差し込んだ光と春の色
連れて来られた所は…
最初にリドウと食事したあのお洒落なバー
ここだったら教えてくれても別に良かったんじゃないか?ってすごく思った
けど、前と違って奥のテーブル席に行く
「(今日はあまり人はいないのに、なんで奥の所に座ったんだろ?)」
そう、あの時だけかもしれないけど前に来た時は結構人がいたのに
今は1人…2人……
私達を入れたら7人くらい?
「どうした?ここは初めてじゃないだろ?」
周りを見ていた私にリドウは聞いた
「あ、いえ……今日は人が少ないなぁって思って」
「その方が都合良いんじゃないか?」
「良い……んですかね?」
たしかに人が多ければちょっと騒がしいけど
あまりいないってなれば静かで話が丸聞こえになるんじゃ…
だって、これから話すのは…
「で、お前の借金についてだが…」
はい、よりによって借金の話となればすごく他人に聞かれたくない
なんでわざわざここで話すんだろう?
内容によっては店を変えてもらおうか…って思ってとりあえず話を聞く
「……と、その前に」
「?」
「リル、お前また俺を避けているだろ?」
「えっ!!?」
話を変えられたって思ったら、いきなり痛いところを突かれた
なんとか弁解しようとしたが最初のリアクションで図星だって気づかれた
「なんだ?俺また何かしたか?」
「いえ、貴方のせいではありません!ただ、貴方に怪我をさせた自分が許せなくて…」
いくら嫌な上司でも生命の状態に関わっていた危険な状態だったから…
「あぁ、あれは気にするなって言っただろ?」
私とは違いリドウは気にしていない様子だった。たしかに回復術をしている時、何度も謝っていると彼が「謝らなくていいから回復に集中しろ」って言ってたけど…
気にするなって言われても、更に申し訳ない気持ちになる
私は下を向いているとリドウは
「今は…優しい子って言った方が相応しいか…」
ってクスリと笑った
また甘い性格って思われたんだろうな。貴方は大丈夫だからそう言えるけど怪我させた側としては、しばらく申し訳ない気持ちでいっぱいだよ……
そう思っていると、話は本題に戻った
「聞いたと思うが、お前にかかっていた借金は帳消しになったからもう払う必要はない」
「はい……けど、なんでですか?私何かしましたっけ?」
「…なぁリル。俺とデートしてどうだ?」
借金の話に入ったと思いきやまた別の話に……いきなりデートの話になった
なんで?って思ったけど、とりあえずその質問に答える
「え、楽しいですよ……?」
言ったとおり彼とのデートは楽しい。仕事ではムカつくけど、デートではいつもみたいに小言があまりなくて好きな事とかの話も出来てご飯も食べられるからね……
「それは嬉しいな……けど、何か疑問に思ったことはないか?」
「?」
「デートで支払いしているのは俺だろ?その時“金はまさか自分が返済した借金からじゃないか?”って思った事無いか?」
「あ……」
そう言えば、そう思った時あった
え?でも、なんでそんな事聞くの?
まさか…気にしている?
まさか、まさか、まさか!
あのリドウが私に気にするなんて……
そう思った時、いつもならそうして内心で笑い飛ばしていたけど
社員達や彼のファン達が噂をしている事を思い出して笑い飛ばせなくなった
黙って聞き続けると
「その様子だとそう思っていたな」
「まぁ…そう思いませんか?」
もう期待を消すために、開き直った
「だから、もう借金の契約を無しにする……それに今まで返済してくれた金は全てお前の口座に返した」
「はぁ!?えええぇぇぇ!!?」
そこまで聞くと、もう椅子から立ち上がってテーブルに手をついてリドウを凝視して驚いて叫んだ!
それを見たリドウが「リアクションがオーバーすぎる」って手を口を当てて爆笑しはじめた
「いやいやいや!爆笑している場合じゃないっすよ!兄さん!アンタ今とんでもない発言したっすよ!?」
「お前、それ何のキャラなんだよ」
変な言い方になったのに対して、また爆笑するリドウ
……もしかして、来る前から飲んで酔っ払っているんじゃないか?って思った
「あたしよりも自分のキャラの方を見失ってますよ!?……とりあえず何でそうなったかいい加減に理由を教えてくださいよ!」
ホントこの人は何を言ってるんだろう。あんなに金に1番うるさい人間なのに…せっかく人が返済した金を全部返すって
今の状態なら逆に怪我を理由に借金が増えるって思ったのに…
まさか、この人は分史世界のリドウ!?
…いや、無いな
仮に正史世界のリドウと入れ替わろうとしても“クルスニクの鍵”本人かその能力者と一緒じゃないと分史世界から正史世界に来れない
だとすれば…
怪我をさせた原因で……私がクビになる!?だからせめての情けで借金が無くなったのではないか?って不安も出てきた
それとも別の理由が…?
一旦クビになるって予想を無くして別の予想をしようか…
そう考えてたその時
突然店の電気が消えた!