朝月夜から目覚め


階段を降りながら一階の玄関を覗くと、そこには母が居た




「莉瑠!来ちゃダメ!」

「っ!」




そして私が階段から下りてくるのを見た瞬間にそう叫び、私は驚いて立ち止まる




「何があったの?」

「今ね、家の前に変な人がいるの!」




母は私に説明しながら玄関のドアに鍵をして、更にはチェーンも付けながら覗き穴から何度も外を確認する

変な人って……しつこい勧誘や広告?

けど、母の必死さから見れば、そんな感じじゃなさそう

どんな人なのか?と尋ねようとしたら




「真っ赤なスーツを着た長髪の男で“戻ってこい!”って何度も言ってて……」




私が聞く前に母がそう話した




真っ赤なスーツ……そして長髪の男……

間違いない

私は不思議と安心して笑う事が出来た

もうそこまで来ている………戻れるチャンスが




「お母さん、玄関あけて!もしかしたら……もしかしたら外にいる人は私の知ってる人かもしれないんだ!」

「はぁ?何言ってるのよ!開けたらいきなり刺してくる不審者かもしれないから危険よ!」




いまだにドアから離れない母に開けてほしいと訴えるが、頑なに拒否をする

あんな様子じゃあ食い下がっても玄関を開けるどころか、ドアから手を離してくれなさそう……




「わかった………なら」




別の方法で外に出る

意地でも行かせてもらうんだから




「お母さん。私を生んで今まで育ててくれてありがとう。私はお母さんそしてお父さんの子供で幸せだったよ……そしてこれは親不孝かもしれないから謝るね。ごめんなさい。でも、でも私は………私なりに頑張って生きるから!」




この空間は現実ではない。そうなればこの母も本物ではない。だけど………別れの挨拶が出来ないままなんて嫌だ

ただの勝手な自己満足に過ぎないけど、どうか本人に伝わりますように。と願いながら私は母に今までの感謝を言う

言われた母は「なんで急にそんな事を?」ってポカンとしていた。そんな母を見て私の言葉の意味を理解しなくても聞こえたなら良いかと、次は部屋に急いで戻った



















「莉瑠、玄関で何があったんだ?」

「美央、華夏、花鈴………」




部屋に戻ると、友達たちは計画の話し合いの続きをしてなくて、黙って私が戻ってくるのを待ってたみたい

私は皆を見渡して、一息つく




「私と友達でいてくれてありがとう。今まで一緒に過ごせてとても楽しかったし、皆の夢や努力をこれからも応援するよ!だから……」




母の時と同じように、ここの友達たちにも今までの感謝をする。もちろん「どうした?」とか「急になんだ?」みたいに困惑したけど、その方が寂しさが込み上げて来ないから良いかもしれない


そして………




「私は………先に自分の進む道に行くからね!」





そのまま私は………



部屋の窓を開けて





「莉瑠っ!?」

「莉瑠!!ちょっ待っ……!!」




そこから外へ飛び出した!




もう、ここしか外に出る方法は無いからやむを得ず取った行動だけど

落ちる恐怖は不思議と全然無かった



早く……早く行かなければ!

そんな気持ちだけで突き進んだ



外へ飛び出してから、何故かスローモーションのようにすぐに落ちずにその場の空中にいた




それに気付くと…………




まるで日が差してきたように外が急に眩しくなって、思わず目を瞑った





…………!、何!?何が起こったの……!?


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