謎も夜も深く
リドウの自宅に来ると、その辺で寛いでいろって言われたからとりあえずソファーに座る
そしてリドウはすぐに料理の支度をした
……前に初めてお邪魔した時、私の料理の出来なさがバレちゃったからね
あれ以来、台所には立たせてくれなくて、彼にはすごく申し訳ない
けど……
「(料理している男性って素敵だよね……)」
さっきまで怒ったり意地悪したりして無理に連れてきた男なのに、仕事でもこの料理でも何かに一生懸命に集中している姿を見ると…惚れ直してしまう
「あ、相変わらす美味しいです」
「そりゃどーも」
数分後、テーブルに並べられたパスタを一口食べると前に食べた時と同じく本当に美味しい
味付けも程よくて、私の好きな魚介類も入っていて…
………
うぐっ……いつもと違って食事中とは言え、なんか気まずい
さっきの事を思い出すと、居た堪れなくなってしまう
…しつこく聞いた私も問題だ。謝ろう
「あの……」
「さっきも言ったが、いきなり怒鳴ってあんな事してしまって悪かった」
えっ!?私より先にリドウが謝ったから驚いた
私はすぐ「いえ…」って言うと、ふぅとため息ついてゆっくり話始める
よかった…もう怒ってないみたい
「俺もガキだな。分史世界のユリウスなんかに対して…」
この口ぶりだと……やっぱ私が分史ユリウスさんの言った事を真に受けてしまって怒ったんだな
「彼の言ってた事は嘘なん…ですよね?」
「さぁな。けど、俺はそんな話聞いた事ねぇな」
「差し支えなければ教えてほしいのですが、あの時のユリウスさんと何を話していたんですか?」
「あれか?あれは……あいつの世界とこっちの世界とじゃあ結晶について違うところがある。例え正史のリルを殺してもお前じゃ扱えない。ちなみにこっちのユリウスは何も知らない―――って言った」
「そうですか…」
あの時、分史ユリウスさんは結晶についてこの正史世界とは違う事言ったからリドウはすぐに気づいて話したのかな?
色々まだ謎は解けないな…って思っていると、リドウは私の右腕を指して言った
「ちょっといいか?」
「どうしたんですか?」
「ここ…バランス悪くないか?」
「え?ん〜…私も前より小さくなったって思いましたけど、多分気のせいかと」
「そうか……」
リドウが言ったのは結晶の形。私も前より小さく見えるような気がしたけど……リドウから見てもバランスが悪いってなれば、もしかして花弁みたいな形だから1枚壊れたんじゃ……
そう思って何気なく花弁を数えてみる
「(えっと………7…8…9。9枚?)」
なんかキリのいい数字ではない。まさか本当に壊れた?けどそんな乱暴には扱っていないし、いつもリストバンドで隠してたり側だけの懐中時計に入れてるし……
どう考えても全く思い当たる節がないから、やっぱり気のせいと思うことにする
さて、後は急いでこの家から出て行かなきゃ……
私はそばに置いている鞄を忘れないように手に引っ掛けて、ごちそうさまって言って皿を片付けるついでに…
「食ったか?じゃあ…」
「帰りまーす!さよーならーー!」
一気に玄関に向かって走る!
「待て」
が、目の前で塞き止められてしまい、リドウに当たった私は「ぐぇっ」って情けない声を上げる
「……行動が早いですね」
「鞄持ってそわそわしていたから、わかりやすかった」
「ははは…見てましたか」
「ああ、それに…俺は泊まれって言ったよな?」
「……はい」
「命令違反はお仕置きだな」
「や、あの、ははははは………」
逃げ場の無い所で、じりじりと近づいてくるリドウは色んな意味で怖い
顔は楽しそうにニヤニヤ笑っているから、本当に色んな意味ですごく怖い
助けて。なんで今日こんなにリドウは怖いの?
いや、さっきのは怖いだけだったけど、今はキモさも出でいる
キモ怖い。キモ怖いよリドウ…!
ああ、もうダメだ……!キモ怖リドウがすぐそこに!
そう思った時に、どこからかチャラララ〜ンって音がした
「あ、風呂が沸いたみたいだ」
「え?お風呂ですか?」
わーすごい!元の世界でも、私の親戚の家がお風呂沸いた時に知らせてくれるタイマーがあるんだけど、ここにもあったんだ
なんて、関心しているとリドウは私にタオルと着替えとして使っていないスウェットみたいな服を渡してきた
「先に入ってこい」
「え、そんな。ここは貴方の家ですから貴方が先に…」
「ああ、俺は後から入る。やる事があるからな」
「……そうですか」
少々不安が残るけど……では、お言葉に甘えて先にお風呂を頂くことにした