謎も夜も深く
「お〜〜高級ホテルの浴室みたい!」
私の住んでいるマンションより良い所だから、やっぱりお風呂も綺麗で広い
いいなぁ〜こんな広い浴室だとアロマキャンドルとか並べたり浮かばせると様になるよなぁ〜
なんて思いながら、シャワーをつけて最初に髪を洗う
シャンプーは……これでいいかな?他にそれらしいのは見当たらないし
手にとって軽く水を含ませて泡立てると、女性でも使えそうなフローラルな良い香りがした
私の父親のように男性用のガッツリさっぱりするのを想像したから、男性用シャンプーでこんなのもあるんだって以意外に思う……いや、リドウがガッツリした男性用シャンプーを使うのってあんまり似合わないな
かと言って女性用も……似合いそうだけど、オカマみたいだなって思わず笑ってしまう
後は……トリートメントも借りよっと。そしてボディーソープはこれでいいかな?
……あんまり使えば入浴料を請求されるかもしれないって思ってほどほどの量にするけど
一通り終えて、湯船でゆっくりしていると
視界がぼやけてきた
あれ?なんでだろ……
なんか、うとうとしてしまう
そう言えば今日は早起きして午前はルドガー達とクエストをして、午後はリドウとイバルと分史世界に侵入して……
休む暇も無かったから知らない内に疲れてしまったんだな
「(あ、いけない…本当に寝そう…けど、起きないと…リドウが次を待っているから…)」
………ん〜
……………
私は無意識に後ろの方にゆっくり倒れる
仰向けに湯船に倒れたら鼻からお湯が入るなぁって思う事もしなく、眠さで今すぐに寝たい気持ちだけが支配した
そして
堅すぎず少し柔らかい……温もりのある壁に頭がついた
「おいおい、のぼせたのか?」
「……えっ!!?」
そんな言葉が浴室に響くと、私は驚いて目がすぐに覚めた!
そして慌てて周りを見ると…
「大丈夫か?」
仰向けに倒れて当たった壁……
いや、壁ではなく、黒い長髪を1つにまとめて首から下の厚すぎず薄くもない綺麗な胸板が見えた
そしてその胸板の持ち主…でもあり、この家の主が私を見てクスクス笑っている
「いきゃああああああああああああああああ!!!」
私はまさか湯船にいたなんて!って驚きと、女性として入浴中を男性に見られた時の当然の叫びを上げた
「うわっ!いきなりどうした?うるせぇな」
「どうしたもこうしたもねぇですよ!なんでいるの!?後でって言ったんじゃ…」
「だから、リルより後に入っただろ?」
「後に入るってのは、私が出た後に入る事でしょ!?」
「俺は後から追って入るって言ったつもりだが?」
「この野郎!」
なんて奴だ!普通後から入るってのは、こんなんじゃない。この状態は“一緒に入る。だけど少し遅れる”って言った方が正しい
借金の時とかもそうだし、本当に悪い意味で口が上手い
で、そんなリドウは……さっきからずっと私の方を見ている
「も〜!見ないでよ!スケベ!馬鹿!変態!!」
私は体を体育座りして更に丸めるようにして必死に隠す
「んな事言っても、もう見たぞ」
「え?」
「意外とでかいんだな」
そう言われた途端、顔が熱くなる
「みっみみみっ見たんすか!?」
「俺の方に倒れてきた時にな」
くぅっ…未然に防げたかもしれないのに!そう思うと、自分の無防備さを呪う
「まぁいい。さっさと隣に来いよ」
「嫌です!私はもう出ますので…」
「まだ湯船に浸かっていただけだろ?俺が洗ってやろうか?」
「もう洗ったので、結構です」
「つまんねぇな」
「つまらなくて申し訳ないですねー……では、私は上がりますんで」
そう言ってさっさと上がろうとした
が
「待てよ。じゃあリルが俺を洗え」
「わっ!」
引き止めようと、リドウが私の腕を掴んできて、私はリドウの方へ倒れてしまう!
危ない!そう思って咄嗟にバランスを保とうとしたけど、何もする事なくリドウに倒れてしまった!
「わわわわっ…」
さっきの仰向けと違って向き合った形で倒れたから…
頬に胸板が当たってしまった!
わぁぁ…ドクンドクンって心臓の音がする…!
熱いせい?それともドキドキしているから…?
それよりもドキドキしているのはリドウ?それとも私か…!?
……って、いつまでもリドウに倒れ掛かったままじゃ駄目でしょ!私よ!!
「ごっごめんなさい!」
引っ張ったのはリドウだけどとりあえず謝り、離れるため手を風呂の底につけて立ち上がろうとしたら…
手は風呂の底ではなく
何やら妙な固さのモノを触ってしまった
「え………」
一瞬何だこれは?って初めて触ったものに頭が真っ白になったけど
すぐにわかった
よく見ると、それはリドウの腹より下にあるもので……
「ひひゃあああああああああああああああ!!?」
本日2度目の間抜けな悲鳴を上げた
「うるせぇ」
「ぎゃうっ」
すぐにリドウから騒ぐなと言わんばかりにデコピンをされる
「いやっだってあの………す、すみませんでしたーー!!!」
湯船に顔がつくけど、必死に頭を下げてて謝った
さっきから言うけど、元はといえばリドウが引っ張ったから……って言いたいけど、これは悪気がなくても完全に私が悪い!
なんて事をしてしまったんだろう!嫁入り前のリドウに!
じゃなくて!この状況は何て言うんだっけ!?えっと、えーーっと…
け、結婚前のリドウに!か!?嫁入り前ってのはあたしに使う単語だ!!
「(リドウ…何も言わないけど、怒っているのかな?)」
本当にのぼせそうだけど、頭は上げられない
「リル」
「……?」
その時、名前を呼ばれたから、ぬっと顔を上げてみると…
リドウはいきなり押し倒してきた!
「きゃあああっ!?」
気づいた時にはリドウは私に覆い被さるようにいて…
まるで獲物を見つけた獣のような目をして、ニヤッと笑いながら一言
「リルのせいでもう抑え切れなくなった………責任を取ってもらおうか?」
「いっ……いやああああ〜〜〜〜〜!!お許しを〜〜〜〜〜〜!!!」
私は今すぐにでも……分史世界でもいいから、どこかへ逃げたくなりました