やってきたのは厄介事だけ?
――――――――
「……と、こんな感じでいいかな?」
ざっと回ってきたけど広くて紹介する所が沢山あったから、情けないけどなんだか疲れて椅子に座りたくなった
うぅ……早速、頼りない先輩なのがバレたな
「ひ、広いですね…」
イバルもちょっと疲れている様子だけど、はじめて見るものばかりのせいか私の様子には気付いてないみたい
よ、よかった……
なんてホッとしながら、イバルと話した
「覚えられそう?」
「すぐには無理だと思いますが、頑張って覚えてみます!」
おぉー!流石、努力家!だけどその努力が変な方に行く事もあるんだよなぁって内心で苦笑した
「あ、ちょっと待ってて」
私は一旦休憩するために自販機から飲み物を買った
「はい、お茶で良かった?」
「あっありがとうございます!」
私の気遣いと自販機の飲み物に驚くイバル
あぁ〜リーゼ・マクシアに自販機無いもんなぁ珍しくて当然か…って思いながら、中央にあるベンチに座る
「えっと…イバルは何か特技とかある?」
「特技ですか?そうですね、俺は戦闘はもちろん!掃除に洗濯、料理やお茶入れが得意です!」
「おぉ!家庭的!あ、でもさ……機械類とか扱える?」
そう聞くと、彼は表情が強ばった
「き…機械ですか?」
なんか、シドロモドロに言っているって事は…
「……苦手?」
私はそうクスッと笑うような感じに聞くと「全く扱えないっす」って苦笑いしながら答えた
「実は私も苦手だよ。GHSなら慣れてきたけど、パソコンはね」
それを聞いたイバルは一瞬驚いた
「あれ?じゃあリルさんって俺と同じリーゼ・マクシア人?」
「ううん。私は……」
危うく元の世界での出身地を言うところだった
えっとたしか、記憶喪失って設定だよね…
「……どこから来たのか覚えてないの。気付いたらこの会社にいたの」
「えぇぇ!?そ、それって、まさか……」
「うん…」
「認知症ですか!?」
「うん……って、違うわ!!」
記憶喪失って言ってくれるって思ったら、まさかのことを言われて思わず友達にツッコミを入れるように、手の甲でイバルの肩を軽く叩いた
まぁ彼の事だからふざけてるんじゃなく、超真面目に言ったんだろうけど
「自分で言うのもアレだけど…私、記憶喪失なんだ」
「記憶喪失……!?」
「最初は本当に右も左もわからない状態だったけど、今はなんとか生活していけるだけの力が付いたから平気だよ。それに…」
「そ、そんなにゆっくりしてていいんですか!?」
「え?」
「こうしている間にリルさんの家族が心配してます!俺も記憶が戻れるように手伝います!」
「あ、ありがとう。けど、私のためにそこまでしなくていいんだよ?」
「何を言ってるんですか!貴女は俺の上司!部下が上司の手助けをしなくてどうするんですか!」
「ええ〜?…そう?」
わわわっ…なんか彼のお世話焼きスイッチが入っちゃったみたい…
目上の人に対する姿勢はいいと思うけど、やり過ぎてしまう感が半端なくて逆に心配だ
……なるほど、ミラ=マクスウェルもこんな気持ちだったのかな?
「あ、じゃ、じゃあ……何かあった時にはお願いするよ!けど、今はとりあえずイバルにここに慣れてもらわないといけないから。あ、そうだ!仕事でお使いを頼まれる時もあるから、トリグラフの街中も回ろっか」
なんとか別の話をして、イバルの案内に戻った