その狭間で
ここは真っ暗
夜のような自然に出来る暗闇の空間ではない。どこか異質だ
まるで全てを溶かして無へと還すような……
だけど、そんな異質と思っても別に怖いとかの感情はない。暗闇を認識した頭の中はまるで眠りに誘われるように意識が遠退いていきそうだ……
その時、視界の端に何か光るものを見つける
小さく浮かぶ球状の光だ
なんだろう?ってしばらく見ていると、光はだんだん大きくなり、その中心から何か見えてきた
あれは……
ルドガーにユリウスさん…他にも一緒に旅した仲間達が見えた
まるでテレビのように皆の様子が次々に映る光。視点が次に大きな扉が立つ大陸を映した
……私はここで、皆が悲しそうにしてるのは私が犠牲になって扉が出現したのをユリウスさんから聞いたんだって理解する
そして再び皆が映ると、ユリウスさんの「ルドガー!急いで俺の命で橋を……!!」って台詞が聞こえ、ルドガーが辛そうな表情をして剣を構えるのが見えた
ルドガー達がカナンの地に行くにはやっぱりクルスニク一族の命で橋をかけなければならないのか?
私は……社長の持つ無垢なる鍵になってしまったけど、まだ私の意思がある内だったら……
あの扉をルドガー達にも使ってもらいたい
そう強く願うと、光に映し出された映像に何か大きなものがルドガー達の前に出現する
その台詞から……私の願いが伝わって現実で力になったんだと安心した
あの結晶に魂を吸われた……つまり今の私は結晶と一体化しようとしてる状態だからかな。あんな大がかりな精霊術を移動させる事が出来たなんて……
でも……なんだか、さっきより力が入らなくなってきて、頭がボー…っとしてきた
もうあの扉を出現させ続ける体力は無いかも
ルドガー達が扉を開けてカナンの地に足を踏み入れた所で、様子を映していた球状の光は消えてしまった
これで後は……大丈夫だ
ルドガーならきっとエルを助けてくれる……
ユリウスさんの時歪の因子化だって止められる……
そして……
そ…し……て………
あれ……?何か引っかかるような気がするけど、何も思い出せない
でも、もう……いいや
魂が本格的に結晶と一体化しはじめてきたのか、更に意識が薄れてきた
球状の光が現れる前と一緒で、別に恐怖心は何もない
だから
やる事はこれまでだと思った私は
意識や身体をこの闇に溶かすように
眠りに就こうと、目を閉じた
「…ぃ……」
遠くから誰かの声がした気がする
「…ぉ…………さ………」
聴き間違いか?と思ったけど、今も聴こえる
「………な………、………!」
だけど、閉じてしまった目を開ける事は億劫に感じたし、身体もだんだん動けなくなったきたし、声も出そうとは思わない
例えで感じた眠りそのものになりつつある行動をする私はやがて聞こえなくなるだろうと、声に返事せず気にも留めずに意識を離そうとした
「いい加減起きなさいよっ!リル!!」
「んぇえっ!?」
が、その声は突然の大声になり、私は驚いて失いかけてた意識を一気に取り戻した