差し込んだ光と春の色





昨日はあの後、ケーキを食べながらエキストラさん達の演奏する音楽を聞きながら過ごした

そして、私は20歳になったという事で綺麗な青いカクテルを奢ってもらったけど…

初サプライズ、初彼、初キス、初飲酒……二十歳の誕生日に初めてな事が色々ありすぎてまるで夢を見ていたみたい

やっぱり一番信じられないって思うのは、あれだけムカつくって思ってた上司のリドウから告白されて付き合う事になるなんて…

昨日の事とはいえ、あまりに色んな事がありすぎてたった今起きたばかりの頭じゃ自覚していないところがあった

カクテルで酔って記憶がおかしくなったのかな?実は本当は夢なんじゃないか?って不安になった。


けど…


現実の可能性を高める物をつけているのを思い出した




「(あ…昨日貰った…)」




私の首にはあのリドウから貰った彼とお揃いのペンダントがしてあった

じゃあ…やっぱり昨日は…


そう思っていると、時間がギリギリなのを知って急いで出勤した



















「おはようございます…」




走ったため、息切れしながらそう挨拶して会社に入る


挨拶を返してくれる他の部門の社員、受付の女性社員達

慌しく資料を持って外に行く男性社員…など様々な人がいる


いつもと変わらない光景だ


私は呼吸を整えて入り口から社内を見回して、彼は…リドウはいないか探した

昨日の事が本当の事か……直接は聞けないけど、言ってくれるのではないか?って期待したから


あちこち見ながら歩いて受付カウンターが近くなった時






「朝っぱらから何を探しているんだァ?リル」




後ろから、私の頭に腕を乗せて何をしているかって聞く声がした

振り返ると…




「……リドウ副室長!」




いつもと変わらず、ニヤニヤと笑いながら私を見るリドウがいた




「べっ別に探し物じゃ……」




一瞬「貴方を探してました!」って言おうとしたけど、まだ昨日の事が本当の事って決まったわけじゃないから、心にそっとしまう事にした




「そうか?なら、行くぞ」




リドウからエレベーターへ一緒に行くように促された

そうだった。分史対策室に行かなければ…

出勤中だというのを忘れていた


開いているエレベーターに急いで乗ると扉が閉まり、分史対策室のある40階へ上昇する




「……」




よく見ると、エレベーター内では私とリドウしかいない

参ったなぁ……

いつもは機嫌を伺う意味で気まずいって思った事あったけど、別の意味で気まずくなるなんて……いや、気まずいって言葉じゃなくて好きからくる緊張って気持ちが合っているかも




「なぁ、さっき…」

「っあ、はい?」




いきなり話し掛けられて、少し心臓がどくんっと跳ねたみたいに驚いた




「まさかと思うが……イバルかユリウスを探していたのか?」




そう言ったリドウがなんだか機嫌が悪くなりそうな雰囲気になったのを知って、慌てて違うって事を伝えようとした




「えっ!違いますよ。私はただリドウ副室長は来ているかって…」




それを聞いたリドウは驚いた表情をした

……あ、自分でも気づいた。ヤバい!

探していたのはリドウって本人には話さないでおこうとしたら、喋ってしまった…!




「へぇ…早速恋人として意識してくれるのか」




その言葉で、早朝から不安だった昨日の記憶は現実だってわかって安心した…


けど、私は馬鹿だー!

リドウに嫉妬させまいと言ったのはいいけど…

心にしまっておこうとしたのを本人に…!




「や、あの…それは……貴方はよく無断欠勤するから今日はどうなのかなぁって」




自分で言うのもアレだけど、これは言い訳に聞こえる…

同じくそう思ったのかそれを聞いたリドウはクスクス笑い出す




「つまり、それは前から意識していたって言いたいんだな?」

「えぇ!?いや、たしかに意識って言っちゃあ、そうなりますけど……」




マズい…なんか墓穴掘った感じ?

別に悪い方向にいったわけじゃないけど

なんか、私はリドウに好きって伝えるのがすごく恥ずかしい…

異性を好きになるって経験が無かったせいかな?

けど…あぁ、やっぱ自分も心からリドウを好きって意識しているんだなってわかった


私の様子を見て笑っていたリドウは私に近付いて




「これ、してくれているんだな」

「あ……」




Yシャツの下にして見えないかと思ったら、身長が高くて上から見えたのか私の首とYシャツの間からペンダントを見つけて嬉しそうに言った



そして





「ありがとうな」





って、私の頬にキスした






「っ!!?」





軽くやったキスだけど、あまりに不意打ち過ぎて驚いた




「ククク…顔も耳も赤いぞ?」




そんな私をリドウは意地悪そうな笑みをしながら見ていた




「アっ…アンタがいきなりキスしたからだろ!?……それに、ここは会社ですよ?場所を考えてくださいっ!」

「今は俺達しかいないから問題無いだろ?」

「そういう問題じゃありません!!この痴漢!!」

「おー怖いなぁ。可愛い顔して怒るなんて、すごく怖くて説得力無いなぁ」

「なっ……!」




久しぶりに聞いた人を馬鹿にした発言

それを聞いてムカつく!って感情もあるけど、なんか今の私の気持ちをわかっているって言う気恥ずかしさが勝っていた


そうこうしている内にエレベーターは40階につく




「行くぞ」




扉が開くと、リドウは私の手を取って歩いた




「うわっ!ちょっ……だから場所を考えてって……!」

「キス以上の事はしてないだろ?」

「だからって……」




会社で手をつないで歩く男女がどこにいるんだよ…!

全く、彼は謎が多くて、やることが唐突すぎる!



けど…



そう言えば、連れられて一緒に歩くってなれば大概は腕を掴まれていた

けど、今は手と手を繋いでいる



そう気づいたのは、手から伝わる彼の温もりを感じたから



それは…純粋に幸せって思った



何人かが私達を見ているけど、気にしない

今まで恋愛経験無かったからかな?

自分は彼の事を今まで疑っていたのに、素直になって告白を受けるって周りから見たら甘い判断って思われるかも



それでも、この幸せに浸っていたい…



願わくは、永遠に……





―――――――けど、時は残酷で止まってくれない

この先に待ち受けているのは、目紛るしい速さで様々な運命が交差したり衝突したり…



でも、この時の私は



まだその運命が近づく秒針の音が聞こえなかった…


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