路地裏の黒い影






「…えっ!?」




私も周りにいた皆も驚いてた




「あぁー!」

「あいつは…!」




エルとルドガーにとっては、おそらく多額の借金を背負わせた憎い人って思っているから驚いてて…




「えっ?何々?」

「えっと、ね…」




レイアはリドウが何者なのか分からなくて、ジュードから事情を聞いている




「リ…リドウ副室長…!」




イバルは慌ててその場にピッと姿勢良く立った


で、リドウはって言うと

そんな周りの様子を気にしないで、私の正面に来た




「何してんだって聞いている」

「あの……短剣で……ふざけていて……ごめんなさい!」




これはきっと、武器でふざけていたから説教される!

…そう思ってすぐに頭を下げると




「…それを誰にやってたんだ?」

「え?イバルにですけど…」




何故か、それには触れないで相手を聞いてきた

何でだろう?と思いつつ、答えると……




「こいつはルドガー君にやられてダメだ」

「え?」

「短剣の使い方を練習したいんだろ?」

「は、はぁ…」

「俺が練習に付き合う」

「えぇ!?」




って、いきなりリドウとの練習になってしまった!

待ってください!って止めようとしても聞いてくれない。それを見たエルはルドガーに言った




「ルドガー!リルを助けようよ!」

「あぁ!……おい、お前!リルを…」




止めようとしたルドガーに、リドウは素早くメスを喉元に突きつける




「安心しろ。あくまで練習だから殺しはしない。それに無料だ」

「嫌な奴ー!」




別に金の話はしていないのに、わざと言うなんて腹立つなぁ〜

エルもその言葉に対して、ムカつくー!って怒っている

この一面を見ると本当に付き合って良かったのか?って考えてしまうけど

ルドガー達の借金はビズリー社長からの命令だから、仕方なくやったんだ……って思う事にした


私はエルに近づいて「大丈夫だよ」って言って


短剣を構えて、練習を始めた




「来いっ」




リドウは挑発するように、言ってメスを構えたけど…

練習とは言え…




「(リドウと一対一で対戦だなんて……)」




人と戦い慣れていない私に、これはキツい…!

ただでさえ、リドウとは恋人で…

デートですら、まだ緊張しているのに!




「おい、短剣は接近しないと攻撃出来ないぞ?」

「わかってますよ……!」




言われた通りこれは接近戦になるのは、わかっている

意を決して、私は小走りでリドウに近づいて、短剣を両手で持ち「やー!」って突き出した




「はぁ?なんだ、その攻撃…」




当然ながら、そんな弱い攻撃に対してリドウは6本のメスで私の短剣をガードすると、すごい金属音を立てながら、押し返すように弾いて私に斬りかかる




「うわあああっ!」




私は思わず、背を向けて必死に逃げてしまった




「怯むな!殺しはしないから、本気で来い」

「わ〜ん!ごめんなさい、ごめんなさい!ちょっと待って下さい…」




今まで鞭で遠い所から攻撃してきたから、接近戦って、すぐに相手の攻撃が当たるかと思うと怖い…!

そう思っていると、リドウは大きくため息を付いた




「はぁ……お前がそんな態度をするなら…」




胸ポケットから紙を出すと、ニヤリと笑う


…なんだ?何の作戦だ?




「この紙?これはな……リルの健康診断の結果」

「え…!?健康診断って去年にやって結果は私のところに…」

「おいおい、俺は医療エージェントだって忘れてないか?データは全て俺が管理している」

「じゃ、じゃあ……」

「あぁ、これも本物のデータだ……えっと、身長は155p…体重は…」

「ぎゃあああああああ!!個人情報流すな!プライバシーの侵害だああああ!!」




私はリドウに走って紙を破くように、短剣でがむしゃらに斬りかかった




「これ以上言うなあああ!このデリカシーの無い太郎めがあああ!!」




ネーミングは、まるでイノセンスのハスタみたいって思われますが、私は必死です。察してください。ツッコまないでください。




「やれば…出来るじゃねぇか…!」




ここで、ガードしていたリドウが動き出した




「スパルチナリーレ!」




目の前で回転しながら、メスで攻撃

私も、もう勢いでガードしながら、次にやる反撃を考えていた


…そうだ!イノセンスって言ったら

アンジュも短剣使っていたな…あんな風にやればいいかな?

これ以上リドウにやられたままだと、また個人情報が危ない!

私はすぐに終わらせようと、攻撃されているのにも関わらずメスの動きを止めるために短剣を突き出した




「っ!」

「たぁぁっ!!」




そして、勢いよく斬り付けるように振って、メスの動きを止めた


やった!金属音がすごくて少しびびってしまうけど、なんとか出来た!

……しかし、そう喜んでいたのも束の間



私が止めていたのは、左手の方


彼は両手にメスを持っているから…


止めていない右手が、私の左肩に斬りかかる!




「きゃあああ!!」

「リル!」




私は突然きた左肩の痛みに悲鳴を上げると、エルは驚いて心配そうに叫ぶ

…あーぁ、調子こいてカッコ悪い所見せちゃったな


そう思いながら、左肩を押さえてリドウに再び挑もうとしたら




「だ、大丈夫ですか!?」




イバルが私の心配をして、近づいてきた




「ありがとう、平気だよ。少し驚いちゃって……」

「練習だって言ってるだろ?」




そう言ったリドウにイバルはキッと睨むように見る




「なんだぁ?雑務」

「い、いえ。何も…」

「……ま、この辺にしてやるよ」




リドウはメスをしまいながら、そう言った

あ、終わったんだ…良かった個人情報がこれ以上漏れなくて…

って、違う心配しているとエル達が私の方に来た




「リル!」

「大丈夫?傷口を見せて…」




心配そうに見るジュードは回復術をしようと、私の傷口に手を当てる




「やるな。そんなに診断結果をバラしたくなかったのか」

「当たり前です!……もう、最低です!」

「ハハハッそれは失礼したな」




そう笑うと、「じゃ、その調子で頑張れよ」って言って、トリグラフに戻ろうと駅に行く

その後ろをイバルが追いかけようとしたけど、立ち止まって私にまた来た




「ん?どうしたの?」

「あの…本当に大丈夫ですか?」

「え?あぁ、傷はもう大丈夫だよ!ジュードのお陰ですっかり無くなって…」

「いえ!そうじゃなくて……あの人と一緒にいて大丈夫なんですか?」

「え…?」




あの人?リドウの事…だよね

たしかに恋人だから大切にするとか言いつつ、こうして練習とは言え傷つけられたけど…

どう答えようか悩んでいたら、イバルは「あ、突然変な事言って失礼しました!やっぱり何でも無いです!」って言ってリドウを追いかけて行っちゃった




「何だろうね。リドウって人も、イバルも」

「うん…」




レイアの言うとおり、なんだか、よくわからない…

リドウはなんでイバルの代わりに練習に付き合ってくれたんだろ?

武器でふざけていたことに怒らなかったし…

もしかして、イバルと話したりしたから嫉妬?

周りの事を考えて恋人って公言出来ないから、こんな行動に…?

そう考えていたら




「大丈夫か?」

「うん、大した傷じゃないから動けるよ」

「無理しないでね?また痛み出したら僕に言って」

「ありがとう」




ルドガーとジュードから心配そうに怪我を聞かれ、大丈夫だと答えて目的だったドヴォールの情報屋に会いに………今度こそ出発した




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