選択で未来を紡ぐ者(ルドガー視点)
いなくなったエルを心配しながらビズリーからの映像メッセージを見た俺は気ばかりが焦る
更に行く手を阻むリドウからリルがクランスピア社を解雇された事を……リルを利用していた事を聞かされ、俺はクランスピア社がまともな思考を持ってないのを思い知らされた
そんな俺は仲間達とクランスピア社の地下訓練場から外に脱出する
脱出する際に社内で囮を頼んだミラを心配してると、ユリウス兄さんからGHSで連絡があり、ミラと一緒にトリグラフにいるとわかった
とにかく兄さんとミラと合流しようとトリグラフに急ぐ
クランスピア社からの監視に気を付けながら自宅に向かうと、その近くの公園にミラがいた
ミラは怪我はなく無事みたいで安心したが、兄さんが見当たらない
探してる俺にミラは……兄さんから預かった伝言として、カナンの地に入る方法を告げた
それは………強い力を持つクルスニク一族の命と引き換えに橋をかけて行くものだと
そんな……それは真実なのか?と驚きのあまり言葉を失ってると、兄さんが自宅に俺に宛てた手紙を残してきた。詳しい事はそこで知ってほしいとミラが言う
ここで俺はリドウの言葉を思い出す
“ここで止まらなかったことを、死ぬほど後悔するぜ!”
まさか……この事を……?
兄さん本人から直接聞く事が出来ない今、知る手段は俺に残した手紙だけだ
俺はすぐに自宅に行った
残された手紙には……ミラから聞いた伝言通りの内容だった
ビズリーはエルを……クルスニクの鍵を手に入れた。止めるにはカナンの地に行かなければならないが、そのためには強い力を持ったクルスニク一族の命が必要。兄さんはマクスバード・リーゼ港で待つから……覚悟が決まったら来い。と
つまりこれは……兄さんが橋をかけるために俺に殺してくれと言ってるようなものじゃないか……!
読み終えて、この手紙の通りにすればいいのか考えてると、仲間達が遅れて自宅に来た
手紙の内容を伝えると、エルはそれを知っていてビズリーの元へ行ったのではないか?と気付く
エルは……あの時、クロノスと対峙していたビズリーの言葉を聞いて……だから、こんな……!
俺は何も知らず、兄さんやエルに助けられてた事に悔やんでると、ガイアスからその手紙の通りにするか尋ねられる
「出来るわけないだろ!」
エルは助けたいが、家族を殺すなんて簡単に決断出来るわけない!と聞いてきたガイアスや他の仲間に半ば八つ当たりするよう怒鳴った
すると、ミラとジュードは俺の気持ちを理解してか、兄さんとは自分達で話をしてくるから俺にここで待ってるように言って出ていく
そこに入れ替わりで来たのはノヴァだ
彼女は俺の借金の取り立てが無くなった祝いをしようと、食材を持って来たようだ。兄さんの……好物であるトマトを大量に
だが、俺の様子が沈んでるのに気付き何があったか聞いてきたが……上手く説明しきれないし言えるはずもない
そこでノヴァは別の話をしようとすれ違ったジュード達の会話を話してくれた
「魂の橋はルドガー抜きで架けるとかなんとかって――――――」
「っ!ジュード達が…!?」
そんな……俺が決断出来なかったからジュード達が……!
これが……どうしても避けられない事なら……!
俺はノヴァを押しのけ、急いでマクスバードのリーゼ港に向かった
リーゼ港に行くとジュード達が見守る中、兄さんが自分自身に剣を当てて……今にも自害しそうだった!
「うあああっ!!」
「ルドガー……!?」
そんな事はさせまいと、間に入って兄さんを止めた
兄さんが驚く中、ジュード達は申し訳なさそうに兄さんからこの事を口止めされていたのを話す
俺が……俺がすぐに決断出来なかったからって……!
「兄さん、本当にこんな方法しかないのか?」
僅かな希望を持ち、本人の口から真偽を聞くと……兄さんは「ない」とはっきり言い、これがクルスニク一族の宿命なんだと答える
本当に……どうしようもならないのか……
ここに来てもなお、苦悩してる俺に兄さんは「……そんなに悩む必要はないさ」と左手にしていた手袋を取ってみせる
そこから出てきた手は……真っ黒に染まっていた
いつからか手袋をするようになったのは見ていたが、外した所を見た事はない。その理由が………時歪の因子化を隠す事だったのか。と驚きを隠せなかった
「時歪の因子化がここまで……!」
ローエンや他の仲間も驚いてると、兄さんは続けて言う
「どうせ、もうすぐ俺は死ぬ。だったら、この命を意味のあることに使いたい。俺の命で……橋を架けさせてくれ」
兄さん…そこまで、俺を思って……
「ビズリーはまだカナンの地へは行ってないようだから阻止するなら今の内だ……ルドガー、早くカナンの地へ……オリジンの審判を越えてくれ!」
「………っ」
「エルを救いたいんだろ?」
「……!」
そうだ。俺はエルと……約束したんだ!
俺はこの避けられぬ試練を……一族の運命を越える意志を決めると、兄さんは「それでいい」と言い頷く
「それに……連絡がつかないリルが気がかりだからな……もしかしたら、ビズリーの奴に……」
兄さんは俺にリルの事について話して、後に彼女の事も頼むと言う様に心配そうな表情を浮かべる
リルがビズリーに……?
「どういう事なんだ…?」
「そう言えば、ルドガーはクルスニク一族としてクランスピア社に置いてたが、リルはどんな目的で置いてたんだ?」
あの時……リドウからリルは利用するために側に置いていたのを聞いていた俺やミラが、その疑問を兄さんに聞いた
「リル……彼女は――――」
兄さんがその事について説明しようとした
その時
視界の端に何か大きな物が突如現れた
何が起こったんだ?と、その方を向くと……
この港から見える少し離れた大陸から白く輝く大きな扉が聳え立っていた
「なんだあれは……!?」
「おっきい扉だぁー!!」
「一体…何でしょうか…?」
アルヴィン、ティポ、エリーゼが驚いて声を上げる
ここからでも認識できる位の巨大な扉が突如現れるなんて……これはビズリーかクロノスが何かしたのか?と思っていると
「クソッ!………遅かったか!!」
兄さんは驚いた後に悔しそうに顔を歪め、涙を堪えるようにそう言葉を吐いた
「遅かったって…何が?一体何が起こってるんだ…!?」
「あれは……リルの……」
俺達が聞いたリルの事と……あの突如現れた扉の事は
あまりにも信じられない内容だった