路地裏の黒い影
「―――はぁっ!」
ルドガーの技が命中して、地面に倒れる時歪の因子のローエン
「ローエンだけど、ローエンじゃ……」
「レイア…」
何が何だかわからないのに、いくら違うローエンでも昔の仲間を傷つけてしまった罪悪感に苛まれるレイア
私は彼女にどう声をかければ…
そう思っていると、時歪の因子のローエンが起き上がり、また術を唱え始めた!
ヤバい!皆体力ないのにここで強力な術を使われたら…!
その時ルドガーは骸殻に変身して、咄嗟に槍でローエンを突き刺す!
ルドガー!ナイス!助かった!
……ジュードとレイアの気持ちを考えると申し訳ないけど、私はルドガーの咄嗟の判断に「よくやった」と頷いているとローエンは黒い霧になって消えて、槍の先で怪しく光る時歪の因子が砕けた
―――――――
気がつくと同じところにいたけど、ブラート達は皆生存していて、あちこち見て何かを探していた
「人間が消えるはずない!探せ!どこかに隠れているはずだ!」
あぁ〜私達が目の前で分史世界に侵入したから、いきなり消えたってなるよね
「っ!?」
「え!?なんで…!」
ルドガー達は…特に初めて分史世界の行き来を体験したレイアはかなり驚いていた
その声でブラート達がこちらを向いて、同じく驚く
「い、今なにをした!?」
「精霊術ってやつか!?」
「やっぱり、リーゼ・マクシア人は化物だ!」
そう言ってまた銃を私達に突きつけるブラート達
どうしよう、ここは正史世界で今度は問題を起こしたらいけない方で…
…本当にどうしたらいいだろう
さっきのように助けは来ないだろうって思っていると…
「そこまでだ」
と男性の声がして、ブラート達が後ろを向く
私達もその方向を見ると、そこには…
黒いコートとスーツに身を包み黒髪で赤い瞳で凛々しい表情をした男性と……
その男性の一歩右後ろに立つのは、なんとローエンだった!
ただ、そこにいるローエンは青い燕尾状のスーツを着て眼鏡をかけている
これが正史世界のローエン!だけど、驚くのはそれだけではない
ローエンの手前隣にいるその男性…どこかで…!
「なんだ、貴様ら――」
突然の乱入でブラートは彼らに銃を向けたが、黒髪の男性は持っていた刀で銃を飛ばし、最後に首元に突きつける
「ひとつ教えてもらおう。アルクノアは、なぜ源霊匣の素材を集めている?」
「……源霊匣の暴走をテロに利用するんだ。力を利用した上にその危険さをアピールできると……!」
「!」
「(そうか…それで…)」
ジュードも私も「悔しいけど、彼らは考えたな」って思ってしまった
「なるほど、策としては悪くない」
男性もそう思ったのか、まるで彼らを理解しようとする様な事を言って…
刀を収める
それに驚いたブラートの1人は彼に「殺さないのか…?」って聞いたら
「俺は化物ではないのでな」
って、即答する。その言葉を聞くとブラート達はすぐにその場から去って行った
「一朝一夕にはいかんな」
「この街は、リーゼ・マクシア人への反発が特に根強いようですね」
去って行くブラート達を見ながら彼らは、反リーゼ・マクシア派が大勢いるこの街の状態を改めて理解している
そんな彼らの言葉にエルが、ルドガーの後ろに隠れながら「カナンの地に願えば、うまくいくかも」と言う
「カナンの地?」
「お願いを叶えてくれる不思議なところ……です」
ローエンの問いに少し怯えながら答えるエル
……さっきの分史世界のローエンと遭遇したばっかりだから、怖いと感じるのも無理は無いね
そして、エルの返事を聞いたローエン……目の前にいる正史世界の彼は……
「ほっほっほっ。夢のあるお話ですね」
そう朗らかに優しそうな笑顔で笑って言う
おおぉ…!!本物のローエンだ…!
分史世界ではゲームキャラが目の前にいるって意味の本物って感動したけど、今は正史世界のローエンは前作と変わっていないって安心した意味で感動……!
私はすぐに緊張が解けた
「でも、人の心を自由に変える力があるとしたら恐ろしいことです」
「人が人である理由がなくなるのだからな」
と、何でも願いの叶うのが実際にあればいけないものだと、少し厳しいけども確かにその通りだと頷ける事を話した
そのローエンを見てジュードは「大丈夫、本物だよ」って言うと、ルドガーとエルもようやく警戒心を無くして安心する
に・し・て・も…
ローエンの隣の黒い髪の男性ってもしかして…!
その答えを言うようにレイアは2人にお礼を言った
「ありがと、ローエン。ガイアス」
やっぱりガイアスだああああああ!!
うわああああ!!ローエンとのツーショットは前作を考えるとマジすげええええ!!
……って、でもなんでここに?それに服装はまるで一般人みたい
そう思っていると
「アーストだ」
「え?」
レイアのお礼に、何故かそう言って頷かなかった
「今の俺は一介の市井の男。ゆえにアーストと呼んでもらおうか」
「エレンピオスの民衆の声を知るため、お忍びで行動されているのです」
なるほど!そう言えばアーストってガイアスの本名であまり知られてないから、お忍びにはいいね!
「でも、いいのかな?リーゼ・マクシアの王様なのに」
「え…!?」
「リーゼ・マクシアの…!」
「王様!?」
ジュードの言葉にすごく驚くルドガーとエル
私はリーゼ・マクシア全体の王ってのに驚いた
忘れていた……まだ頭の中ではガイアスはア・ジュール領土だけの王って思っていたけど、今はリーゼ・マクシア全領土の王だった
「エル、王様って初めて見た!」
エルは感激してそう言った後に、ルドガーは少し考えて「ありがとう、アースト」ってお礼を言う
……まさか、エルに便乗して王様って言うつもりだったのかな?
けど、そのお礼で良かったみたい。ガイアスは「それでいい」って表情は変わらなかったけど満足そうだ
それを見たローエンは微笑み
「意外と、子どもっぽいこだわりがありまして」
って、私達にガイアスのちょっとしたこだわる一面を小声で話す
「何か言ったか?」
「いえいえ」
おっと、聞かれなくてセーフですね!って私は微笑むと、ローエンも微笑み返してくれた
「ひょっとして、路地裏の“魔人”ってガイ…アーストのことだったのかな?」
あぁ、その噂……たしかにそう考えると特徴が合っている
人狩りって言っても殺されたって聞いていないから、おそらくさっきのようにあくまで悪い事はさせない為の警告として軽く攻撃をしたなら……
「けど、怖いその人もメガネのおじさんに似てた」
しかし、エルはあの分史世界のローエンの方が魔人ではないか?と思ったのか、ローエンを不安そうに見て言う
「怖い私?」
ローエンはいきなりそう言われて首を傾げると、ジュードはさっきの分史世界のローエンの事を説明した
けど、それはいきなり現実に起きた不可解な事としてだけど
私もその間にあの分史世界のローエンは“エリーゼ達……自分にとって恩のある人や孫のように可愛がっていた人達をエレンピオス人に殺されて復讐の鬼と化してしまったんだ”って考えた
選択によって可能性は0ではない世界……どうか同じ事が起きませんようにって願う
「……なるほど。お前の周りで不可解な事件が起こっていると」
説明を聞いたガイアスはそう言って、隣で難しい顔をしながら髭を触っているローエンに気になるか?って聞く
「かなり」
「根拠は?」
「勘です」
「わかった。調査は任せる」
「かしこまりました。そう言うわけで、お供させていただいてよろしいでしょうか?」
なんかあっさりと勘だけで調査させるって……ガイアスすごいな
いや、前作からこの1年で2人はそこまで絆が出来たんだろうって考えた
「かまわないよ」
「ローエン・J・イルベルトです。お見知りおきを」
ルドガーがローエンの同行を快く了解した後に、改めて自己紹介した
「俺はルドガー」
「エルだよ!この子はルル!」
「私はリルです。よろしくお願いしますローエン」
「はい、こちらこそ」
そんな時、ガイアスが黙っていたジュードに何かを言おうとしたら…
「わかっている。落ち込んでる暇があったら源霊匣を完成させる努力をするよ」
って、ジュードは言った。その言葉にガイアスはかすかに微笑むように頷き、そのまま裏路地から出て行った
ルドガーも私も、彼らの間には何か強い結びが感じられるって思ってジュードは見る
……私は前作を知っているから、声には出さないけどすごく感動!
ローエンとの絆もすごいけど、ジュードとガイアス
この2人は前作でエレンピオスを含めた世界の未来のために、戦った相手
けど、対立したが、やっぱり気持ちは一緒だからお互いに認め合っている…
そんな2人がこうして…!
あ、でも個人的にもっと好きなツーショットはジュードとミラ、ガイアスとミュゼです
って、考えていると、ジュードは私達に言った
「バランさんの所に行こう。へリオボーグで一緒に源霊匣の研究をしている人なんだ」
「わかった!えっと、ヘリオボーグに行くには……」
そうして、今度はヘリオボーグに向かうため、列車でトリグラフに行く事にした