朝月夜から目覚め
気が付くと、私は家の玄関の近くで立っていた
無事に着地をしたのか……?
突然の光りで目を瞑っていただけだったのに、いつの間に……
だけど、足に衝撃は無かったけど、こうして立って居られるのは、あの二階の部屋の窓から……
「(あれ………?)」
すぐに何で外に出たのか目的を思い出した私は、辺りを見回した
………母から玄関の外に人が居るって聞いたはずなのに人影すらない
……なんで?
そこの窓から飛び降りて家の外に出ただけなのに…
いや、若干見える色彩が違う。まるで映画とかの回想シーンみたいな青色と白色で創られた世界みたいだ
まるで、さっき居た所とは違う空間に来てしまった。そんな感覚になる
少し用心しながら家の敷地内から道路に出てみると……
「あれは………」
何故か部屋に居たはずの友達たちが道の向こうから歩いてくる
一瞬、いつの間に部屋から出たのか?って思ったけど、窓から飛び降りた私より先に外に行けるなんてあり得ない
「旅行の宿泊先とかの予約、無事済んだ〜!後は当日を待つだけ。楽しみだな〜!」
「修学旅行以外で私達“三人”で旅行だもんね!よーし旅行中あの時みたいに卓球で勝負しよ!」
「ああー“三人”で同時に卓球するやつでしょ?即席でやったふざけた試合でやりずらいけど、何故か白熱したよね!これもう一人居れば普通にダブルスとして成立するのに」
友達たちはそう楽しそうに話しながら私の前に来たが、なんと私の身体をすり抜けてそのまま歩いて行ってしまう
まるで、私が幽霊にでもなったかのように見えないだけじゃなく、居ない存在として此処にいるようで……
そうしていると、家の中から母親が出てきた
「………うちにもあの子達みたいな娘が居たら、ああいう風になってたのかな」
洗濯物を干そうとして外に出たと思われた母はまだ近くで歩いていた友達たちを見ると、そう呟いた
これは………この世界は………
「これは、君があっちの世界で生きる選択をした時の………君の元の世界の様子」
口にも出さず思ってた疑問に答える声が聞こえ、驚いて横を見ると
いつの間にかそこにはあの精霊オリジンがいた
「オリジン……それどういう事?それにこれって、なんだか……」
まるで……最初から私は居なかったみたいな振る舞いだ
そう言いかけたけど、それもわかっていたようにオリジンは続けて話した
「君の結晶の力は時歪の因子化を止める事は出来たけど、君自身のあっちの世界で生きる力は僅かしかない。だから此処の世界での“君”と言う記憶を力に変えるしかないんだ」
此処の世界での私と言う記憶……
つまり、この元居た世界に存在する両親、友達、その他関わった人達の中から…
世界から私「篠宮莉瑠」と言う存在のデータを消して“初めから居なかった”事にする
それが………あっちの世界を選ぶ代償
「今ならまだ間に合うよ。君が元の世界に戻ったとしても君が救った彼らはそのまま。だけど君も彼らも………今までの旅の記憶は無くなる。だけど、もし君が貫こうとする選択に迷いがないなら……」
オリジンが背後を指差すと、そこには青く穏やかに光る扉が出現した
あれが………リドウ達がいる世界へ戻るための道
そして、これが………最後の選択
こうした場面では直面した本人はかなり悩むところだろうけど、でも
「私は………もう決めたから」
何度も言わせないで、と言うように笑ってみせた
たしかに私の消えた世界の様子は、なんだか寂しくて切なさで胸が張り裂けそうだけど、これは私が元の世界を気にする事なく生きていく為の背中押し。と考え直す事にした
皆とも、お別れしてきたし
………そう思っていたけど今になってから、家族や友達たちと過ごした日々の思い出が次々と甦って目の奥が痛くなってきた
……いいや、それでも
私は扉の方に身体を向け、振り向かずに歩いて行く
「君の最後の選択………しっかり見届けたよ」
そう言ったオリジンの言葉を背中で聞きながら
ガチャ……………
ドアノブを回して扉を開けた―――――――――――