意地を貫け




「(一か八かだ!)」




私は地が近付いてきた時にそこに向かって風属性の術をぶつけ、その衝撃波で更に空中に飛び、そこで新たな術の詠唱をした

着地するまで……間に合え!




「なんだ?逃げてばかりで……俺との時間が惜しいのか?」




私の突然の切り返しを見たリドウがそんな事を言って、まだ続きそうな戦いに期待してるようだった

全く……楽しい時間はたしかに続いてほしいのは私も同意だけどね


でも……




「はぁ……だからナルシストは程々にした方がいいですよって何度も言ってるじゃないですか」




私はリドウの言葉に対して「別に貴方と戦いたい為に時間を延ばしているわけではない。あーキモいキモい」と首を横に振り両手の平を肩のところで開いて少しオーバーなリアクションをわざする




「あたしはね……一刻も早く終わらせたいんだよっ!!」




首を振ったあとに率直な気持ちを叩きつけるように言うと、結晶の力を集中させ、自分の周りに氷の刃を複数造り出した

そして下にも……さっき砕かれて散らばった氷の盾の欠片にも力を流れ込ませる

氷の欠片の方は再び生気を取り戻したように輝き、空中に浮かびリドウを囲むような輪になった

……よし、いける!




「銀河を巡る数多の星よ!その煌めきと共に、我に仇なす者を氷結の濁流に飲み込め!」




詠唱と唱えると、リドウの周りの細かい氷が渦巻き霧を生み出していく




「なっ!これは……!」




霧はまるで生き物のように周りに纏まりつき身動きが取れないリドウ

そこに目掛けて私は自分の周りに出現させた氷の刃を入り乱れに投げ付け、刃は地に刺さり魔法陣を描いた

そして氷の刃は渦巻く霧に巻き込まれると、キラキラと煌めき天に一旦昇り……一気に滝のように上から押し寄せる!

まるで夜空から天の川が降ってきたような煌びやかな術の名前は――――




「シュトローム・ミラージュ!!」




不思議と頭に浮かんだ術名を高々に言うと、押し寄せてきた術にリドウは飲み込まれる

結構なマナを使ったから、これはルドガー達で言う秘奥義に値する術なのかな?

術名もそうだけど、この場で思い付いたのを夢中でぶつけたような感じになったな。……だけど、私なりに演出できたと思う


術の具現化が消えると


リドウは骸殻化を解き、体勢を崩し地に膝を付いた




「なんだよ……これは。話が違うじゃねぇか……」




そう途切れ途切れに言い終わると、彼は上半身も倒し完全に地に横になる




「社長、ダメでした。こいつは……リルは思ってる以上に成長した。俺には……止められません」




それを聞いたビズリーはルドガー達との戦いの最中、私とリドウの戦いの決着を見て「そうか……」と一言

初めから、あまり彼に期待してなかったのか、それともいざ利用するときの為にこれ以上は無理をするなと言う意味なのか、ビズリーは一言言ったあとにリドウを咎めなかった




「参ったぜ……リル」




リドウは……私の実力を認めるように軽く口角を上げる




「リドウ……さん……」




まるで、リドウがこの結果に満足して微笑んでるように見えた私は、もしかして彼はビズリーの命令としてではなく、私の覚悟とか意地を個人的に見たくて戦ったものじゃないか?と思った

そして“さっさとルドガー達の加勢に行け”と言うように私を見つめた後に瞳を閉じた

……一瞬、攻撃をやりすぎてリドウが息絶えたのでは?と不安になったけど、倒れた状態で自身に回復術を唱えてるのを見て、リドウはしばらく反撃してこないって思うよりも……命に別状はないって意味でホッとした

私は彼は見てなくてもその言葉に答えるように頷き、すぐにルドガー達の元に駆けつける




「ルドガー!みんな!」

「リル!」

「大丈夫だったか?」

「うん……なんとか!」




合流するとジュードとミラに心配され、大丈夫だ。と傷の癒えた腕を出してなんとか動ける事を示した

その様子を見た二人は安心して、私に術での援護を頼む

よし。散々心配させた分、援護できっちり借りを返してやろう!


そう思い、ビズリーの方に向くと




「ぐああ…!」

「うあああああ!」

「ルドガー!ユリウスさん!」




ビズリーに二人掛かりで挑んだルドガーとユリウスさんが、拳技で一撃でやられ飛ばされてきた!



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