が帰ってこられて喜んで、その事に気付かないでいて浮かれ事を話して……本当にすみません!!」
「そんな…イバルは何も悪くないよ!私こそ私情を出してしまってごめんね」
「けど…」
「イバルは私を気遣ってミラに話してくれたじゃん。それでミラが来てくれて元気出たんだ。だからイバルもありがとう」
そうだよ。元々ミラが来てくれたのはイバルが彼女に話してくれたから。私がこうして少し復活出来たのはイバルのお陰でもあるんだら。それを伝えて私はお礼を言うと「いえ、そんな…」って、まだ自分のした事を許さないでいる様子
「大丈夫だって!それよりミラ言ってたよ?イバルは前よりも少し頼もしさがアップしたって!」
「え?」
「私もこんなに気を遣ってくれる優しい後輩を持てて幸せだよ。だから、もう大丈夫!」
そう励ますように言って笑うと、イバルはパァと表情が明るくなって「…ありがとうございます!」っていつもの元気で返事をしてくれた
よかった…私のせいで落ち込ませてしまったから、私が大丈夫だとアピールしないとね
うん。悲しいのは一緒だけど、こうして支えてくれる人がいるから大丈夫だ!
私はまるでイバルからパワーをもらったみたいに元気が出て「じゃあ、お互いに仕事頑張ろう!」って別れて、休んでいた分の仕事をするために分史対策室に向かった
仕事を進めている中、分史対策エージェントの一人が困り果てた様子で同僚と話しているのが聞こえてきた
「参ったな〜またリドウ室長と連絡取れない」
「いつもの事だな」
「ああ。だけど、今回は医療部門から先月の経費出入の見合せはまだか?って言う伝言をもらっているから、早く伝えたいんだよな〜」
また連絡がつかないのか…私もいつもの事かって済ませようとしたけど、ふと、私が連絡すればどうなるんだろう?って考えて何気なくGHSを手にとってリドウの番号にかけてみる
何度かコール音を聞いてああ、やっぱ出るのが面倒なんだなって思っていると……
「……どうした?」
「うわっ!」
まさか出るなんて思っていなかったから、驚くのが先に出た
「なんだ、何も用が無いなら…」
「いや、えっと、あの…医療部門で経費出入についてリドウさんに…」
「はぁ?なんでリルがそれを?」
「そう言う話を聞いたもんで…」
「はぁ……なんだと思ったらそんな事でかよ……」
ため息を吐いて私の話を早々に切ろうとするリドウに何か違和感を覚えて、切られる前に急いで聞く
「ちょっと待ってください。リドウさんは今何処に居るんですか?」
「あ?家だが…」
「もしかして、寝ていましたか?」
「そんなわけねぇだろ。まだ午後だ……じゃ、俺はやる事あるから切るぞ」
切られてツーツーという音が鳴る中、リドウの声からもしかして…って思う事があって確かめるために仕事を終わったら彼の家に行こうと決めた
――――――――――――
まだ家にいる事を願いながらリドウの住むマンションに行き、いつものようにインターホンを鳴らすとドアが開く
「……今日はやけにぐいぐい押してくるな、リル。悪いが今家の中は散らかっていて上げる事はできな…」
「お邪魔しま〜す!」
リドウの言葉を無視して勝手に上がり込む。それをリドウが「おい、ちょっ…待て…!」って言いながら私の腕を掴んで静止させようとしたけど、振り払って中にずかずか入る
やっぱりね……そうある事を確信して、リビングに着いた私は台所に行って買い物してきた食材を出して料理を始めようとした
「おい、急にどうしたんだ?まさか自分の家と間違えるまでの馬鹿になったのか…!?」
「そんなわけ無いじゃないですか」
「じゃあ、何故ここに?」
「仕方ないですね……教える代わりに私の言う事を聞いて下さい」
「まぁ内容にもよるがいいぜ。なんだ?」
私は料理準備の手を止めて、リドウに近付いて一言
「寝てて下さい」
「………は?」
「大人しくベッドで寝てください」
「まだ夕飯時だぞ?寝るには早いんじゃ…」
「とぼけないで下さい。この風邪っ引き」
「…!」
そう、電話でリドウの声を聞いた時に、いつもと違ってまるで眠そうな感じにゆっくり話しているように聞こえた
この声の感じは前に聞いた事あるなって記憶を辿ると風邪で熱がある人みたいだと思って、今確かめに来たんだけど……私の予想通りリドウは風邪を引いていて熱のせいで頬が少し赤くなっていた
「たしかに散らかってますけど、これはその風邪のせいで片付けられなかっただけじゃないですか。私はそういうの気にしないんで、安心して寝てください。後で夕飯作って持って行きますんで」
「いや、それは……」
「ね・て・て・く・だ・さ・い!!」
突然の事で驚くリドウを私は無理に彼の寝室に押し込んで寝るように再度言って、ベッドに入ったのを見てから台所に戻る
「(熱が高いせいで普段は色々口うるさく暴言がポンポン出て力が強いのに、こんなにも簡単に私に押されるなんて…)」
なんかいつものリドウらしくなくて、こんなチャンス2度と無いから過激に押してやろうかって思ったけど、私がここに来たのはあくまで看病のため。本来の目的を思い出して変な欲を無くして料理を再開させる