火花は抑えて
この後、リドウは自分のファン達に「これ以上、俺を好きでいてくれる大事な人達同士が傷つけ合うのは見たくない。もうこんなマネはしないでくれよ?」って、本当にどこかのチャラいキャラのキザな台詞を言うと、彼女達は打って変わって甘ったれた声で「はい、わかりました!ごめんなさい」って言って、ここを去って行った
うああああ〜〜〜〜〜……すげぇうぜぇな〜〜〜〜〜!!
さっきまでリドウのファンに胸倉掴まれた時には、人の醜さが出ててこっちが冷静になって何も気にしなかったのに
リドウの登場で態度が一変した姿は同性として、すごく腹が立った
そんな虫唾の走る思いをしていると、ユリウスさんのファン達が「さっきの貴女はかっこよかったわ!」「リドウもそのファン達もあまり好きではないけど、貴女とは仲良くしたい!何か困った事があったら言ってね」って、私に一礼して去っていく
……ユリウスさんのファンは穏やかだな
そう思っていたら、リドウから軽く頭をぺしっと叩かれた
「…ったく、エージェントなのに何面倒事を起こしてんだよ」
「いや、だってあの人達が…」
「たしかにあいつらが原因だが、お前の…」
「?」
「……説教してた時のリル。完全にやり返す以上に半殺しにしてやろうかって目になっていたぞ」
「えっ!?いや、それは……まぁ正直に言いますと、かなりムカついたんでノー○ンライト○ムをしようかと思ったり……なんて」
「ノー○ンライト○ム?」
「なんでもないです」
つい、某女性プロレスラーの技名を出してしまったが、私は格闘技はできません
にしても、自分のやった行動に自分でも驚いたけど、後悔はしていない
彼女達が誰を好きになろうと、それは勝手だけど…
犯罪者じゃないからリドウのファンでよかったって言い方が許せなかった
私もあまり偉そうなことは言えないけどね
そう思い返しながら、ふぅ…と一息ついたところで
私はある事を思い出す
「あああーー!昼ご飯忘れていたー!!」
ルドガーの家で昼ご飯を食べるのを約束していたのをすっかり忘れていた事を思い出して慌てて向かおうとした時、リドウに肩を掴まれた
「あの、何ですか?私これから予定が……」
「仕事だ」
「はい?」
「ヴェル嬢からの連絡で分史世界が発見されたんだと」
「え…?まさか私を同行者に?」
「ちなみに拒否権は無いぞ」
なんだそりゃー!!いきなり現れて…まぁ助けてくれたのには感謝しますけど…
「私、昼ご飯まだ……」
「それなら心配には及ばねぇ…おい、雑務」
「はいっ!俺が食料を色々持ってきますんで!」
気づいたら、リドウの後ろに現れたイバルに驚く
「イバル!?いつの間に!?………だったら、イバルと行けば……」
「まぁ、今回の侵入は色々あるんだ…」
そう言ったリドウは、私に顔を近づけて耳元でささやくように小声で言う
「今から行く分史世界には…ユリウスが潜伏している可能性があるんだ…」
「っ!?ユリウスさんが…!?」
この言葉には驚いた。つまりユリウスさんに見つからないように侵入して、隠れながら探して捕まえる。という作戦のようだ
こうなれば……昼ご飯どころじゃない!
申し訳ないけど、ルドガーに急用が出来たから離脱する事を連絡する
「ごめんルドガー。突然仕事がはいって行けなくなっちゃった」
「そうか…残念だけど、仕方のない事だな。また次の機会に」
「うん」
ルドガーの料理が食べられなくなったのが悔しいけど、私はルドガーの為にもユリウスさんと会って話がしたい
電話の向こうでルドガーが皆に私が来れなくなったのを伝えると、エルの「えーー!リル、来れなくなったの?」って声が一番よく聞こえた
うぅっ…エルもごめんね
じゃあ、終わったら連絡するからって電話を切ると、リドウがすぐに分史世界への侵入を始めた