別世界の精霊の主
「…もう動かないで!」
これ以上戦う必要はないと思ったミラは倒れているミュゼに近づく
……時歪の因子を壊せば昔のミュゼに戻ると思っているから、すぐに助けたいんだね
そんなミラを見ていると、本当に胸が痛い
「よくも……人間の分際で、よくもっ!」
「っ!ミラ離れて!」
しかし、気づいた時にはもう遅かった
ミュゼは近づいてきたミラを押し倒して首を締め始めた!
「死ね!死ね!死ね!」
前作…正史では使命でしか動けなったミュゼは仲間のいるミラに嫉妬、そして使命の無い不安定な状態から彼女を殺そうとしたけど、このミュゼの憎しみは異常だ…!
何に対しての憎しみなのか不明な上に、昔は大切にしてきたミラを殺そうとするなんて
元々精霊だから人間らしい心は持っていないって言えば、納得されるかもしれないけど私は……
「あんたは人間を恨んでいるだけなのか何なのか、あたしは知らないけど……例え人間になったとしてもミラは……ミラの心は昔と変わっていないはずだ!それを理解しようとしないなんて…許さねぇ!!」
つい、本気でキレてしまった私はミュゼに向かって鞭で攻撃をすると、ミュゼはこっちを睨んできた
「っ!!」
「いいだろう。お前から先に殺してその力を奪ってやる!」
なんとかミラからミュゼを離したけど、ミュゼはターゲットを私に切り替えて闇の属性の精霊術を放ってきた!
「ルドガー!リルが危ない!」
ルドガーは骸殻に変身して横からミュゼに攻撃したが、ミュゼはすぐに精霊術で防御してルドガーの槍を吹き飛ばす!
「邪魔をするな!」
「ルドガーっ!」
武器の無いルドガーに向かって攻撃しようとしている!
まずい!骸殻でもルドガーが危険だ!私は走ってミュゼの動きを止めようと鞭を振った
お願い届いて!
正に鞭先が当たろうとした……
けど、その前にミュゼの動きが止まる
何が起こったのか、よく見ると
ミュゼの体にさっき飛ばされたルドガーの槍が刺さっている
落ちてきた時偶然刺さったのか?
いや、真横に刺されている
「え?」
「これは…!」
ミュゼも私達も驚いて、後ろを見てみると…
ミラが前屈みになってミュゼの後ろで槍を握っている……つまり、ミラが槍でミュゼを刺したってわかった
「ミラ…!」
「姉さんが……悪いのよ」
「お……前……なんかに……」
「お前じゃない!ミラよっ!」
いきなりの反撃に驚いたけど、その言葉にミュゼは怒り狂うように「ミラァァァッ!」って叫ぶとまたミラを攻撃しようと振り向く!
その拍子に刺さっていた槍が落ちて、ルドガーが素早く拾うとミュゼの背後から心臓へ……時歪の因子を狙って突き刺した!!
「うおおお!」
ミュゼの体を貫いた槍先には黒く禍々しく光る時歪の因子がカチカチと鳴っている
そして…
「あああ……ああ〜〜〜!」
ミュゼは黒い煙のように空中へ崩れ消えていった
「姉……さん」
助けたかった姉が、当然突き刺されて消えてしまって……何が起こったのか理解できないミラは、ミュゼが消えていった空に向かって手を伸ばしたまま呟いて呆然としている
ミュゼが消えた後の時歪の因子は……なぜかそのまま残っていて何故消えないんだろう?って見ていると、やがて白い光に輝く歯車のような部品になった
何あれ…時歪の因子からあんなのが出来るなんて…
「ルドガー、それは?」
「これは…」
ルドガーが説明しようとした時、周りが硝子にひびが入るように砕けそうに…この分史世界が壊れそうになった
じゃあ正史でその部品みたいなのについて聞こうか…
そう思った時
「ミラ!」
この分史世界が砕けて無くなる……
その前にエルがミラに抱きつくのが見えて、周りが暗くなった