動揺隠せぬ監視者
前に来たことがある公園。そこの近くのマンション……ユリウス室長とルドガーの住む家に行った
ポストの表札を見て3階に上がって奥に行って、家の前に来るとインターホンを鳴らすかと思いきや、ビズリー社長がいきなりドアを開けて「お邪魔するよ、ルドガー君」って言いながらズカズカと入って行く
こ…こんな事していいのかな…?
驚きながらも私はビズリー社長の後ろをついて入る
そこにいたのは、ルドガーとエル、そしてジュードがテーブルで食事をしていて、ルルもキッチン近くで餌を食べていた
「ビズリーさん!リル!無事だったんですね」
と、ジュードは私達が無事な事を知って安心してくれた
良かった……リドウの言うとおり、怪我は完治してて元気そう
私もみんなが無事で良かったって思っていると
「私達は、な」
ってビズリー社長が言ったと同時に…
突然天井から何者かがルドガーに攻撃をした!
「ぐっ!」
胸部を蹴られたルドガーはその場に倒れる!
敵!?でも何の…?
そう思ってその攻撃した人物をよく見ると
「君は!?」
「イバル!」
そこにはサングラスをしたイバルがいて、私とジュードは驚いた
「驚いているヒマが!」
“あるのか!?”と言いたかったらしいけど、そこでジュードにあっさり取り押さえられるイバル
「ある……ようだな……」
「イバル…」
ジュードは取り押さえた人物は「やっぱり君だったのか」って呆れた様子でいる
そして、サングラスがズレて見えたイバルの表情は、こんなはずじゃ…と悔しそうだった
そっか。そう言えばルドガーが帰ってきたのはイバルからの報告だったもんね
つまりその時から天井に張り付いてて…
戦闘能力の実力はたしかだけど油断してしまったね……って内心イバルにドンマイとお疲れ様って思っていると、それを見た社長は
「ははは!面白いな、イバル君。その愛嬌を買って、雑務エージェントとして雇おう」
って笑いながら、その働きぶりを褒める
「くっ……ありがとうございます」
ようやく正式なエージェントになれたのはいいけど、雑務ですか…
イバルは複雑そうに社長にお礼を言う
ここでジュードはイバルがクラン社の人間って理解すると、さっきのルドガーへの攻撃に疑問を抱いた
「なんのマネですか?」
ジュードはビズリー社長に対して少し不信感を持ちながら質問する
「えっと……新聞とかニュース見なかった?」
私がそう言うと、ヴェルさんがリモコンの電源を押してテレビをつけた
テレビでは、ニュースが放送されてて
丁度タイミング良く列車テロについてキャスターが話していた
内容はあの新聞と同じ。列車とアスコルドが全焼して被害状況を説明して、主犯疑惑のユリウス室長を全国に指名手配をしたって言う
その時、イバルがどこに持っていたのか、ユリウス室長の指名手配書をルドガー達に見せた
もう出回っていたのか手配書……
って言うか、テイルズ恒例の下手な手書きの似顔絵ですか。シンフォニアでのロイドとかと同じだな
……でもエレンピオスは技術が進化しているから、写真を印刷できなかったのかな?と思ってしまう
私は申し訳ないけど、手配書のユリウス室長の絵が本人と似ていない件と、その似顔絵の目がまり○っこりみたいで適当だと思ってしまったから、色々似ているキャラを思い出して笑うのを堪えた
「そんな…!!」
「違います!ユリウスさんは――」
って、ここでルドガーはショックを受けていて、ジュードはルドガーに変わってビズリー社長に弁解しようとした
いけない、いけない!
手配書で笑っている場合ではない!
今はかなり真面目な話しをしているんだから…
「あの状況で私に斬りかかった男が無実だというのかね?」
「警察は、複数の共犯者がいるとみて、関係格所を模索中です」
「それで……ルドガー。貴方にも容疑がかかっているみたいなの」
そう私達が言うと、イバルは今度はルドガーの手配書を取り出して見せた
手配書のルドガーも似顔絵でかなりひどい作画だ……!
私はそれを見てちょっと噴いてしまい、慌てて咳をして誤魔化した
「エルもルドガーも、関係ないってば!!」
エルは私の様子に気づいていなかったみたいで、ルドガーの手配書を見た瞬間、そう訴える
「容疑者の弟が事件の日に偶然駅に勤め、列車に乗り込み、容疑者と一緒に消え去った。これを信じろと?」
「それは……くっ……」
たしかに証拠もない上に、そんな状況では言い返せない……そう思ったルドガーは何か言いたげだけど、言えずに悔しそうにする
「信じてよー!!」
エルは子供ながらに必死に叫んで訴え続けるが、社長は聞かずに…
「事実なら証明してみせろ。ユリウスを捕らえれば、真実は明らかになるだろう」
と、ここでいよいよルドガーとの取り引きが始まった
「何っ…!?」
その言葉で、ユリウス室長が生きているってわかったルドガーはかなり驚いていた
けど、エルはあの時の状況を考えながら本当に生きているのか?って疑っている
「あの男は生きている」
「本当か…?」
「数時間前、社長のGHSに連絡が入りました」
「え!」
ヴェルさんの言葉にルドガーは驚きながら、事実なのか……って半信半疑になった
……この連絡ってのは、恐らく分史世界に入り込んだって事かもしれないけど
「我が社のトップエージェントだ。警察に捕まるたまじゃない……が、身内になら隙を見せることもあるだろう……どうだ?やるというなら警察は私の力で抑えよう」
ルドガーに持ちかけた提案……それはまさに彼の今後を左右することになるだろう
突然ユリウス室長を捕まえろと言われたルドガーは少し間考え、やがて分かった……と頷いた
「迷いがないな。いい判断だ……これで、君はクランスピア社の保護下に入った」
社長はルドガーの判断を満足げに聞くと、ヴェルさんが手帳を開いて話した
「現在の有力情報は2つ。前室長は、ヘリオボーグのバランという研究者と交流があったようです。また、マクスバードで執拗にユリウスについつ探る人物が目撃されています」
「バランさんが……」
バランって名前にジュードは、ユリウス室長と交流があったのか……って静かに驚いていた
「いっぱい言われてもわからないですー!」
エルは何が何なのか話に追いつけなくて、手をバタつかせてわかるように説明してほしいって訴えると、ジュードがその2つの場所に行けって事なのかを聞いた
「まぁ、そう言う事になるね」
私がそう言うと、ビズリー社長がルドガー達に言う
「警察からの護衛と、情報収集の助っ人として我が社のエージェントであるこのリルを同行させてもらいたい」
「…わかった」
ルドガーの承諾で、私の同行……本当は監視という使命が確定された
「では、後は頼むぞ。リル」
そう言って社長達は会社へ帰ろうとした時
「リルさん…」
イバルが心配そうに私を見ていた
思えば、リドウと付き合ってからあまりイバルと話していなかったな
「大丈夫だよ。1人じゃないんだし、そう滅多に危なくならなよ!」
笑顔でそう言うと、なんだか納得いかないような表情をした
あれ…?そんなに信用ないの?
そう思っていると
「…お気をつけて」
何か他にも言いたげな感じだけど、それだけを言うと社長達と一緒にルドガーの家から出て行った