貴女にお礼を










「はい、一生懸命作りました〜」




帰ってすぐに料理をしてミラを待たせないようにするため、手っ取り早く出来る物を作った

その料理をテーブルに置くと、ミラはそれをまじまじと見て言う




「夕飯にサンドイッチ?変わっているわね」




はい、ミラの言うとおり。私が作ったのはサンドイッチ

たしかにこれは朝や昼のメニューだけど、それには狙いがあるのだ!




「これなら、包丁とまな板しか使わないからいいかなって」

「どういう事?」

「黒匣を使った料理は嫌……だよね?」




帰る道で、ルドガーの家で昼食を共にした時を思い出して黒匣を使った料理が嫌いではないのか?って思って、使わない料理はなんだろうって考えた時に思いついたのがサンドイッチだった

するとミラは台所を見て少し考えた後、私に言う




「……嫌いってわけじゃないわ。あの時は信じられなかっただけ」

「そうだったんだ!じゃあ、もう1つ何か作る…」

「大丈夫よ。これだけで十分………」




私が色々やっていたのを見ていて、これ以上自分のために何かしてくれるのは悪いって思ったのかミラはそう言って一口食べた




「………」




よく味わっているミラを「食べた感想はどんなのだろう?」って気になってしまい、申し訳ないけどじっと見てしまう

実は何回か作っていて、結構上達したって思ったのがサンドイッチなんだよね。これなら料理が苦手な事がバレないって思った



が……




「…………ねぇ」

「ん?」

「貴女、料理苦手?」

「えぇっ!!何故それを…!?」




まさかの真実をズバッと見破られてしまった!!

う、嘘だろ…!?前よりは上手くなっているはずなのに…!

一体何故、そう思ったのか聞いてみると




「だって、水分の多いトマトを最初にしているし…って言うより、なんでトマトがこんなにグシャグシャなの?」

「これは皮を剥く時に身がくっついちゃって……」

「はぁ?トマトは皮は剥かないわよ?」

「あれっ!?そうだっけ?」

「後、他にも不慣れ感が出ているって思った。…もしかして、サンドイッチ作るのはじめてだったりしない?」

「はじめてじゃないけど……たしかに料理は苦手なんだよ〜」




悔しいけど、改めて自分の料理の出来なさに泣ける…

上達したって思ったのは自分だけでミラや他の人たちからすれば、まだまだ料理下手の称号から脱却できないんだな…

って、その前にそんな粗末なものをミラに出しちゃったよ

どうしよう…ミラ、怒っているかな?

お礼って言っておきながら、こんな風にしちゃったからね

恐る恐るミラを見ると…




「はぁ…それでよく彼氏が出来たものね」

「はははは…ごめん。こんな料理出して」




呆れてため息をついている

怒っている様子ではなかったから、また苦笑いして謝るとミラは台所に行った




「気が変わったわ」

「ミラ?」

「やっぱり、もう1つ作りましょ…ついでに教えてあげるわ」




そう言いながら、冷蔵庫の中にある食材を見て何個か取り出す

……え?




「ミラの…料理?」

「な、何よ。私の料理じゃ不満?」

「ううん、すごく嬉しいよ!ミラの料理食べれる上に教えてもらえるなんて!」




助けてくれた時とか私の家に来る前に「馴れ合いは嫌い」って言ってた彼女はクールなイメージだったけど、こうして誰かのために一肌脱いでくれる時があるんだ!って失礼ながら感動してしまった

そんなミラから料理を教わるなんてすごく嬉しい…って、もしかして、ミラってツンデレ気質かな?

そう言えば、エルとルルにご飯を作ってくれたって聞いたな。実は面倒見のいいお姉さんでもあるのかな?

色々そう思いながら嬉しくて笑っていると、「何ニヤニヤしているのよ。さっさと始めるわよ」って少し照れている様子でミラは私に調理するように促した






























――――――――――――








後日、ミラが後をつけてくる変な人を追い払った日から、もうそんな人は現れなくなった

その事を街中の喫茶店でレイアとノヴァに報告する




「本当にあの時は一緒にいられなくて、ごめん」

「仕方ないよ。2人とも仕事だったし」

「でもよかった〜ミラが何とかしてくれて」

「うん。追い払ってくれただけじゃなくて、料理も教えてくれたんだ」

「えっ!料理?」




料理を教えてもらったことを話すと、レイアは聞いていたようで頷いたけど、ノヴァはすごく驚いた




「そ、そんなに驚く事かな?」

「あ、ごめん……そのミラって人に教えてもらったって事はいくらかマシになったのかなぁ〜って」

「ビシバシと鍛えられたから1つ得意なのが出来たよ」

「何々?」

「野菜スープ」




自信満々に言うと、2人は「なるほど。リルらしい」って笑う

そうだよなー私は目玉焼きとすごく硬めなゆで卵しか作れなかったから、複雑な野菜スープを作れるようになったのは自分で言うのもあれだけど、大きな進歩だと思った




「他にも色々料理してみたけど、野菜スープ以外失敗ばかりで……ねぇレイア。ミラも呆れていたけど、帰ってから疲れていなかった?」

「ん〜そういえば……あんなに料理できない子がいるなんて…って言ってたけど、次も教えようと簡単に作れる料理を模索中だよ」

「えっ!そうなの?」




もう私とはあまり関わってくれないだろうって思っていたから、少し驚く

やっぱりミラはツンデレ…って言うより本来は優しいんだなって思って、次も料理頑張ろうって決意した



……あんまり迷惑かけないように、1人でもちゃんとやらないと。だけど


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