稲妻轟く研究所





またさっきの屋上に行ってみると…




「誰もいない…」




私達が周りを見てバランがいないか探したけど、人影すら見当たらない

どこだ……?そう思っていると、アルヴィンは屋上に隣接している塔に向かって「出てこいよ、バラン」って言う

すると




「よくわかったね、アルフレド」




と、茶髪で眼鏡をかけた男性――バランが塔の影から現れた

え!?あんなところに!

そう言えば前作でも、高い所にいたような…




「ガキの頃から隠れ場所変わらなすぎ」




流石、従兄弟同士の仲だ。アルヴィンは予想が当たって少し呆れた様子

バランは私達がアルクノアを何とかしたってわかると、安心してこちらに降りてきた

そして、バランに先ほどの源霊匣ヴォルトについてジュードが聞いくと…




「源霊匣ヴォルトなんて作ってないし、作る準備もしてないよ?」

「え……!?」

「大体、源霊匣自体の制御がうまくいってないのに、大精霊クラスなんて無茶すぎだろ」

「けど、ビリビリいたよね?」

「あぁ…」

「なんだったんだ、ありゃ……」




ジュード達は先ほど見たヴォルトは何だったのか…?と頭を悩ませ、バランは皆は何を言っているんだろう?と首をかしげる

……その中で

答えを知っているのは私


分史対策エージェント以外には機密って命令だけど

もう、さっき嘘を言ってしまったせいか、分史世界に関する事まで黙っているのは耐えられなくなりそうだった

ここまで関わったなら知らないまま分史世界を破壊するのは辛い

……これが終わったら、ビズリー社長に相談しよう

新人だから相手にしてくれないかもしれないけど、1つだけではない分史世界を破壊してきたルドガー。そして巻き込まれてしまったジュード達

この先もう分史世界には関わらないって可能性は低いって思っていると、ルドガーがバランに本題を聞く




「そんなことより、ユリウスのことを教えてくれ」

「ユリウス……?君、警察かなんか?」

「ルドガーはユリウスさんの弟なんです」

「へぇ、弟がいるなんて知らなかった。けど、考えてみたらあいつ長男っぽい性格だな」




あれ?ユリウス室長って……バランにルドガーの存在を隠していたの?

ますます彼の考えている事がわからなくなる……


そう思っていると、エルもユリウス室長について他に何か知らないかって聞くと




「あいつが超トマト好きだとか?」

「ははは…」

「バラン」

「ごめん…」




バランはちょっとおふざけに答えるのを聞いてきて私が苦笑いすると、アルヴィンに軽く怒られて今度は真面目に答えた




「ユリウスとは半年くらい会ってないよ。列車テロのニュースを聞いて驚いてたとこさ」

「そうですか…」




それを聞いたルドガーは、がくりと目線を下に下ろす




「あの……でしたら、行き先に心当たりありませんか?」




私はそうバランに尋ねると、彼は「行き先ねぇ…」と呟きながら思い出そうとする

それを聞いたエルは「カナンの地とか?」と、もしかしてそうではないのか淡い期待を込めて聞いてみる。そしたら




「カナン……そんなこと言ってたような。なんだか知らないけど」




それを聞いたエルの目は輝いた!やっぱりカナンの地があるんだ!って

けど、私はその言葉でユリウス室長はやはり誰よりも早く審判を超えようとしている……って社長やリドウに言われた事を思い出してしまう







その時




「カナンの地は魂を浄化し循環させる聖地よ」




と、そんな女性の声がした

あれ?バランの他にも避難していた人がいたのかな?って周りを見るけど、誰もいない…

次に先ほどバランがいた塔に目を向けると…



なんと、塔のてっぺん近くに薄緑色の長い髪の女性がいた!

よく見ると背中に羽があるような…



そんな人(?)に私とルドガーとエルは驚いていると




「ミュゼ!」




って、ジュードは言う


……えええええええ!!?ミュ、ミュゼって……

あのマクスウェルの分身として……ミラの姉として創られた大精霊ミュゼ!?


そして、その女性――ミュゼは「こんにちは、ジュード」って挨拶をすると、こちらにゆっくり降りてきた




「なにあれ!?」

「精霊ミュゼ」

「ミラのお姉さんだよー」

「?」

「えっと、つまり、あの人は去年新しくマクスウェルになったミラ=マクスウェルのお姉さんで……」

「う〜ん、よくわからない」




エリーゼはジュード達と一緒だったからわかるけど、エルはやっぱり一般的な8歳の子供だから、わからないよね

私もエルくらいの年齢の時は世界の大きな事件や出来事ってなかなか全部理解できなかったし


そうして降りてきたミュゼに「どうして人間界に?」って聞くジュードの横で


うおおおお!?と私は驚いた!

何故なら上空にいた時には見えづらかったけど、降りて来てようやく近くで見るミュゼのNEWスタイル…凄くセクシーで素敵!

色は落ち着いた深いマリンブルーの上着でその隙間から見えそうで見えない下半身が……!

あ、あたしオヤジっぽいな

なんて、1人で内心でミュゼの新しい格好に興奮していると

ミュゼはジュードの質問に悲しそうに答えた




「ミラがいなくなっちゃったの」

「いなくなった……?」

「魂の浄化に問題が起きたと言っていたわ…私の力を使って精霊界を飛び出した後、連絡がつかなくなっちゃって……」




魂の浄化の問題…?ミラが…新しいマクスウェルが動き出すって事はただ事ではないな…


って、思っていた私は気付いた!


分史世界の源霊匣ヴォルトの言ってた魂の汚染進行…

そして、ミュゼの「カナンの地は魂の循環する聖地」って言葉…


それが正しかったら、ミラはカナンの地で循環する魂が何かに汚染されているって知って確かめに行ったのでは…!

あと、前にビズリー社長が分史世界が増えすぎると、正史世界に生きる魂のエネルギーが拡散して、やがてあらゆる生命を死に絶えさせてしまう可能性が高まるって言ってた!


まさか、分史世界の影響で魂の循環に悪影響が…!?

そうなったら、そのカナンの地…審判の最終地点であるオリジンの玉座も消滅してしまうのではないか…?


そう不安に思っていると、ジュードが「ミラが人間界に来てるの?」ってミュゼに聞く




「そのはずだけど……会ってないのね」

「………」

「そう…無事なら、あなたと一緒にいるはずと思ったんだけど……」




ミラが人間界に来ていたなんて知らなかった…って言うように、なんだか複雑の表情をしているジュードを見て、ミュゼはここら辺にはいないって判断して「捜さなきゃ」って言うと、すぐに飛んでどこかへ行ってしまった


…あぁ、よかった


実はミュゼは前作から性格が変わっていなかったらどうしよう…って不安になっていたけど

どうやら、ミラと仲良くしているみたいだし、性格も穏やかになっている

あれが本来の彼女の姿かな?って思っていると…


制御室に行っていたレイアとローエンが来て、飛んでいくミュゼの姿を見て驚く




「今のミュゼでしょ!何があったの?」

「おや、エリーゼさんも」

「みんな集まっちゃいましたね」




そうして、エリーゼは久しぶりに会うレイアとローエンに挨拶と先ほどの事情を話す


「みんな集まった」……それを聞いたアルヴィンは「1人いないけどな…」と複雑そうな表情でジュードを見る




「ミラが……行方不明」




ジュードは「彼女に何があったんだ…?」と誰に対して問うわけでもないけど、そう訴えるような目で、ただミュゼが行った方向の空を見ていた


その時、ルドガーのGHSが鳴る

出てみるとヴェルさんからで……

ユリウス室長がイラート海停で目撃されたって報告だった


……ただ、ヴェルさんの口からユリウスさんの呼び方が“室長”ではなく“前室長”に変わっていた

やっぱり、社員としてではなく、本格的に犯罪者の疑いとしての扱いになることを知って私は少し悲しくなった




「別の探索エージェントも急行していますので、お急ぎを」




って、言うとGHSを切られた

「またお金を返さなきゃね」ってエルが言うと、一気にまた現実との戦いが来たってルドガーはうなだれた




「わたしも連れて行ってください」




その時、エリーゼが私達にそうお願いしてきた




「間違いなく、やっかいごとだぜ?学校に戻った方がいいんじゃないか」

「でも、ミュゼが出て来てるなんて普通の危なさじゃないでしょー」

「わたしも、できることをしたいです」




意志は堅いみたい……そう思っていると「……俺も手伝うよ。仕事の合間でよければ」ってアルヴィンもエリーゼに便乗した

それをルドガーが了承すると「なんか人いっぱい!」ってエルは仲間が増えた事に楽しそうにする



……さぁ、嘘を言って大事な事は黙っている辛さと、ユリウスさんの謎で私の頭がもう爆発寸前だ!




………何か1つでも解決させたあああああああああいっ!!!!




と、思いながら新しく増えた仲間達とイラート海停へ向かった


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