出現。そして…






「あれが……カナンの地!?」

「……なんて言わないよな?」




言われた通りに道標を並べたのが正しかったら、現れたあれはカナンの地ってわけなるけど…どう考えても人が入るような所ではない。

エルとアルヴィンが信じられないって言って、私達もまさかと驚愕していると、ミラはそれにきっぱり答えた




「いや、そのまさかだ」

「うそ……あれが?」




私の勝手な想像では……オリジンの玉座。願いを叶えられる場所。そしてクルスニク一族の審判を受ける場所だから、空や大地が綺麗で物語に出てくる極楽浄土みたいな所だと思っていたけど…

あれだと真逆のイメージをしてしまう。まるでデスティニー2に出てきたラストダンジョンの神の卵みたいで……いや、それ以上に見ているだけで変な不安が湧いてきて気持ち悪くなる




「道標が、カナンの地を出現させるものだったとは」

「場所は分かりましたが、どうやってあそこへ?」




ガイアスとローエンが見上げながら、そう言って考える

たしかに。あれがカナンの地となれば……空中に浮いている遠い所へどうやって行くのかが一番に考えるところだ




「ミュゼに打ち落としてもらえばー」




ティポがそう言って、それもいいね!なんて思っていると「か弱い乙女になんて事を」ってミュゼは首を振る

ん〜……か弱い乙女?たしかにミュゼは見た目や普段はおっとりしているけど、実は仲間の中で一番おっかない戦い方をするよな〜

聞いていた私とエリーゼ、ティポ、レイア、ルドガー、ガイアスはジト〜ッとした目でミュゼを見た

だけど、今はそうしている場合じゃない。すぐに別の案を考えないと…




「空中戦艦なら!」




すぐにレイアがそう提案するが、空中戦艦は今私達が簡単に手に入れられそうにない




「えっと、じゃあ何処にワープポイント現れてないかな?」




そう。申し訳ないながらテイルズだったらそういうのがあっても不思議じゃない。それを考えた私は周りを見てそれらしき物が無いか探していると…






「無駄だ。近付くだけでは中へは入れん」

「…誰っ!?」





突然そう言われた声に振り向いて見ると




空中に銀色の長い髪に、鋭く尖った刃ような手足を持つ精霊がいた!

あれは…!




「クロノス!」




ジュードの言った名前に驚きつつも、すぐに私に攻撃を仕掛けてこない様子からオリジンの結晶を持っているのがバレていないと判断した

そして、私は同じく初めてクロノスと対面したガイアスと「こいつがクロノス…」って警戒しながら見ていると

クロノスが誰かを抱えているのに気付いて、更にそれが誰なのかもわかった




「兄さんっ!!」

「ユリウスさん…!?」




それは間違いなくユリウスさんだった。彼は体のあちこちに傷を追っていたけど、なんとか息をしているみたいだ。でも……なんでクロノスに捕まっているの?




「まさか道標を揃えるとは。探索者の相手をしている場合ではなかったな」




そう言ったクロノスは抱えていたユリウスさんを空中から雑に投げると、ユリウスさんはそのまま地面に落ちて更にダメージを受ける




「がはっ……!やめろ、ルドガー、リル……勝ち目は……」




ユリウスさんが必死に私とルドガーにそう言いながら傍に落ちた時計を拾おうとしたけど、その手をクロノスが容赦無く尖った足で突き刺して阻止する




「ぐああっ!!」




刺された激痛でユリウスさんは悲鳴を上げたけど、諦めずに痛みを堪えようとした




「貴様こそ、やめておけ。時歪の因子化したくはあるまい」




クロノスはユリウスさんにこの痛みよりももっと辛い思いはしたくないだろ?って突き刺す足を離さない




「時歪の因子を作っていたのは、あなたではなかったんですね」




そこでジュードは……ようやく骸殻能力と時歪の因子について理解したのを改めてクロノスに聞く




「我はクルスニク一族に骸殻の力を与えただけ。時歪の因子とは、奴らが我欲に溺れ、力を使い果たした姿だ」

「……っ」




クロノスはようやくその事実に気づいたか。と哀れむような目で私達を見てそう答える

エルの首に現れた時歪の因子化で予想していた嫌な考えが本当だったなんて……

つまり、分史世界もクロノスがオリジンの元へ行かせないようにした妨害だと思ったら……クルスニク一族のそうした成れの果てで、一族はいつからかその同族のツケに翻弄されてきた。というわけか……!

まるで……己の欲望と戦うのと等しく…!

それに気付いたルドガーも驚きながら話を理解する




「分史世界をニセ物として消去してきた貴様が真実を知らぬとはな。一体何をもって真贋を見定めてきたのだ?…かくも人間とは愚かオリジンの審判を待つまでもなく明白だ」

「ぐううっ…逃げろ、ルドガー…リル…」

「ルドガー、リル!メガネのおじさんが…」




未だにクロノスから解放されないユリウスさんを見たエルは、このままだとユリウスさんが先に危ない!って私とルドガーに助けを言う

それに対して“思っている事は一緒”って、ルドガーと頷いて見せた




「リルは精霊術でサポートを頼む」

「わかった!」




ルドガーからの指示には従うけど、結晶を使った術は使用しないようにしよう…

そう思った時に前に立ったルドガーは…




骸殻に変身せずにそのまま剣を構えて、クロノスに斬りかかった!




「…愚かにして、未熟!」

「ぐっ…!!」

「ルドガー…!」




相手は精霊だから、当然生身のただの人間の攻撃なんて痛みを与える事すら出来ない

クロノスはルドガーからの攻撃を避け、反撃をしてルドガーを飛ばした

反撃を受けたルドガーは、相当のダメージを追ってその場に崩れ、私はすぐに回復術を施す




「な、なんで変身しないの…」




いつもなら骸殻になって戦うのに…って、ルドガーの無茶な戦い方にエルは不安にそして、疑問に思っている

ルドガーの骸殻能力はエルを通して出来るもので、その代償はエルが負う……それを考えてルドガーは骸殻に変身せずに、戦っているんだって私は気付いた




「(エル…わかる?ルドガーはエルが大事って証拠が今示されているよ)」




回復術で完治したルドガーは再び立ち上がろうとした時、クロノスから解放されたユリウスさんが私達の前に来て、庇うように立つ




「もう骸殻を使うな!」

「しぶといな、人間は…」




ルドガーにそう言ったユリウスさんは、今度こそ時計を持って骸殻に変身してクロノスに立ち向かうけど…骸殻の力でもクロノスに及ばず、交わされてしまう




「まったく醜悪極まるっ!」




私達の攻撃を悪足掻きみたいに思い苛立ったクロノスは、自分の周りに術で創ったビットを複数出現させた




「いかんっ、逃げろ!」




その様子を見ていたユリウスさんが急いで私達にそう言ったけど、ビットは素早く仲間全体を目掛けて飛んできた!




「むうっ!」

「これは!?」




飛んできたビットに仲間達は交わしたり跳ね返したりするけど、それでもビットは飛び続け…




「あっ!」

「エル!」




不規則に飛ぶビットは仲間達の間を潜り抜け、複数がエルに向かった!




「エルっ!逃げろ!!」

「よせ、ルドガー!」




ルドガーが助けようとエルの元へ走ると、ユリウスさんがそのルドガーを突き飛ばして阻止したと思ったら…彼の代わりにエルを助けに行った!




「ユリウスさん!」




私はユリウスさんの後を追って、同じくエルを助けようと走って駆けつける



そして、ビットを弾き飛ばそうとしたら…それが精霊術を放つ!




「……っ! きゃああ〜〜〜!」

「うわっ!これは…?」




なんとその精霊術は結界術で、私とエル、ユリウスさん、レイア、アルヴィン、エリーゼ、ローエンが囚われてしまった!

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