やってきたのは厄介事だけ?




街中を案内して雑貨屋でよく買うものを教えた後、イバルが私に聞いてきた




「あの大きな建物は何ですか?」




指差す方を見ると、それは駅だった




「あぁ、駅ね」

「えき?」

「行ってみる?」

「はい!」




初めて聞く単語にどんなものだろうって目を輝かせながら返事したイバル

私も彼を連れて行ったらどんな反応するだろう?ってわくわくしながら駅に行った










「なっ…なんですか!あれは!?」




予想通りにイバルは駅にあった列車を見て驚いていた

私もこれを見た時には驚いたなぁ

あ、駅や列車は元の世界で見たことあるよ?私が言いたいのは……今までのテイルズではそんな技術は見たことなかったから驚いたって事

空を飛ぶ機械とかならいかにもRPGって感じだけど、列車とか携帯とかはまるでテイルズが私がいた世界に似てきたって思うくらい


けど、イバルは列車すら知らなかったから、本当に物珍しそうに見てた




「あれは列車って言って、人を乗せて他の場所に移動する機械だよ」

「えぇ!そうなんですか!でも、あんなのを引っ張るってなれば馬を100匹?いや、ワイバーンを……」

「ちょっと待って、ちょっと待って!」

「?」

「あんなデカくてすごく重いのを動物や魔物で引っ張っても動かないから!」

「ええ!?じゃあ、あれはどうやって動くんですか!?」

「え?あ、あれは……黒匣とか電気を使ってるんだよ!」




いまいちこの世界の列車の仕組みが知らない私は、とりあえず考えられる一番の可能性を話す




「……本当ですか?」




私の発言に、怪しい…と言わんばかりの感じに聞くイバル

その時、アナウンスで“間もなく、一番ホームにドヴォール行き列車が到着します……”って流れた




「あ、列車が来るみたいだから見よ?せめて、列車は引っ張って動かす物では無いってわかると思うから」




そう言って人が多い中掻き分けて、改札口の近くに行こうとしたら……




「っ!」




突然、イバルが走りだした!




「えっ、ちょっ…イバル!?」




私は彼を呼んだんだけど、それには応えずにどんどん進んで行った

それに気付いた人達も、何だ?何だ?とイバルを見て言ったが、やがて「な、何をしているんだ!君は!!」になった


ぬぬぅ〜人を掻き分けていくのが困難になった上に、身長が低い方だから先で何があったのか見えない…わからない…!

もう、なりふり構わず、突っ込んでいく感じに「すみません」を連呼しながら、人混みの中を進む




「すみません、通して……っ!?」




ようやく人混みの一番先に出られて、そこで見たものは……



壊れた改札口と…



なんと、イバルがホームの下の……列車が来る線路に降りている姿だった!




「なっ!何をしているの、イバル!?戻ってきて!!」




私は驚きながらも、イバルに早くこちらに来るように叫んだ!

しかし、他の人達の声で聞こえてないのか、戻ってくる様子は無い

駅員は……あまりに突然な事で、出遅れてしまったのか人混みから出られないでいる


……こうなったら、仕方ない!

私も壊れた改札口を通ってイバルがいる所に向かった!




「イバル!何でこんな事を……」



ホームの上から、レールがたくさん敷かれた線路にいるイバルを見ようとしたら




「え…!?」




そこには、イバルと…


足に擦り傷をして泣いている小さな女の子がいるのを見た




「痛いよぉ〜…」

「大丈夫だ。俺が必ず助けるからな!」

「イバル…貴方……」




そうか、イバルはこの女の子がホーム下の線路に落ちたのが見えて、助けに来たんだ…




「すみません!リルさん!この子を引き上げてくれませんか?」

「わ、わかった」




イバルは女の子を抱え上げた。私は上から腕を伸ばして女の子を受け取った




「大丈夫?」




私の腕に来た女の子に聞くと、泣きながら頷いた

よかった。女の子に大事は無いみたい



けど、安心しているのもつかの間


駅に列車が近づいてきた!




「大変!イバル、早くっ!」




イバルもホーム上に登ろうとしたけど、段差がありすぎてなかなか登れない




「掴まって!」




私は手を伸ばしてイバルに掴まるように言うと彼はすぐに掴む。それを確認して私も掴み返して、一気に重心を体の後ろに持っていくように力を入れ、イバルを引き上げる!


なんとか、間一髪だった……と思ってると、ホームに入ってくる列車の音と風がゴオオ…と通り過ぎた

引き上げた反動で私は仰向けに倒れ、イバルは私の上にうつぶせに倒れてきてなんだか怪しい格好になったけど、今はとにかく助かった…って気持ちしかない




「ハァ…ハァ……イバル、だ、大丈夫…?」

「大丈夫です……」




ここでようやく駅員が来て、怪我をした女の子と私達を見て理解して「この2人が女の子を助けた!」って周りの人達に言って、救護班を呼んだ

救護班を呼んでいる間に、駅にいる人達からの拍手が鳴り響いてきて女の子の母親であろう女性が来た




「よかった!!大丈夫!?目を離していてごめんね!!」

「ママァ〜!」

「あぁ、あなた方には感謝しきれません!ありがとうございます!ありがとうございます!!」




女の子の安否を確認して私達にお礼を言ってきた




「いえ、私はただ手伝っただけで、お嬢さんを助けたのは彼です」




倒れたままは流石にマズいと思って体勢を立て直しながら、私はそう言ってイバルを向く

すると




「当然です!俺はクランスピア社のエージェント候補!人を助けるのは当たり前の事!」




と、あの左腕を腰に当て、右手の親指で自分を指してニカッと笑うポーズをしてそう言った

あんまり頑張りすぎたら今度こそ怪我するよ?って言おうとしたけど何より皆無事だから、私は何も言わずに鳴り止まない拍手の中、笑顔で彼を黙って見ていた











―――――――




その後、会社で社長に呼び出されて私とイバルは改札口を壊した事でちょっと説教された

けど、女の子の命を救った事が大きかったため、だいたいは多目に見てくれて軽い注意みたいになったけど




「今後は気を付けるようにな」

「「はい…」」




私達は一礼して社長室から出た




「ありゃ、こんな時間だ」




GHSで時間を確認すると、7時半くらいを差してした

じゃあ、ここでまた明日って言おうとしたらイバルが頭を下げてきた




「すみません、俺が勝手にやった事でリルさんを巻き込んでしまって…」

「何で?イバルは女の子を助けたんだよ!」

「けど、改札口を…」

「たしかに壊したのは悪いけど、改札口の仕組みが知らなかったって事と女の子を助ける為だったから、今回のは仕方ないんじゃないかなって私は思うよ?」

「……」




しかし、そう言ってもその1つのミスをすごく気にしているみたい…




「大丈夫だよ」




私はイバルの両手を握って言った




「皆イバルの事は改札口の事より、女の子を救った事を一番に印象に残しているよ?」

「そう…ですか?」

「うん!私もイバルってカッコいいなぁって思ったよ!」

「っ!」




それを聞いたイバルは顔を赤くして照れたように「俺が…カッコいい?」って呟いた




「そうだよ!だから、明日も頑張ろうね」

「…はいっ!」




私の言葉を嬉しく思ったのか、イバルはいつもの笑顔になって返事をした

そしてその場で「じゃあ、またね」って私が帰ろうとすると




「あ、また明日!」




そう言いながら、両手で手を振る

ミラ様行ってらっしゃいませー!だっけかのあの見送りの仕方


それを見て思わず笑ってしまって、また振り返って「じゃあね」って再度別れの挨拶をした


会社を出てから今日は色々あったなぁとか、イバルは前作と変わらないなぁって思った

そしてあることを思い出した…




「(あ、そう言えばアレを忘れていた)」




昨日の事を聞こうとリドウを探して今日はいないってわかってちょっとモヤモヤしたり、リドウのファンの前で失態をしてしまった事を悩んでいたけど、イバルのお陰でモヤモヤが無くなったな……気長に待っていられるし、私も頑張らないといけないなって思いながら帰宅した


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