走り出す運命と重なる



人がいない所…

社長達がいた所から3つくらい離れた車両と車両の接続部分にあたる所まで来て、人が他よりも少ないのを確認してからまた鳴り出した電話に出た




「はい…?」

「ようやく出たなリル。俺を待たせるなんていい度胸だなぁ?」

「ごめんなさい!その、周りに人がいて……」

「よし、帰ってきたらお仕置きだな」

「えぇ〜?」




出ていきなりそれかよ!?

こっちにだって事情はあるのに…




「あの……ところで、何かあったんですか?」




そうだよ。向こうから電話してきたんだから、それなりに用事があるんじゃ…

そう思ってこれ以上お仕置きについて言わせないように用件を聞いた




「あぁ、ヴェルから聞いたか?」

「え?」

「俺がやったメールについて何か言ってなかったか?」

「クラウンがなんたらってやつですか?話してましたけど…」

「……お前理解したか?」

「全然」




即答したら電話の向こうで、ガコッ!ってGHSに頭をぶつけた音がした

…漫画でいえば、さしずめ私の即答でこけたのかな?

でも本当に知らないことだし

そう思っているとリドウが咳払いをして再び話た




「やっぱりな……」

「え?何がですか?」

「お前だけがメールの内容を理解していないって思って、優しい俺が直接言いにかけたんだよ」

「えぇ〜〜なんですか、それぇ」

「いいか?ユリウスには気をつけろ」

「ユリウス室長に?」




ブーイングを言おうとしたら、彼は気にせず話して私はその内容に少し驚いた


あぁ、クラウンってクラウン・エージェントの事か!

たしかに今のクラウン・エージェントってユリウス室長の事だけど…

なんでユリウス室長に?


あ、そう言えば…

リドウと交際して数日経ったある日


会社の資料室で整理していたら、ユリウス室長が来て

リドウと交際したのを彼本人から聞いたらしく、その事について話していたら



私の能力について聞いてきたな



で、私の能力は社長とリドウとヴェル以外には秘密って事になっているから言わないって思ったけど

同じ分史対策に所属していて、尚且つ室長なのにユリウスさんに話さないのはおかしいな…って思っていたら


リドウが来て「俺の女に近づくな!」って怒ったら、室長は出て行ってしまって何で聞いてきたのかわからずじまい

怒ったリドウにまだユリウス室長に嫉妬しているのかを聞いたら「最近のあいつは怪しい行動が目立つからな……気をつけろ。能力とかは絶対に話すな」なんて言われたっけ

つまり……




「まさか、前から怪しいって思っていた行動が今日も起こるんですか?」

「多分な。だから…」

「わかってますよ!社長の護衛は任せてください!」




リドウは私じゃ社長に何かあっても対処できたり守れないのではないか?って心配していると思い、大丈夫な事を自信満々で宣言した




「いや、まぁ社長もだけどな…」

「?」

「リルの身に何か起こるかもしれない…って心配なんだ」

「リドウ副室長…!」




交際してからリドウは何かと私に対して扱いが変わったような気がしたけど

まさかこうして心配してくれるなんて…

キャラが今までと違うのに対しては、ちょっと変って言うか…失礼ながら言わせて貰うけど気持ち悪いって思う

でも、彼の気持ちは本当に純粋に嬉しい。言われてすごく胸がドキドキするほど




「まだそれかよ」

「それ?」




…って、あれ?機嫌が悪くなっている

何かしたっけ?って思って聞くと




「副室長って呼び方」




あぁ、そう言えば……呼び方は変わってないなって今気付いた




「付き合っているんだから、もっとそれらしい呼び方しろよ」




たしかに、向こうは私の呼び方はそのままでいいけど

私は………どうしよう。んー、いきなり呼び捨てなんて出来ないし……

ま、最初から内心ではリドウって呼び捨てだけど

実際呼ぶとしたら躊躇うな

だって、一応上司と部下だし…彼は私より9つも年上だし……




「リドウ…さん?」




悩んだ結果、一番無難な呼び方をすると




「…仕方ねぇな。とりあえず今はそれでいい」

「はぁ…」




これで許可をもらったからいいけど…

なんか不満そう

そう思うと、リドウは誰かに話し掛けられたみたいで電話を切ろうとした




「じゃ、気をつけて行ってこい。無事に帰って来なかったら許さねぇからな」

「はい。では」



そうして電話を切った


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