重なる有耶無耶
あれから、何も変わらず最近ちょっと仕事は雑務を中心にしている
いや、何も変わってないって言い切れないかも
最近リドウを見る目が変わったような……
あっ決して好きとかの恋愛感情じゃなくて
……なんだろう?
「リル。ここ記入漏れしてるぞ」
「あ、すみません」
「これで何回目だ?分史世界を壊す度に脳細胞も無くなってんのかァ?」
「……っ」
分史世界壊す度に脳細胞も無くなっているって言われて、最初ムッとしていつもみたいに言い返そうとリドウを睨んだ
……けど、彼の顔を見た瞬間に何も言えなくなった
「何だ?」
「……いえ、すぐ直します」
なんだか文句も言える気力もない
あの、分史世界で過去の自分の前で自分の母親を……
最初はそんな彼の行動に理解出来ないし、信じられなかった
10年以上、分史世界を破壊していれば“分史世界は偽物”って割り切って、世界を壊す重みも感じきれない程に感覚が麻痺する
って思っていた
けど、最後の親子の会話を聞いてたリドウの表情は、なんだか苦虫を噛んだように辛そうに見えた
彼に何があったのだろうか?と気になり出して……
次第に、彼はただムカつく嫌な奴じゃなくて何かを抱えて耐えているのではないか?って思うようになった
……疑問に思うなら、本人に聞いた方がいいと思うけど、そんなに親しいわけでもない
聞いたとしても「なんでお前に話さなきゃならないんだ?」って言われそう
あっ!早く記入漏れを直さないと、リドウに怒られながら急かされる
これは流石に人がいる前でやられるとキツい
そう不安になってリドウを見ると……
なんだか静だ
何かあったのかな?表情からは特別変わったようには見えないけど…
お昼も近いし、早めに終わらせよう
そう思って、書類に集中した
……こちらを見つめる視線に気付かないまま