ひとときの夜間領域




船内で仕事をしていると、辺りが暗くなったような感じがして、ふと、窓を見ると見慣れない夜空が見えた


深い緑に輝く夜空と星たちが煌く夜域……

イル・ファンに着いたんだとわかった


やがて船が止まり、荷物をまとめて船から降りていく

そこから、まだ街はちゃんと見えないけど街の中を照らす輝く植物が見えた

全員いることを確認して港から街に入ると




「――――!!」




私は思わず外の風景に見入ってしまった


綺麗……その一言しか出ない

街を暖かく照らす植物や街灯に蛍のような小さい光が集まったり飛んでいて…

とても幻想的だった

あのゲームで見た光景が今目の前に……その地に立っているのが信じられない!と、ホテルに向かいながら街を眺めた









ホテルに着いてチェックインすると、ここからは自由だけど街からは出ないようにってリドウに言われた


その言葉を聞いて皆割り当てられた部屋に行く

私も同じく部屋に行って荷物の整理した




「えっと……財布とGHSだけでいいよね?」




大きなキャリーバッグとサブバッグを置き、手下げのバッグに必要最低限の物を入れた




「よし、これでいいね!」




私はすぐにホテルを出て街へ繰り出した



















「(やっぱイル・ファンって素敵だ!)」




何度この光景を見ても飽きないだろう。あぁここに居れるのが幸せ……と思いっきり深呼吸して歩き出した


別に目的地は無くて、ただ街中をぶらぶらするだけだけど、すごく今楽しんでる

店に入ろうかな……って考えたけど、ここは王宮がある街だから高いブランドがたくさんあるって思うと入るのを躊躇した

そうして、適当に歩いて行くと




「(あ…そう言えば……!)」




私はある所を思い出して、記憶を辿って行った










歩いていくと植物に照らされてオレンジに輝く街とは違い、街灯に照らされた青い通路と大きな水路の光景になった

ここはラフォード研究所へ行ける道。つまり…




「(わあぁぁ〜〜!こ、ここがジュードとミラ=マクスウェルが出会った所か!)」




私はまた感動してジュードがいた橋のところに行く




「(たしか、研究所に入れなかったジュードがここで紙を風で飛ばして……)」




水路に面した端に行って、身を乗り出すように水面を見る




「(ここでこうして水の上を歩くミラ=マクスウェルを見つけたんだよね…!)」




もう、ジュードに半なりきりながらウキウキして見てた




「(あぁこんな幻想的な所で水の上を歩く美女を見つけたら、ついて行きたくなる気持ちわかるなぁ〜)」




そう思って我ながら気持ち悪いけどニヤニヤしていると……




「ねぇ、君1人?」

「え?」




声のした方を見ると、なんだかちょっとチャラい雰囲気出している茶髪の青年がいた

こりゃナンパだな……せっかく1人で楽しんでいたのに!

邪魔されて悔しく思いながらナンパから逃げようとした




「あの、私は今…」




これから忙しくなるので失礼しますって横を通ろうとしたが、青年は負けないくらいに「どこから来たの?」「年齢はいくつ?」「これから俺の家に来ないか?」って前に立ちふさがって質問責めで逃がしてくれない…


うわぁ。うぜー……

こうなったら強行突破するしかない


そう思っていたら青年の頬に、赤い線がピッと一瞬で引かれた

え?なにが起こったの?って思っていると青年は「痛っ!」と言って手で頬を押さえる

どうやら、頬に切り傷が出来たみたいだけど……なんで?




「その子に手ぇ出したら、次は腕を切り落とすぞ?」




私達の横からメスを構えて青年に突き付けるリドウが来た

それを見た青年は「ヒィィ!」と鈍い悲鳴を上げて一目散に逃げて行く




「ったく、お前はこんな所で何やってんだ…」




青年の姿が見えなくなると、私の方に向き直ったリドウがそう言ってハァとため息ついた




「あ、ありがとうございます!ただ、あまりにも綺麗な街なので色々見てみたいと思い、目的もなく歩いていたらここに着いて……」




まさかジュードとミラ=マクスウェルが出会った所が見たかったなんて言えない……

けど、宛てもなくぶらぶら歩くのは事実なので嘘は言っていない

それを聞いたリドウは




「はぁ?お前馬鹿だな」




って一言。何に対して言っているのかわからないから「え…?何がですか?」って聞き返す




「綺麗な所が見たいなら、こっちだ……来い」




って言って何処かに向かって歩き出した




「え?え?」




いまいち何なのかわからなくてその場に黙って立っていると、リドウが振り返って舌打ちして戻ってきた




「来いって行っているだろ?」




そう強めに言うと、私の手を取って歩いた




「わわっ!!」




いきなりだったから、転びそうになりながらリドウについて行った

…全く、この人は乱暴なんだから


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