重なる有耶無耶






「よし、やっと終わりだ」




昼から帰ってきてから、すぐに分史世界が発見されてそこへ行ってきた

……覚悟を決めて行ったつもりが時歪の因子は魔物だったから、本当にこれで初めて1人で分史世界の破壊を成功させた




「(破壊出来た…って簡単に言えないかもね)」




まるで、ゲームをクリアしたみたいな言い方をした…と悩んでしまった

時歪の因子がどんなのであろうと、その世界に住む全ての生命と文明を壊すのは共通している

だから、魔物だったって安心してしまった自分に自己嫌悪になった




「(さっさと帰ろう……)」




分史世界から帰ってきて報告を終えた私はロッカーから鞄を取って、エレベーターに向かう


社内にはほとんど人がいない。エレベーターはすぐに着き、扉が開くと中は誰もいない

1人だったため、周りを気にすること無くエレベーターの左壁に背を向けて寄りかかった




「(ダルい…最近ちゃんと食事していないからね……)」




昼は駅や店で売ってるお弁当とかパンだけど、朝夜はカロリーメイトみたいなのとかゼリー飲料で済ませている

……ちゃんと食べないと頭が回らないって本当なんだな

晩ご飯は何かちゃんとしたのを食べよう

そう思って港にある飲食店に行くことに決めた


エレベーターが1階に着いて扉が開くと、さっさと出口に向かう


すると、そこには…




「(あれ?リドウ…?)」




出入口にいるのは、あの赤い派手なスーツが目立つ人物、リドウだ


こんな所で何をしているんだろう?

まぁ、だいたいファンの人とデートの約束して待ち合わせしているって予想出来る




「お疲れ様でしたー」




すっと通りすぎて行こうとしたら


リドウが私の前にきた




「わっ!?」




そうなると思わなかったから急いでいた足を慌てて止めると、危うくリドウにぶつかりそうになる距離だった




「遅ぇよ」

「はぁ…?」




どれくらい俺を待たせた?みたいな顔をされても困る




「あの、私に何か用でも…?」




そう聞くと、今度は急に怪しく何かを企むみたいに笑った

そして…




「今から俺とデートしてくれないか?」

「はっ…は、はいぃぃ!?」




予想外の言葉を聞いてしまった

私とデートだと!?

じゃあ、私のためにここでずっと待っていた…?

なんだか、不覚にも嬉しいって思っていたり、そうではなかったり…

ってその前に!これは何か裏があるはずだ!




「こんな時間にデートって……」

「安心しろ。別にホテルに誘ってるんじゃない」

「…本当ですか?」

「あぁ」

「…行き先は?」

「大通りのバーだ」




余裕ぶった表情で断言する

……怪しい感がまだ漂っている

GHSに警察の番号を打ってコールボタンを押せばかかるようにしておこうとしたら、リドウに腕を掴まれて、GHSを取られてしまった




「どこに連絡するつもりだぁ?」

「か、返してくださいっ!」

「それより、俺の誘いの返事は?」




そう言いながら、開けたままの私のGHSを片手で振って見せる

断ったら没収する気満々だな!それに腕を掴まれたままだし…

私が断れなくなるようにするなんて…卑怯でムカつく!

けど、仕方ないな…




「…わかりました。けど、変な事をしたらそれなりの対処をしますので」

「だから、本当に何もしねぇって」




そう言いながら、私に投げるようにGHSを返してきた

…っと、危ない!取ったくせに乱暴な扱いするなよ!


リドウを軽く睨むと、彼はそれに無視したのか、気づかなかったのか、わからないが私に「行くぞ」と腕を掴んだまま歩き出した




「わっ!速いです!転ぶ…!」




すごく乱暴なエスコート(?)で私はリドウに連れられた



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