1人任務
「色々助けてくれて、本当にありがとうございました」
トリグラフに着き、深々と礼をしてお礼を言った幼いリドウに「大丈夫だよ」って言うと
住宅街の方から1人の女性がこちらに近づいてきた
その女性は黒く長い髪で、すらっとした体型の綺麗な人だ
「リドウ!」
そう言った女性を向いて、彼は
「あ、母さん」
と、呼んだ
「えっ!お母さんですか!?」
幼いリドウは彼女を母と呼んだ事に驚いたが、よく見ればリドウに似ているような気がした
「この人は?」
「魔物から僕を守るために、ここまで送ってくれんだ」
「まぁ、ありがとうございます!それで、お礼は……」
「いえいえ、お金とかはいりません。私もこの街に用事があったついでですし、無事にこうしてトリグラフに来れたのが何よりですから……では」
リドウの母親を見てびっくりしたけど、本来の目的を忘れてはいけなかった。
私は時歪の因子を探しているんだ
分史世界で人助けだなんて無意味だってリドウに笑われそうだけど、ある程度の事はしたい
けど、いつまでも深入りしてはいけない……
そう思って親子の前から去ろうとした
その時
「待ってください!せめてお名前を教えてください!」
幼いリドウの母が私の腕を掴んで、呼び止めた
すると
彼女から黒い光が煙のように湧き出た!
「これはっ…!」
私は驚きのあまり咄嗟に腕を振り払って離れてしまった
「っ?」
母親も幼いリドウも何も見ていなかったのか、黒く禍々しい光について何も言わなかった
それより、急に振り払って離れた私を「どうしたのか?」と言う様子で見た
けど、私は見た。間違いない。幼いリドウの母親から出たさっきの黒い光は……時歪の因子だ!
「い、いえ…」
何とかしよう……でも、どうしよう?
とりあえず母親にすみませんって言って、どうしようか考えるために離れようとした
その時
「そこの人達!危ない!!」
そう大声が聞こえた。と思ったら……頭上から何か音がする
しかも段々近づいてきた
すぐに、上を見ると
なんと、建設中のビルの上から鉄骨が落ちてきた!
「っ!」
それに気付いた親子は、怯んでしまって動けないでいた
「仕方ない……!」
私は結晶を強く握って、バリアーを唱えた
私達の頭上にドーム型のバリアーが現われると、落ちてきた鉄骨がバリアーに弾かれて誰も居ない路上に落ち、ドオォン!と大きく重量のある音を辺りに響かせた