火花は抑えて






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目を開けると、そこは変わらずトリグラフだった




「これが……分史世界?」




初めて分史世界に来たイバルは、何ともいえない不思議な感覚になった様子で周りをまじまじと見る




「そっか、初めて来たもんね。同じように見えるけど違う所もいくつか……」

「あれ?ここ文房具店だったのに倉庫になってますよ!?」

「ああっもう!話している途中だよ!続きを言うけど、正史世界と同じようで違うところが多数あるから、下手にこの世界の人たちに突っ込まないでね?」

「あ、すみません!わかりました!」




いやぁ〜初々しいね〜

けど、私が初めて分史世界に来た時は、こんなんじゃなかったような…

だって異世界にトリップしてすぐに分史世界だから、混乱だらけだったしタイム・リープと間違えてしまったし…


なんて思いながらイバルを見ていると、案の定リドウに怒られてた




「馬鹿野郎、あんまり騒ぐな!ユリウスに見つかったらどうすんだよ…」

「す、すみませんでした!」




大きくため息を吐いたリドウは、私達に店と店の間の狭い路地に隠れるよう案内する

で、そんな中で作戦を詳しく聞くと…ユリウスさんを探す時は堂々といつも通りの格好でいろと言われた




「え?そしたらバレるんじゃ…」

「よく考えろよ、俺より若いんだろ?この分史世界にも俺達がいる可能性が大だとしたら…」

「あ、その分史世界の俺達のフリをするって事ですか?」

「正解」




たしかに……まだいつの時代なのかはわからないけど、もしかしたらリーゼ・マクシア人がまだいない時代ならば、この分史世界のイバルと私とは出会わないかもしれない。だから堂々としてた方がいいね

まぁ、この世界の私達に出会ったらその時に対策を考えるとして、今はユリウスさんを探すぞってリドウが言うと、すぐに街に出ていき私達も追うように出て行って探し始めた





























「(分史世界の自分と出会ったら、対策はその時にって……リドウはやる気満々だな)」




はい、ここで私が言ったやる気はティポが吸い込むやる気ではなく、殺意むき出しの方のやる気です

はぁ……良い意味でも悪い意味でも、分史対策エージェントのエリートだなって思う

私はもし自分と出会ったら、どうしよう……


って、言うかその私も今の私と同じかな?

同じだったら「あ、なーんだ。鏡かー!」ってコントのような事になるかもしれないけど

違う性格……不良みたいなすっごく悪い性格の私だったら、びびるかも

自分自身なのにね!いや、自分自身だからか


その時、自分の腹からぐぐぅ〜…と間抜けな音がした


あ、腹が空いているのを忘れてた

前を歩くリドウに気づかれなかったが、横にいたイバルが「大丈夫ですか?」ってサンドウィッチを渡そうと鞄の中を漁る




「あれ?ちょっと待ってください…」




なかなか取れなくて、立ち止まって探す




「急がなくても大丈夫だよ」




そう言った時に、丁度見つけて私にくれた




「ありがとう〜」

「まだありますので……あ」

「ん?どうしたの?」

「リドウ副室長……見失ってしまいましたね」

「あ…」




そう、先を歩いていたリドウは私達に気づかないまま、どんどん奥に進んでしまい離れていってしまった 

まずい…バレたらかなり怒られる…!

それに私の場合は、ユリウスさんとは単体で関わらないように言われていて…


ま・ず・い……!!命令違反だって、罰則と言う名の理不尽なお仕置きがくる…!




「イバル!急いで追うよ!!」

「は、はいぃ!!」




もう私達はダッシュでリドウを探した。もう!さっきからご飯がお預け状態!

早く食べたいから、とりあえず赤いのを探した




「あ、あれがリドウさんかな!?」

「リルさん、あれは郵便ポストです!」

「マジか!」




目立っているから探しやすいと思いきや、意外と探しにくい……

ああ〜〜どこだよ〜〜〜〜!!



そう思いながら、曲がり角を曲がろうとした時…



前から来た人とぶつかってしまった!!




「あ、ご、ごめんなさい!」




すぐに頭を下げて謝ったが「今日は何かと人とぶつかるな…」って思い、もしかしてあのコーヒーかけた女性かな?って内心で苦笑していると





「リル…!」





相手が私の名前を呼んだ。あれ?それにこの声は…?


パッと頭を上げて見ると


私も…後に気づいたイバルも、思わず叫びそうになった




「ユッ……!!」

「ユリウス…!?」




なんと、そこにいたのは紛れも無く…明るめの短い茶髪に眼鏡をかけて、白いコートを着た男性


探していたユリウス・ウィル・クルスニクさんだった!




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