日断つ雨



あれから更に進んで行くと雨が降ってきた

その中を数分歩いていると、岩や雑草に囲まれたテントを発見した


よかった……ここで一休みできるって入っていくと、中はなんだか見たことある気がした




「(ここはたしか、あのチェスみたいなのが動く地図があった所……だよね)」




そうなれば、ここがファイザバード沼野で……魔物がいるんだよね?

テントの中とはいえ、もしかしたらいきなり襲ってくるんじゃないかって思うと、もう長い間使われていない古びたテントの中でゆっくり過ごして大丈夫か?なんて不安になっていると



頭に何かが乗った!




「うわっ!!?」




私が驚いて大声上げると




「わっ!すす…すみません!」




後ろからイバルが謝っている声が聞こえて、振り向くと…


イバルはタオルを持って床に尻餅ついていた




「え……?」

「結構雨に当たったと思って…」




ここでようやく、イバルは私の頭を拭こうとタオルを被せてきたってわかった




「ごっごめんなさい!てっきり何か変なのが落ちてきたかと思って……」

「いえ、俺もいきなり乗せたのが悪いですし…」

「とりあえず私は大丈夫だから、イバルは先に自分を拭いていいんだよ!」

「それは駄目です!女の人は冷やしちゃ体に悪いです!」




そう言ったイバルは今度は正面から私の頭にタオルを被せて髪や頭を拭き始めた


正面だったから今度は驚かなかったけど……

なんか今のイバルはお母さんみたいだな〜って甘えてしまった

子供の頃を思い出して懐かしく思っていると




「チッ。紛らわしい…いちいち騒ぐな」




リドウはその場で舌打ちして小さい声でそう吐く

あぅ…そうだよね。魔物いる中で騒いでごめんなさい。皆に迷惑かけちゃいけないと反省した

そして、イバルが髪を拭き終わったのを見計らって、女性社員2人が私に近づいてきた




「リルさん。ちょっといいですか?」

「はい?」




そう呼ばれて2人とテントの端に行った




「あの……余計なお世話だと思いますが、あまりリドウ副室長を嫉妬させない方がいいかと……」




呼ばれて聞いてみたら、すごく小さな声でそんな事を言われ困惑した




「え?リドウ副室長が嫉妬?誰に?」




2人はそんな私に「えっ?知らないの?」って言わんばかりの表情をしたけど、本当にわからないで困惑している私の様子にやがて気付いてくれた




「だったら、今からでもあまりイバルさんと話さない方が…」

「え?なんでイバルと?」

「それは、リドウ副室長はリルさんが…」




女性社員が何かを言いかけたところで、リドウが「そろそろ行くぞ」と言ってきた

それを聞いた皆は返事をして早々に準備し始める




「では、失礼しました。また後で…」




そう言って女性社員達は一礼して準備するために先にテントに戻っていく。なんかすごく気になるけど、とりあえず今は遅れたらまた怒られるって思って私も急いで戻って準備した















高い所から飛んだり降りたり、沼が広がる狭い道を通ったり……そんな複雑な所があるファイザバード沼野を進んで行く




「キャッ!」




自分では気をつけていたつもりだったが、石につまづいて転んでしまった




「大丈夫ですか!?」




イバルはすかさず私に近づいて心配をしてくれた




「平気だよ!スカート汚しちゃったのがちょっと悔しいけど」

「スカートもですけど、膝も擦り傷が……あ!」




イバルは先頭を歩くリドウを見て声を上げた




「ちょっと待ってくださいよ!リルさんが…」

「あぁ?自分のミスは自分でなんとかするのが普通だろ」

「なっ…!?」

「あー、いいのいいの!リドウ副室長の言うとおりだから…」




イバルが今にもリドウに突っ掛かって行きそうで、大きな衝突になるって思った私は大丈夫だと言って止めた

幸い出血も少ないし、自然に治るだろうって思った私は立ち上がってリドウ達を追おうとした




その時、私は目の端に何かを見た




「?」




何だろう?って思ってそっちを見ると


額に角、背中に翼の生えた白い馬がいた




「(あれは…まさか、ペガサスかな?)」




ファンタジアに出てきたのを考えると……姿かたちが似ている

もしかして、私は伝説の生物に出会えたのでは!?とテンションが上がった




「ちょっと!イバル、あれを見て!あれ!」




イバルに確認してもらおうと、生物に指を指して教える

それに対してイバルも「何があるんですか?」って目を凝らして見た


私は「あれは伝説の…」って言葉が出てくるだろうって内心わくわくしながら彼の反応を待った


しかし、イバルから出た言葉は




「っ!!リルさん!下がってください!」

「えっ!?」




そう叫んで突然、武器を構えた!

あまりにも突然な事で、私は何でそうなったのか理解が遅かった




「ど、どうしたの!?」




私の問いにイバルが答える前にそのペガサスらしき生物はこちらに向かって走ってきた!




「っ!!」




私達に近い所まで来ると、いきなり後ろを向いて後ろ足で蹴り上げた!




「危ない!」





間一髪イバルが双剣で庇ってくれたお陰で私は無傷でいられた




「うわっ…!!」




一方、私を庇ったイバルは同じく無傷だが、後ろ蹴りの威力に負けて少し後ろに飛ばされた!




「イバル!」

「気をつけてください!そいつはユニコーンって言う魔物です!」

「えぇ!?魔物!?」




伝説のペガサスじゃなかった事よりも、名前はユニコーンなのに魔物ってのにショックを受けた

あれ?ファンタジアやシンフォニアでユニコーンは清らかな乙女にしか出会えないって伝説の生物じゃ……

ここではそんな扱いかよって残念に思ったけど




「(待てよ……例え違うユニコーンでも清らかな乙女にしか出会えないってのが共通なら……私は清らかな乙女って認められた!?)」




自分の前に現れてくれたユニコーンに対してちょっと期待して見ていると…

私を目がけて突進してきた!




「ぎゃあああ!?み、認められなかったかーー!!」




そう叫びながら突進を避けて、ふと、草むらを見る


そこから頭に2本の草を生やした小さい魔物……カラフルな色をしたプチプリが何十体もワラワラと出てきた!




「も、もしかして異常発生の魔物ってこいつらじゃ……」




後から後から出てくるその数の多さに青ざめていると、プチプリが一斉に攻撃してきた!




「うわあああ!く、来るな!」




私はもう当てずっぽうに鞭を振るとその時、後ろからメスが飛んできて植物の魔物を一気に3匹も倒した




「ったく、俺に助けられたのはこれで何回目だ?」

「リドウ副室長!」




私達の様子に気付いたリドウ達は戻ってきて加勢してくれた




「ご、ごめんなさい…」

「けど、こうなればもう俺はいらないな」

「戦わないんですか?」

「だってイバルの戦闘能力を見てこいって命令だろ?」

「いや、だからと言って…」

「客観的な視線と協戦してみての感想が必要だと思わないか?」

「何それー!」




助けてくれたのは嬉しかったけど、そんな…

なんてぐうたら野郎だ!って思ったけど、今はそれどころではないって諦めてイバルの近くで戦った


他の社員はプチプリ達を

私とイバルはユニコーンを相手した


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