世界の命運をかけて



私とリドウが戦う前からビズリーは仲間達やクロノスと戦っていたはずなのに、彼にはまるで攻撃が効いてない様子でフル骸殻のままで立ち続けていた

流石…最強の骸殻能力者…!

ビズリーの実力に痛感しながら、遠くから私達の元まで飛ばされたユリウスさんにすぐに駆け寄り、回復術を唱える




「こんな事をしてまで………」




ビズリーはすぐ近くの地に倒れたルドガーと、彼が持っていた金と銀の懐中時計を見た

あの二つの懐中時計は……

金はルドガーの物で、銀はユリウスさんの物。つまりユリウスさんは全ての力をルドガーに託して戦っていたのかと私は理解する。だけど




「お前の判断ミスが、すべての死を無意味にしたのだ………ユリウスの死も、お前自身の死もだ!」

「ぐっ……う……!」




ビズリーはそれを否定し、ルドガーの頭を掴み持ち上げ抵抗出来ないようにすると、彼の懐中時計を踏み潰し破壊した

そんな…!フル骸殻になってるビズリーと戦うためには、エルを気にしつつも同じく骸殻の力が必要なのに…!

ユリウスさんの時計は……と言っても、持ち主本人にしか使えない物だ

使うとしたら自分自身の時計を主体にして合体させなければならない

つまり、ルドガーはもう骸殻にはなれない……



そう絶望してると、ビズリーの後ろから一瞬、小さな光が見えた




「(エル……?)」




よく見ると、時歪の因子化が進み苦しそうにしていたエルが、驚いて自身の首に掛けていた金色のモノを見つめていた

あれは……!




「(エルの時計?………もしかして!)」




私はパッとある事を思い出して、一気に希望が溢れた

エルの時計はヴィクトルさんの……未来のルドガーの物。そしてこの正史世界でルドガーの時計と一つになってしまった。分史のモノが正史のモノに吸収されるように

だけど、正史のモノが失った時、招かれ消えてしまった分史のものは―――復活する




「(だとすれば、あの時計を使えばルドガーは……!)」




再び骸殻に変身できる

それに私が気付くと同時に、遠くでもエルが何かに気付いて「パパの時計!」と言うと


ルドガーの元に一直線に走って向かってきた!




「ルドガーーー!!」




ルドガーの名前を大声で呼びながら近づいてくるエルに、ビズリーも気付きルドガーを掴んだまま振り向く




「!、エル……!」

「あの娘の死もだ」




さっきの言葉の続きとしてエルを指して言うと

拳から骸殻の力の衝撃波を出し、エルに向かって何度も放った!




「エル!!」




クルスニクの鍵として利用している時点でも思っていたけど、子供相手でもここまで容赦無しに自分の邪魔はさせまいとするなんて、ビズリーの非情さは改めて酷いものだと怒りが込み上げる

私は衝撃波の攻撃がエルに当たってしまう!と危険を感じて、逃げてもらうように大声で名前を叫ぶ

だけど、エルはそんな危険を顧みず次々と飛んでくる衝撃波を避けながら一生懸命、立ち向かうようにルドガーの元を目指す!


大人の私でさえ足が鋤くみそうになる勢いでくる攻撃に、恐れを堪えルドガーの助けになる為に走る今のあのエルの姿は…

様々な困難を共に過ごした一人の仲間として、とても勇敢に見えた




「くっ……離せっ!!」




そんなエルの危機迫る姿を見て、ルドガーはビズリーの隙を突いて掴まれてる手から脱出し

彼もまたエルの元に急いだ!




「うおおおお〜〜〜っ!!」




体力をかなり消耗した中で最後の力を振り絞るように走り、互いを目指す二人

お願い……届いて!!




「ルドガァァ〜〜〜ッ!!」

「エル〜〜〜〜〜ッッ!!」




エルは時計をルドガーに渡すように突き出し、ルドガーはそれを受け取ろうと手を伸ばす




「貴様ら!」




ビズリーは波動だけではルドガー達を止められないと判断し

自ら直接妨害しようと、拳を構えながらルドガー達の元に飛ぶ

そして、ビズリーの拳が二人の間に差し掛かった瞬間







突然、黄金色に輝く光がルドガーとエルを包み込み、激しく沸きあがる光の柱になった!




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