重なる有耶無耶




彼が話したのは



生まれつき心臓に病を患った少年の話


彼は生まれた時から物心があり、彼の両親は赤ん坊だった少年は自分達の言葉はわからないと思って色々言ったらしい

“なんで病気なんか持ってるの?”“なんで私達にこんな子が生まれたの?”そう言って彼に対してハズレクジを引き当てたみたいな顔をした

やがて、6歳になった少年は病気が進行して命が危うくなる

あんなにハズレクジ引いた顔をしてた両親もこれはまずいって思って、病院へ連れて行き手術してなんとか助かった


……ここまで聞いて、その両親はなんだかんだ言いつつ助けたって事は息子に愛情はあるんだなって思ったけど、そんな考えを壊す続きがあった




「やがて、かかった手術費は莫大な借金になって、家族は離散した」

「え……!?」

「少年は路上で毎日食うか食わないかの生活をしていた」

「……っ!」

「その時から裏社会で生きるようになった少年は、12歳になってビズリー社長からスカウトされ、このクラン社に来た……これで話は終わりだ。何か質問は?」




これは他人事のように話しているけど、リドウ本人の話ではないか?と思って聞いた




「あの…そのご両親についてですが…」

「ん?そいつらが生きてるのか死んでんのか、なんてわからねぇからな」

「そうではなくて……貴方はご両親の事をどう思ってますか?」




あえて他人事のように話したから“その少年は”って言わなければならないところを私は“貴方は”と言ってしまった。けどそうやって気遣う余裕がないほど今すぐ聞きたかったかもしれないな……

その問いにリドウは




「どうって?……ハッ!別に愛情も無ければ、恨みも悲しみも無い」




私の言葉に否定しなく、あっさり自身の話だと認めたけど返答は悲しいものだった




「そんな!何も思わないのですか?」

「じゃあ、お前は自分を捨てた人間を一々気にして過ごすのか?愛を送っても届かない、恨みを燃やしても自分が焼き付くだけ……だったら、何も思わねぇ方がいいだろ?」

「っ……」




何も言えなかった


たしかにリドウの言うとおりかもしれない

別にリドウが冷たい性格って言いたくないけど、なんだか実は両親を気に掛けてて、気持ちが裏返しになって恨み言を言うかと思っていたけど……


ここで、ユリウス室長の言葉を思い出した


“もし、時歪の因子が家族だったら躊躇うけど斬る。ただし、躊躇うのは家族に愛情があればやる事”


それって……


そうか、ユリウス室長はリドウの事情を知っててあんな事を言ったんだ

ここで疑問が晴れた


リドウは……実の両親に対して何も思わないから、さっさと斬った

そうなれば、時歪の因子が母親だったのも頷ける


時歪の因子は…“正史世界と最も違うモノになっている”って言われているから……

悲しいけど、そこに関しては納得していると




「悪い。こんな経験の無いリルちゃんには、わからない話だな」




リドウはそんな私を見てクスリと笑って言ってきた

いや、いつもみたいな馬鹿にした雰囲気はあまり感じられなかったから、私は反発することなく普通に返事した




「……両親に捨てられた事は確かに無いです。けど、両親に愛されているからって、全てが上手くいくとは限らない事は知っています」

「…たしかにな」




その時、また沈黙になったから私は残りのパスタセットを完食すると

店員が飲み物を2つ持ってきた


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