稲妻轟く研究所
トリグラフを抜けてトルバラン街道を進む私達
その時エルが「ローエンは、王様と友達なんだ」ってローエンに聞いた
「ええ、ガイアスさんの元で宰相をしています」
ローエンはそう笑顔で答えたけど、エルは宰相の意味がわからなかったみたい
「大臣の事…だよね?」
「そう、リーゼ・マクシアで2番目に偉い人だよ」
私の答えにレイアが頷く
「大臣かぁ……お話だと、だいたい悪者だよね」
「そうそう、国を乗っ取ろうとしたり、王様をいじめたりね」
「あと、裏組織と手を組んで違法商売して敵国を巻き込んだり!」
私とエルとレイアは悪の大臣の特徴を話していると…
「…なんと!私の野望が見抜かれるとは」
って、ローエンは眼鏡のブリッジを押さえながらそう言った
それを聞いたエルとルドガーは、驚いてローエンから一歩離れる
レイアと私は動じずに黙っていて、どう言う事なのか考えながら聞く
「そう、私の趣味は“王”を討ち取ること……王の領地に攻め込み!兵を奪い!何度も死地に追いつめているのです」
そう意気揚々と話すローエン
あれ?その状況って何だか……
レイアも気づいたのか、笑って私にアイコンタクトした
けど、エルは……
「王様に知らせないと!」
って来た道を戻ろうとしたから、私は慌ててエルの腕を掴んで行かせないようにした
「あ!待って!勝手にどっか行かない!」
「だって、このままだと王様が…!」
そんな私達にローエンは近づいてこう話す
「……将棋の話ですけどね」
「将棋…!?」
「ええ!?」
その言葉に驚くエルとルドガー
……あ、将棋でしたか。私はチェスだと思ってました
けど、レイアは私と違って「予想通り」って笑っている
そして驚いていたエルは…
「やっぱり大臣はイジワル!」
って、悔しそうに頬を膨らませた
「これがローエンのペースだもんね」
「なるほど…」
「ローエンってユーモラスセンスがすごい!」
「お褒めのお言葉光栄です」
エルと同じく、すっかりローエンの冗談を真に受けてしまったルドガーも、ローエンはこのような人物なのかと理解する隣で、私は生でローエンのテンポとノリのいい冗談を聞けて嬉しかったと心をほくほくさせた
と、そうしている内に、黒い外壁の大きな建物が見えてくる
あれがヘリオボーグなのか?って近づくと、入り口にたくさんの人がいて何やら騒がしい……
どうしたんだろう?研究所だから実験でもしているのか?なんて思って、建物に近づくと…
「か、関係者以外は入らないで!」
私達に気付いた研究員らしき男性がそう言って、ヘリオボーグ内に入らせないようにした
「なにかあったんですか?」
「ああ、ジュードさん。それが……」
関係者であるジュードに気付いた研究員の男性から何があったか事情を聞こうとした。その時
「ダメだ。完全に警備システムを押さえられてる。俺1人じゃどーにもならな―――」
そこに来たのは、黒いスーツを着て首に巻いた黄色の長いスカーフをなびかせ、顎には短く髭を生やした男性がきた
あれ?その声、その顔どこかで……
私が思い出そうとしていると、ジュードと男性はお互いに目を見開いて驚いていた
そして
「アルヴィン!」
そうジュードが言った…
………え?……ええ?
…………
「え゛え゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛!?ア、アア、ア…!!!」
私はすごく驚いて、思わずそう大声で言ってしまった
ええええ!?あのアルヴィン!?
あれから1年しか経ってないのに…
なんか……
胡散臭さがパワーアップしているような…!?
あ、髭?あの髭があるから胡散臭さがアップしてんのかな?
にしても、かなり老けたようにも見えるし…
なんて、前作の時の姿を思い出しながら、この目の前にいる髭の怪しい男ヒゲヴィン……じゃなくてアルヴィンを見ていると
「どうしたの?」
「リル?どうした?」
って、エルとルドガーが私に聞いてきて、その言葉でハッと我に返った
ヤバい……皆私を見てなんで変な声を上げたのか疑問に思っているはず…
ジュードの時は彼が有名人だったから知っていますって言っても良かったけど、えっと、この場合どうやって説明しよう…
まさか私は別世界から来て、そこでは貴方達が知られているだなんて絶対言えないし…
すると、アルヴィンが私にこう言った
「何々?お嬢さん。ジュードの知り合いにイケている男がいるって驚いたのか?」
「え、あ、は……はぁ」
突然そう聞かれ、どう答えようか迷っていると
「アルヴィン、リルを困らせないで」ってジュードはちょっと呆れて言うとアルヴィンが「悪い悪い、ほんの冗談だ」って苦笑する
……あれ?なんとか危機を回避できた?
そう思って私は慌てて「いや、あの、ジュードにいっぱい知り合いがいて、行く先々で出会っているから驚いちゃって……」って言うと、それに納得したのかみんな「そうなのか、なるほど」と言うような表情をして頷いてくれた
……ふう〜〜危なかった!今後は前作より変わりすぎてる知っているキャラと出会っても驚かないようにしないと
そう思っていると、アルヴィンは続けて「にしても、こりゃまた、いいタイミングで」って言って私達を見た
「ローエンとレイアまで、おそろいか」
「お久しぶりです」
「久しぶり!」
「俺達は始めましてだな」
そう言ったルドガーの後に私もエルもアルヴィンに自己紹介をして、事情を聞いた
「アルクノアが警備システムを制圧した……?」
アルヴィンが言うに突然奴らが奇襲してきて、建物ごと警備システムを乗っ取ったと…
それを聞いたジュードはまたアルクノアが関わっているのを知って険しい顔になる
「しかも、見学に来ていたリーゼ・マクシアの親善団体が中に」
「案内してたバランも一緒なんだと」
研究員の男性とアルヴィンの言葉に驚いてエルは「バラン!助けないと」って私達に言う
もちろん、私達がここへ来たのはバランに会うためだから
私とルドガーが頷くと「手伝ってくれるのか?」ってアルヴィンが聞いてきた
「僕たち、バランさんに用があるんだ」
「ルドガーとリルだっけ?これはアルクノアのテロだ。俺、元アルクノアなんだけど、信用してくれるか?」
「…!?」
アルヴィンが自ら元アルクノアって話すと驚くルドガー
……いいのかな、そんな事いきなり告白しちゃってって私が思っていると
「…俺は信用するよ」
少し考えてから、ルドガーはそう言った
…ジュードと知り合いだから信じるのか
私は……
「私も……信用する。こうして初対面で元アルクノアって打ち明けてくれたって事は、もう関わっていないって思うから」
なんて、前作から考えて流石にもう裏切らないだろう…って思いながらアルヴィンに言うと、私達の言葉を聞いた彼は驚きながらも「なるほど、ジュードの友達って感じだな」と笑いながら納得して、話は決まったところで状況確認が始まった
バランは見学者と一緒で、閉じ込められている所は開発棟の屋上付近
すぐに救出に向かいたいけど、このままアルクノアの好きにさせる訳にはいかない。警備システムをなんとかしないと…
そこでローエンの提案で、二手に分かれてバラン達の救出と、研究棟の最上階にある警備システムの制御室へ行く事になった
「では、制御室は私とレイアさんで」
「バランさん達の事、任せたよ!」
そうしてローエンとレイアは制御室へ向かう
「天気も悪くなってきた。ちゃっちゃと済まそうぜ」
そう言ったアルヴィンと共に、残った私達はバランの救出に急いで向かった