黄昏時に似ている





………





………………





…………―――――





……――――――――?








気付いたら見慣れた一室のベッドに寝ていた

見慣れた……って言っても、ここがどこなのか正確に思い出せない

ぼぅとしてる頭のせいかな?と思い身体を起こすと、部屋をノックする音が聞こえた




「莉瑠、起きた?」




そう一声かけて部屋に入ってきたのは




「早くしないとお友達来ちゃうわよ」




淡い水色のエプロンを着けた


私の母親だ


つまり、ここは……私の部屋だ




「お母さん……?友達って………」

「ほら、美央ちゃん達と卒業旅行の打ち合わせを家でするんでしょ?」




たしかに………友達たちとそれぞれ短大や専門校を卒業した後に旅行に行こうって話していたっけな

だけど、どうもしっくりこない

何かがつっかえているようで


私が黙ってそう考えてると、母は朝食を早く食べに来るように言って部屋から出ていった


何が…おかしいんだろ

あの置物もカーテンもカーペットも壁紙も机もベッドも。私の好きな物に囲まれた一安心出来る自室

………なのに




「なんで………こう、言い表せない嫌な感じがするんだろう」




答えに辿り着けない私はとりあえず着替えてリビングある一階に降りた

母が作った朝食を食べて……



“いつも通りの日常”を過ごすために






































母の作った朝食を食べ、出勤する父を見送る

なんら変わり無い1日が始まる。そのはずなのに……




「(何か………何か忘れているような)」




やはり何か引っかかる私は、まるで寝起きと共に忘れてしまった楽しい夢の内容を必死に思い出すように頭を捻ったり、周りを見渡してヒントになるものがないか探す

どうして消えないのだろうか、この違和感は……


そうこうしてる内に家のチャイムが鳴る

インターホンで確認すると、両親と同じように聞き慣れた………だけどなんだか久々に聞いたように感じる友達たちの声がした


そして玄関を開けると、お馴染みのメンツが上がり込んでくる




「おじゃましまーす!」

「やっほー莉瑠、この前言ったパンフレット貰ってきたよー!」

「ん?………どうしたんだ莉瑠。さては寝起きか?」




花鈴、華夏、美央。みんな中学の時に出会ってそれからの進路で別々になった子もいるけど、今も時間があればこうして集まるメンバー

………声もそうだけど、皆の顔がなんだか久しぶりに見た気がする

だけど何も変わらない話し方、しぐさ、各々の好みの服装を見てると、なんで変に思ってしまうのか自分がわからなくなった




「あー……いや、起きてるけど、まだ寝惚けが取れないって言うか……」

「目を覚ませーい!じゃないと旅行コースに激辛料理店巡りを追加しちゃうぞ!?」

「えぇー!ちょっと待て!そんな地獄追加するなよ……!」




美央に頭をぐりぐりやられて、それを払いながらも起きてる主張した



……そうだよ。何もおかしい事はない

いつも通りに友達たちと笑って過ごす

その事実は……何の疑いもなく心地よく意識を納得させる



私達は一通り話した後、自室に行く

旅行の計画を立てるため……




“何の変哲の無い日常なんだな”と、深く考えても仕方のない事として前に進むため



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