路地裏の黒い影








―――――――――



気が付いたら…裏路地の行き止まり近くにいて…

私は周りを見て、そして雰囲気から理解した




「(また…分史世界!)」




別に分史世界に対しては驚いてないけど、何だか妙だ……何かが引っ掛かる

何が疑問に思うのか?って考えていると、ルドガー達も気付いた




「ん…ここは…?」

「え?な、なに!?」

「今のは……」




どうして追い詰められた所より手前の所にいるんだ?ブラートは?って皆は疑問に思う中、とりあえず先に進む…


そして、またオレンジの服のブラートが現れた




「どうした?ずいぶん顔色が悪いが……」




そうジュードがまた話し掛けられたけど、先ほどの事を考えて前ばかりに気を取られず背後から近付いて来る灰色の服のブラートの気配を感じ、近づいてきた瞬間すぐに右腕を取り押さえた

そのブラートの手には銃が握られていたため、ジュードは同一人物だと判断して




「あなたたちやアルクノアが僕を憎む気持ちはわかります……でも、源霊匣は信じて下さい!あと一歩で実用化できるんです!」




と、必死に説得しようとしたけど、ブラート達は聞く耳も持たず、また仲間を呼んだため正史世界と同じく囲まれてしまった

ブラート達は「ジョウめ、喋ったな!」「手加減するな。どうせリーゼ・マクシア人だ!」って逆上して皆銃を構え私たちに向ける



……あまり考えたくないけど、分史世界だからこの彼らを切り抜けて時歪の因子を探して破壊することも可能

けど、そうすれば分史世界について秘密にしているルドガー達にどう説明すれば…

どうしよう…


どうする事も出来ずにそう悔しく思っていると





「では、こちらも遠慮なく」





と、何処からか男性の声がしたと思いきや、上空からナイフが3本振ってきてブラート達を囲むと、刺さった点と点を結んで三角のような形になり光り出した




「ぐわっ!身体が…!!」




どうやら身動きが取れない術をかけられたみたい

だけど…これは…




「精霊術!」




ジュードの言う通りそれは精霊術

ここは、エレンピオスなのに何故…

そう思っていると





「危ないところでしたね」





そう言って現れたのは、緑を基調とした服を着て長い白髪を後ろに一つまとめ、凛とした姿勢でいる初老の男性……




「(っこの人は…!!)」

「ローエン!」




ジュードとレイアがそう言ったように

この男性はローエンだ!


うわぁ!すげぇ!流石紳士!衣装は前作のままだけど、レイアの時と同じように会えて嬉しい!

……って、思ったけど、冷静に考えればここは分史世界

少し残念な気がしたけど、ピンチを助けてくれるなんて本当にカッコイイ!

そう思っていると、エルが聞いてきた




「誰…?」

「一緒に旅をした仲間なんだ」

「何でも知ってる、頼りになる人だよ」




その説明にエルはもしかして…!って目を輝かせて聞く




「カナンの地がどこにあるかも?」

「カナンの地……ですか?」

「そう!なんでも願いを叶えてくれる不思議な場所」

「それは…」




何だか言いにくそうにするローエン。やっぱり博識なローエンでも分からないかな?

すると、それを聞いたブラート達は鼻で笑う




「ふん、そんな場所があるなら願いたいもんだ……リーゼ・マクシア人を皆殺しにしてくれってな!」

「素手でこんなマネ出来る化物どもを同じ人間と思えるか!」




ブラート達はそう吐き捨てた

……彼らのエレンピオス人としての意見だろうか。そして、そう考えている人は彼らやアルクノアだけではないのだろう

反リーゼ・マクシア派が精霊術を使うリーゼ・マクシアを恐れている気持ちは少しわかるけど…

甘い考えだと思うけど……とても悲しいな

皆が理解し合える世の中になるのは程遠いけど

あ、ローエンはガイアスの下で2つの国を良くしようとしているよね…!


そう思ってローエンを見ると…







「……同感です」




ブラートの言葉にそう冷たく言い捨てると、違う術を唱え出した


すると




「ぎゃああああっ!!」




なんと、火炎を出して彼らを焼き殺してしまった!




「っ!?」

「えっ!?」




ルドガーは咄嗟にエルに見せないように抱き締めたため、列車テロの分史世界みたいにエルに怖い思いをさせなかった事に安心したけど…




「ローエン、何を!?」




そう、いくら敵には手を抜かないローエンでも、こんな無差別な事をするなんて…!

驚きながらジュードはローエンに何て事をしたんだ!?と問うと




「知れたこと…エリーゼさん、ガイアスさん、ドロッセルお嬢様……皆の仇を討つ。断界殻を消してしまった罪を償わなければ」

「仇…?」





表情一つ変えずにブラート達を殺した炎を見続けるローエンのこの話振りだと、まるでエリーゼ達がエレンピオス人に殺されたって言っているみたい…

まさか…




「違う、この人は……」

「!」




ジュードとレイアは、このローエンは何かおかしいって警戒していると…




「そちらの3人も始末しましょう」




そう言ったローエンは私とルドガーとエルを見ると、指揮棒のように細くて剣より短い綺麗な武器――レイピアを出して構えた




「ローエンじゃない!」




それを見たジュードは完全に自分達の知っているローエンではないと判断すると、ナックルを装着して構えた




「どのみちエレンピオス人は皆殺しにするのですから」




そう言ったローエンは全体が黒い光りに包まれる!

やっぱりローエンが時歪の因子か!


これには見覚えのある!そう感じたルドガーとジュードが先を走ってローエンに挑む

レイアは混乱しながらも皆のサポートに回って、私も参加しながらエルとルルを守った



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