路地裏の黒い影
列車から降りてドウォール駅内を歩いていると、レイアはある人物を見つけ、そこに行く
「レイア、おそーい!」
「ごめーん!」
レイアに紹介された緑の髪の女性はジョウという
どうやら彼女が情報屋みたいだけど…
あれ?前にリドウと来た時に少し会ったような……
そう思っていると、ジョウは私の方を見て言った
「あら?貴女はエージェント・リドウと一緒にいた…」
「はい、彼の部下です」
「……と、言う事は薬の依頼かしら?」
「いえ、そうじゃなくて……」
ここでレイアが列車テロに関わっているような情報が無いか?と聞く
けど、それには交換条件が必要で、列車テロについて見た情報をルドガーが教えると、いくつか情報をくれた
その情報は……
ドウォールをまとめている自治組織のブラートがアルクノアに精霊の化石と増霊極を……源霊匣の素材を流している事
そしてジョウがジュードを見つけると、お近づきの印にってもう一つ情報をくれた
どうやらこの街の裏路地に、見た目は人間だけど化け物じみた力を持つ魔人が出るらしく、ブラートの用心棒が何人もやられたって事
「それって…」
「メガネのおじさんっぽい…」
ジョウの話からルドガーとエルは、あの分史世界でのユリウス室長に似ているって思ったみたい……
けど、あの室長はあくまで分史世界での室長だから、この世界には存在しない。そうとは知らない彼らは、魔人はユリウス室長だと予想した
「都市伝説だと思ってたけど、列車で起こった事と何か関係があるかもね…」
「わかった。情報ありがとね!」
そして、私たちはジョウと別れてドヴォールの裏路地に行くことにした
「“魔人”が出るの、この辺りかな?」
裏路地の行き止まり近くに着くと、レイアは辺りを見渡す
私も見るけど…
特に変わった様子はない
すると、エルは周りを不安げに見ながら何か言う
「……出なくてもいいけど」
「ん?どうしたの?」
様子を尋ねた私にエルは何でもないって言おうとしたけど……
「怖いんだ?」
「こ、こわくないですー!カナンの地へ行くためだし」
レイアに図星突かれてムキになって否定するエル。本当は怖いのに意地張っちゃって
私はそう思って内心笑った
けど、薄暗くて気味が悪い所だから、私もあまり長居したくないな…
そう思ってまた見渡すけど、魔人らしき人は見当たらない
「いないね」
「まぁ、情報では見た目は普通の人間だっていうからな」
そう言えばそうだった。ルドガーの言う通り、見た目は普通の人間なら探すのは難しいな
「“魔人”も気になるけどさ」
「アルクノアは、なんで源霊匣の材料を集めてるんだろう?」
レイアとジュードがそう話していると
「兄さん、源霊匣って言ったかい?」
行き止まりの前の道にいたオレンジの服の男性が、私達に話しかけて来た
「興味があるなら素材そろえられるぜ」
「精霊の化石を扱ってるんですか?」
「ああ。微精霊クラスだけどな」
ジュードが驚いて聞くと男性はそう説明する
そして、ジュードは男性を不審に思い更に聞いた
「最近、精霊の化石を集めている集団がいるって聞いたこと無いですか?」
「ああ―――アルクノアだろ」
すると、背後からいきなり来た灰色の服の男性が……
ジュードの背中に銃を突き立てた!!
「っ!」
「ジュード!」
私やルドガー達もすぐにジュードを助けようとしたけど、相手は銃を持ってて迂闊に近づけない!
「動くな。Dr.マティス……奴らから、あんたの身柄確保も依頼されてる」
「こんな街中で!」
「問題ない」
いきなり起きた事で気が動転していると、男達の仲間が数人集まる
「はっ!」
気づいた時には、もうあっという間に私達は囲まれてしまった
「この人たち――」
「ブラート!」
こいつらがブラート…!
マズイな。どうにかしなきゃ……けど、下手にクラン社のエージェントである私が自治組織との間にトラブルを起こしたら、かなり問題になる…!
どうしよう…どうしよう…
そう思っているとルドガーがルルの尻尾を踏み、ルルは痛みから叫ぶように大きく鳴く
その声に驚いたブラート達はルルに目を向けると、ジュードはその隙に背後で銃を突き出していたブラートの後ろに回りこんでダウンさせた
しかし、その衝撃でブラートは思わず銃を1回発砲してしまう
誰にも当たらなかったが…
「きゃああっ!」
エルが恐怖の最中、銃に驚いて悲鳴を上げた
すると…
その瞬間周りの空間が歪み、目の前が真っ暗になった!