稲妻轟く研究所







――――――――





気がつくと…


さっきと場所は変わっていないけど、この違和感は間違いなく分史世界




「ん…ここは…」




ルドガーとジュードは、この衝撃には慣れたのかすぐに目を覚まして辺りを見る




「なんか今……」




遅れてアルヴィンとエリーゼも気がつく


そしてその時に、私がルドガー達と会ってそれ以降に分史世界に入った時に感じた違和感が何なのか……

それがわかった




「(分史世界の侵入……私の意志で行った侵入ではない!)」




そう。今まで自分に危機が訪れると、防衛のためかたまに無意識的に分史世界に侵入してしまう事がある

例えば最初にこの世界に来た時とか



けど、列車テロの時やブラート達に追い詰められたりした時と……

……さっきの侵入の時も何も感じなかった


つまり…




「(この侵入は…ルドガーが?)」




そう思ってルドガーを見るけど、会った時と変わらず分史世界について理解していなくて混乱している

やっぱり、無意識だから気付かないか……そう思いながら、疑問は解決しなかったと考えるのを一旦諦めた




「大丈夫ですよ。えっと……」

「今のウソ!雷なんて、ただのデンキだし」




しゃがんで蹲っているエルにエリーゼが優しく話し掛けると、エルはまた強がりを言ってすぐに立ち上がり歩き出した

……大丈夫だって思わせるアピールかな?

けど、エリーゼから「そっちじゃないですよー」って言われると「そうだと思った!」って少しムキになって反対側に向かって走り出す

そしたら、エルは見事に転んでしまい私達はエルの元へ行く




「大丈夫?」

「…大丈夫」




少し悔しそうに答えるエルに「雷を怖がっているなんて思わないけど、ここは列車テロの時と同じ怖い人がたくさんいるから、私達から離れないで」って言うと黙って頷いてくれた

よかった…とりあえず慎重に進まないと…

そうして、屋上を目指しながら進む途中「そう言えばエリーゼ、なんか服の趣味変わったな?」ってアルヴィンがエリーゼにそう聞く




「エレンピオス旅行のためにって、ドロッセルが買ってくれたんです」

「リボンは学校の仲良し皆でお揃いにしたんだー」

「へぇー、友情してんな」




その会話を聞いて微笑ましいなぁって思っていると「アルヴィンは、商人なのにちょっと怪しげですね」ってエリーゼもアルヴィンの服装等について聞いた




「相方がお人好しだから俺はコワモテ担当なの。適材適所ってやつだ」

「(前作から変わりすぎって思ったら…そんな理由だったんだ…!)」

「そっちも友情してるー♪」

「ティポ、また一緒なんだね」




ジュードの言葉に嬉しそうにしながらも、なんだか悲しい事を思い出すように「うん。しばらくしまわれてたけどー」って答えるティポ

あぁ、前作のラストで箱にしまわれてしまったもんね

けど、内気なエリーゼが頑張って自分から人の輪を作っていこうとしたから、ティポには悪いけど決意の為にしまわれてしまったのは仕方が無いって思った

……って、じゃあ何で今ティポがここに?そう思って私が聞くとエリーゼはこう答える




「親善旅行で、友達とヌイグルミを見せっこをするって約束したんです」

「ボクの可愛さを、みんなに知ってもらいたいんだよー♪」

「そう言うわけか〜なるほど!」

「えぇ…っ!?」




ティポの可愛さ……それを聞いたルドガーは驚いて思わず声を上げた




「ティポは可愛い……ですよ?」

「ねー?」




だんだん迫って聞いてくるティポ。そして不安そうに聞くエリーゼに対してルドガーの答えは…!?




「あ、ああ…可愛いよ…特にその角が!」




うわ!よりによってその言葉は…!!

それを聞いて、ジュードは慌てて「あっ、それ違…!」って言ったけどエリーゼは悲しそうに下を向いた




「これは角じゃないです…」

「柔らかさがウリの僕に、角とかー…」




あぁティポはショック受けてる…

ジュードも前に間違えたんだって言うと、アルヴィンはルドガーとジュードを見て本当に似たもの同士だって笑う




「えっと、違うよね!それは……耳だよね!それかエリーゼとお揃いのツインテール!」

「っ!?」

「えぇ!?」




悲しそうな顔をするエリーゼを慰めようと、ついプレイヤーとして知ってました情報を言ってしまった

もちろん、エリーゼだけではなく、みんな驚く




「初対面なのにわかるのか!?」

「まぁ、大抵可愛いマスコットに怖い要素は無いかと思って…」




アルヴィンに驚かれながらそう聞かれて、私はなんとか無難な事を理由にして話す





「僕が可愛い…!?」

「ティポを可愛いって思うんですか?」

「うん、その愛らしいボディと言い、柔らかそうなところが癒し系っぽくて……」

「リル……でしたっけ?貴女とは気が合います」

「僕を可愛いって思うなんて、なかなか見る目があるねー!♪」




エリーゼとティポは、私に良さを分かってくれて嬉しそうにしてる

よかったああ〜!エリーゼの元気が戻って!

しかし、他のみんなは「リルって変わっているな…」ってちょっと引いたみたい。ははは……

そう会話しながら私達は進んだ






















上を目指して階段を上がっている時、気づいた




「(アルクノアが見当たらない…ここは何の分史世界で何が時歪の因子だろう…?)」




そう思っていると、開発棟の屋上部屋に辿り着き、屋上へ続く扉を開けると……




そこにいたのは、黒くて所々から電気が走る球体




「ジジ……ガガ……」




たまにそれは、苦しそうな声を上げると、球体が光り出して中にいる何かの生物の姿が映る




「なんだ、これは…!?」

「また変なのだ!」

「あれは…!」




ルドガーとエルは初めて見たから、驚いていたけど

私は違う意味で驚いた

この球体は……!

そう思っていると、エリーゼとティポがその答えを言う




「源霊匣ヴォルト!」

「ビリビリするやつだよー!」




そう、これはあの前作で実験の中止になった源霊匣ヴォルト!

この分史世界にあるって事は……こいつが時歪の因子か……!?




「また作ったのかよ!?」

「……制御もできないのに!」




ここが分史世界だと分からないジュードとアルヴィンは、ヘリオボーグは何故またこんな事を…!って信じられなさそうにヴォルトを見る

その瞬間、源霊匣ヴォルトは「ビビッ!ビィー!」と苦しみを訴えるような叫び声を上げ、体を更に黒く染め怪しい光を放つ!やっぱこいつが時歪の因子か!

そう思ったのと同時に落雷が私達に周りに落ちる




「きゃああ!」

「エル!」




私は咄嗟にエルに覆い被さるように抱いて落雷から守る

……幸い、私達には落雷は当たらなかったけど…




「ルル!」




落雷が止むと、エルがそう悲鳴を上げるような声でルルに駆け寄る

何故なら……落雷はルルに当たってしまったからだ!

地面にぐったりと横たわるルルに泣きそうになりながら必死に声をかけるエル

早く回復して上げないと…!

そう思っていたら、源霊匣ヴォルトが私達にまた襲い掛かってきた!




「うおおおっ!」




いち早く、ルドガーが双剣を構えて源霊匣ヴォルトに立ち向かって行くと、他のみんなもルドガーのサポートに回ったり、遠くから術を唱え始める




「ルル!ルル!」

「大丈夫…!」




必死に声をかけるエルに、私はそう言って回復術を唱えた

……こんな可愛いペットが傷つけられると、私も黙ってはいられない

オリジンの結晶を使って一気に完治させようとした


その時




「うわああああ!!」




源霊匣ヴォルトと戦っていた皆が、落雷と追突攻撃にやられている!

やばい!やっぱ精霊ってそう簡単に攻撃が効かないのかな?


ルルも助けないといけないけど、今はみんなが危ない!


私は一旦ルルへの回復術を止め、別の術を唱えた




「フリーズランサー!」




氷の精霊術で源霊匣ヴォルトに攻撃をすると、見事にヒット!結構効いているみたい


……って、そう思っていると、源霊匣ヴォルトが私の方へ向かってきた!


大変!エルから離れないと!

慌てて走ろうとした時、ルドガーが後ろから銃で攻撃してくれたおけげで、源霊匣ヴォルトはこちらに追突しないまま、その場でダメージを受けた

よし、今のうちに……そう思っていたら、私とルドガーとの間に光の線が現れる

まるで、私とルドガーを繋ぐパイプのように

これはもしかして…!




「リル!さっきの術をもう一度してくれないか!」

「え?」

「俺と技を合わせてこいつに大きなダメージを…!」

「わ、わかった!」




そう、リンク技だ!

わあああ!実際にやるリンクってこんな感じなのか…!


って、感動している場合じゃないな!早くフリーズランサーを唱えないと


詠唱し終わると同時にルドガーが発砲する。その時、私達は頭に浮かんだ技名を言う




「「ブリザード・スターダスト!!」」




ルドガーの発砲した弾丸は私のフリーズランサーの冷気を帯びて源霊匣ヴォルトに当たった瞬間、そこから凍り始めて全身が凍結すると……一気に凍り付いていた所が砕けた!

その攻撃を受けて源霊匣ヴォルトはようやく暴走を止めたのか、よろよろで立っているけどその場に動かずにいる

そして、またゆっくりと、独特なしゃべり方で話した




「ジジ……エラー……。タマシイ……オセン……シンコウ……」

「タマシイ?汚染進行?」




なんだ?どう言う事だろう…

そうしていると、源霊匣ヴォルトが「コントロール……フノウ!」と叫ぶと、また落雷を落とそうとした!

まだそんな力が…!

なんとかしなければ…そう思っていたら…


ルドガーが骸殻に変身して、槍で源霊匣ヴォルトを突き刺す!


そして、抜いた槍先には時歪の因子が刺さっていて……やがて砕けた

その瞬間、周りの空間が割れるように消え、目の前が真っ暗になる















――――――――――





気付くと、エリーゼと出会ったT字路にいた

戻ってこれた…

あ、そうだ!アルクノア達は!?それに…




「ルル、しっかり!」




そう、ルルの回復がまだ途中だった!急いでやらないと!って、私が行こうとしたら…




「大丈夫、任せてー」




私より早く、エリーゼが回復術を唱える

リーゼ・マクシア人の発達した霊力野……それにティポのお陰で、とても強力な回復術を素早く唱える事ができ、ルルはしばらくして立ち上がって元気に鳴いた




「ルル!」

「よかった…」

「もう大丈夫です」




エリーゼは初対面なのにルルの為に回復してくれた。その優しい気持ちに触れたお陰か、エルはエリーゼを信頼できる仲間だと認めてこう小声で話した




「……エル、雷、嫌い」

「え?」

「雷の時、怖いことあったから」

「内緒だけど、わたしも雷は苦手です」

「ビリビリはヤだよねー」

「……うん」




よかった……エルはまだティポには慣れてないみたいだけど、エリーゼとは仲良くなったみたい

そう思っていると、何かを考えながらジュードは言う




「それにしても、いつの間に源霊匣ヴォルトをつくる準備を……」

「バランが知ってるはずだ。屋上に戻ってみようぜ」




とりあえず当初の目的だったバランの救出のため、再び屋上へ向かう

その時




「リルってリーゼ・マクシア人だったんだな」

「ええっ!?なん…で…!?」




そうルドガーに言われて、思わず大声出して驚いてしまう




「いや、だって精霊術使っていただろ?」

「あ、ルルも回復してくれたしね」

「ナァ〜」




ああ…まずい…そう言えばオリジンの結晶使って精霊術唱えてしまった…!

何も話さず、教えず、エレンピオス人として振舞おうとしたのに

仕方ない…




「そ、それが……実は私、記憶喪失で去年クランスピア社に拾われたその前の事が思い出せないんだ……だから自分がエレンピオス人なのかリーゼ・マクシア人なのかわからないの」

「何だって…!?」

「マジかよ…!」

「そんな…!」

「なんとー!」




はい、必殺「私記憶喪失です」を使いました

あぁ…たしかにここの文字とか歴史は最初うろ覚えだったし、覚えるの大変だったけどさ…!

そして、この事は皆は信じたみたい…

なんだか騙しているような…って言うか嘘をついている自体には変わりないね

すごく罪悪感が…!




「リル……お家とか、パパやママの事も思い出せないの?」

「う……うん、そうなんだ。だからずっとトリグラフにいて寂しいって思わないよ」

「そうなの?エルはそれちょっと悲しいな…」




ごめんね、エル……!こんな事で悲しい思いをさせてしまって……

本当は両親の事忘れてないし、家とかその他の事だって覚えているけど…!




「あ、でも大丈夫だよ!思い出そうとしたり、手がかりも探しているし……」

「そう?」

「僕らも何か力になれることがあったら言ってね」

「あ、ありがとう…」




ジュードの言葉に皆は頷く

うぅっ……皆ごめんね。こんな最低な嘘をついて……


なんだかすぐにでも謝りたかったけど、すぐに今はバランの救出だ!って本来の目的を思い出して、また屋上に向かった




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