差し込んだ光と春の色
「えっ!?な、何!?何!?」
いきなりだったから停電だと思い、その場で大人しく座ったまま周りを見た
真っ暗な中、目の端に何かが見えた
オレンジ色に光る何かで、それは…
段々こっちに近づいてきた!
「ええぇ!何!?何々!?何が来たの!?百物語!?」
自分でも意味不明な事を言ってテーブルを両手でしがみ付いていると
そのオレンジ色に光る何かが私の前に置かれた
それをよく見たら…
火の付いた小さくて細い蝋燭が何本か立っている可愛いらしいフルーツケーキ
そしてケーキの下の皿にチョコレートでこう書かれていた
“HappyBirthday リル”
「えっ!?あのっ……!!」
読み間違えじゃないか何度も読み返すけど、やっぱりそこに書かれていたのは……
何で…?
そう思って「リドウ副室長!」って呼ぶと、その勢いで出た息で蝋燭の火を消してしまった
また真っ暗になったけどリドウがいるであろう方を見ていると、やがて店に電気が戻って付いた
そこには…
翼を象ったチャームのついたペンダントを持って立ってるリドウがいた
「このプレゼント……受け取ってくれるか?」
「あ、は…はい」
どうすればいいのかわからない…けど口はすぐに了解を言ってしまった
私の返事を聞いたリドウは私の後ろに回ってペンダントをつけてくれた
「綺麗…ありがとうございます…!」
とりあえず、プレゼントと言うことでそれは素直に喜んだ
よく見ると金色の翼で赤い宝石が付いていて、これはきっと高いものだろうって思っていたら
「気に入ってくれたか?それは俺とお揃いだ」
そう言ってリドウはYシャツの下から私と色違いのペンダントを出した
リドウのは銀色の翼に青い宝石
それを見て私は驚いた
いや、驚いてばかりだったから、解明していくために1つずつ聞いていこう
まずは…
「あの、なんで……誕生日を今日祝うんですか?」
「前に話してくれたよな?元の世界から考えれば今日がお前の誕生日だって」
そう言えば、結構前にそんな話したな…
けど、まさか覚えていてくれてこんなサプライズしてくれるなんて
すごく嬉しいけど、もう1つ気になる事が
それは…
「なんでプレゼントは貴方とお揃いなんですか?」
おそらく「部下として」って単語が出てくるだろう……
しかし、彼が言ったのは
「…何でそうなのかは、わかっているだろ?」
「え?」
わからないよ…そう思っているとリドウは続けて言った
「このサプライズやプレゼント。これからの事も全て返済した金から来てるって思われたくない」
「つまり…それって……」
お揃いの理由ではなかったけど、その話した内容も気になった
…どの理由からでもいいから早く教えて
焦らされすぎて、なんだか心がむずむずする
そう思ってリドウを見つめていると
彼は私に近づいて真っ直ぐに真剣な瞳を向けた
「リル、初めて会った時から好きだ…俺と付き合ってくれ!」
社員達やファン達の噂や言葉が本当になった瞬間だった
「―――――――っ!!?」
う……
嘘みたい…
前から色んな人たちにリドウは私が気になっているって言われてたり
本人からも告白されたかったか?なんて聞かれた事あるのに
まるで何も知らなくて初めて聞いたようにすごく驚いた!
じゃあ、サプライズも自分とお揃いのプレゼントもただの部下として思っているんじゃなくて……!?
……って、待て!私!
「な…なんで…私を……?」
そう。落ち着いて大事な事を聞かないと
超モテるエリートがなんで何の取り柄も無い私を好きになったのか…
前から予想していた私を攻略するってのを思い出して浮かれないようにしたけど、心臓がバクバク鳴っているのを押さえた
……なんでこんなに心臓がうるさいんだろ?
「お前だけなんだ。素のままで俺にぶつかってくれるのは」
「え…?」
てっきりモテる男が使う“思ってもいないのに「可愛いから」とか「見た目がタイプだ」とかの言葉を使って口説くのか”
そう思っていたから、まさかそう言われるなんて…って更に驚いた
「上に立つ立場は見晴らしいいけど孤独なものだぜ?部下は上司として。ファンの子達は天と地の差って思っているから、皆よそよそしい態度」
「…つまり私の態度が無礼ですか?」
「悪く言えばな。けどそれが良いって思った」
ま、私はエレンピオス人じゃないからリドウについて知らなくて会った時から変わらずムカついた時はつっかかったり、狙ったわけじゃないけどボケたりして笑ったり…
「他人から同情されるのは嫌なんだが俺の過去を知って何も言わずに悲しんだリルを見た時、リルにならいいって思った。そしてリルとなら一緒に居ても疲れない。毎日が楽しいって。それに気がついた時からアピールしてたが…」
「?」
「ユリウスと一緒にいたかと思いきやイバルとだったり……」
…そうか、イバルだけじゃなくてユリウス室長とも話していれば機嫌悪かったな
あれも嫉妬だったのかって今わかったけど、彼は元々室長とはよく言い争いになる間柄だからわかり難かった
あ、けどあの疑いはまだ消えていない
「アピールって……貴方は他にも口説いている女性がいるんじゃないんですか?」
そう聞くと、リドウはしていないって即答して「なんでそんな事を聞いてきた?」って疑問に思う表情をした
「俺がいつ?誰と?」
「いや、それは…貴方のファンとか?」
「あぁ、それな。リルが気になった時からファンやその他の女…つまりリル以外の女とデートとかしていないぞ?」
うそ…!?驚いて聞いていると、私はまた表情に出していたのかリドウが
「…俺はもうリルが他の男の近くにいるのは見ていられない。だから空いた時間はなるべくリルと一緒に居たつもりだ」
そうなればデートだけじゃなくて、分史対策の仕事で1人でも大丈夫って言われた後にもよく私と一緒に居たのも…?
更にリドウは続けて言った
「後、リルが自ら危険に突っ込んで行くのを見るのが辛い。俺が守るからもう無茶するな」
「!!」
その言葉を聞いた時、あの……ファイザバード沼野で私を庇った後の血まみれのリドウを思い出してしまい、あの時の悲しみや後悔が再び湧いてきた
「……私だって」
「?」
「私だって…貴方が庇った時…辛かった。身体は怪我しなかったけど心が痛かった」
私は下を向いてスカートをキュッと握った
…そう、ここでようやく自分の気持ちに気がついた
リドウって普段は意地悪でムカつく人で、理不尽な事言ったり八つ当たりしてきて頭にきたけど
デートが楽しいって思ったり
彼なりに慰めてくれた時嬉しいって思ったり
抱きつかれた時や気になる事を言われていちいちドキドキしたのも
庇った時の悲しさや死ぬんじゃないか?って不安も
それはリドウの事を……自分でも知らないうちに好きになっていたから、そう思っていたんだって
そう自覚したら、なんだか今まで否定し続けてきた時よりすごく心が軽くなった
…あぁ、モヤモヤの原因はこれか
本当の気持ちを隠していて自分で自分自身に言い訳してたから…
「私なんて守らなくていいです…」
リドウを想うと、思い浮かぶのは彼の心臓の事や幼い頃からの辛い経験……
その上私なんかを気にしたら体が持たないって思った
彼の気持ちはすごく嬉しいけど、それは気にしないでほしかった
「その回答は……俺は振られたんだな…」
「いえ、守ってくれなくていいですけど」
顔が熱くなっている…
きっとすごく赤いんだろうなって思いながら下を向いていたのを上げてリドウを見つめて言った
「付き合うのは……喜んで。こちらこそよろしくお願いします!」
私がそう言うと、周りから拍手が聞こえてきた!
驚いて見ると社員ではない知らない人達なのに何で…
そう思っているとリドウが答えた
「彼らは俺が雇ったエキストラ……今日この店は本来は定休日なんだ」
「!!……私のために?」
「あぁ」
ここまでするって……
私は恋愛経験は全然なくて、友達の話とか雑誌での知識しかないからよくわからないけど
これは本気だからこそサプライズとか出来るって思うと
リドウへの感謝や好きって気持ちがまた高まる
私は嬉しすぎて目の奥が痛くなってきた…
あれ?私…なんで目から涙を流しているんだろ?
悲しくないのに…
「なんだァ?いつもよりすげぇ不細工な面になってるぞ?」
「あ…貴方は…ひ、卑怯です……グス、いつもは…当たり散らしてムカつく…上司な…のに、こんな…グスッ……こんなサプライズして……!」
言葉とは裏腹に私は嬉しくて感動の涙を流しながら笑顔でそう言った
リドウも不細工って言って笑いつつ自分のスーツの袖で涙を拭いてくれる
……スーツ汚されたら怒る人なのに。やっぱり私を想っているから?
「卑怯?ずいぶん酷い言い方するんだな。お前だって俺に散々嫉妬させておいて」
「そ、そんなの…わからなかった…私はただ話していただけで…」
リドウのスーツの袖で拭いてもらわれ続けるのは流石にヨレヨレになって申し訳ないって思った私は、自分のハンカチで涙を拭こうとしたらリドウに両手で顔をつかまれ彼の方を向くように固定された
「…あまり見ないでください…私の泣きっ面は……不細工なんでしょ?」
「あぁ、それも含めて全ての表情も独り占めしたいんだ」
「リドウ副…室長…」
「俺も嬉しいよ…断られるかもしれないって思っていたから」
「そんな…」
彼も内心では不安でいっぱいだったのかな?
いや、お揃いのペンダントをプレゼントしようとしたってところに注目すれば、実は自信あったんじゃないかな?ってのも考えられる
そう思っていると顔がぐっと前に引き寄せられ…
私の唇がリドウの唇と重なった
「――――――!!!?」
そ、そそそそそそんな急にぃ!!?
すぐにこの状況に頭が追いつかなかったけど
理解した時にはもう彼から離れられなかった
そして唇が離れたと思ったら、すぐに彼の胸に抱き寄せられた
「悪いな…ケーキよりも甘いものを先にあげてしまった」
「…全く、強引な人ですね」
いつもなら…何するんだよ!?って言って怒るかもしれないのに
私は黙って彼のやる事を受け入れてる
信じられない…そう思ったけど、なんだか心が軽くなったせいか幸せと感じてしまう
私はしばらくこの安堵感と幸福感に浸るため黙ってリドウと抱き合った