目指せ一番!






あの後、ルドガー達と合流して今受けているクエストの手伝いをする事になったけど……






「さっ………寒ぅ〜〜!!」





はい、私達は真っ白い雪野原…モン高原を歩いています

どうやら、このモン高原にいる魔物の討伐依頼みたいで受けたのはいいけど、今日は風もあって雪が槍のように襲ってくる!

…って、言ってもこの中で私は薄着に分類されるかもしれないから、人一倍寒いって感じるのは当たり前なのかもしれない




「雪は初めてか」

「えっ?」




自分の肩を抱くように寒がる私にそう声をかけてきたのは、この地方の代表でもあり今はリーゼ・マクシア全土の王、ガイアスだ




「えっと……初めてかもしれない…ははは」




本当は見るのは初めてじゃないけど、こんな大雪でかなりの寒さの中を歩くのは本当に初体験

そして記憶喪失設定だからそう曖昧に答えると、ガイアスは表情を変えずにこう言った




「口で息をしない方がいい」

「え?」

「口のみで息をしたり、寒いからだと口で息を吐いて手を暖めたりするのはあまりしない方がいい。ちゃんと防寒具をして鼻で少しずつ息をしていた方が体温を温存できるぞ」

「そっ…そうだったんだ!」




流石、雪国出身!そこで生活している人にしかわからない知識を聞いて、まるで“砂漠では薄着になる方が危ない”って話を聞いた時みたいに目から鱗になる

その時、エルが 「いた!」って言ったのを聞いて指差す方を見ると……結構大きなドラゴンが雪野原でゆっくり歩いていた




「だ、大丈夫かな?」




ギガントモンスターではないけど、見た目から強敵そうだと不安になる

そんな中、一人表情を変えずに長い刀を構え出したガイアスは「あの程度の魔物なら心配いらん」って、余裕そうに淡々と喋ったと思ったら





「飛燕瞬連斬!!」





そう言ったと同時にドラゴンの近くまで瞬時に移動して目にも止まらぬ速さで斬り付け、ドラゴンに気付かれる前にあっさり倒す事ができた!




「えっえええええ!?はっ早っ!強い!!」




もう色んなのに驚いて、単純な言葉しか出てこない

凄いスピードと一撃で倒す強さ…すごい!

ジュード達は元々ガイアスの戦闘能力を知っているから何も言わないし、ルドガーとエルとミラはこの前の分史世界で一緒に戦ったからあんまり騒いでいないけど、流石だなって顔をしている




「リルさんはガイアスさんとご一緒するのが初めてでしたね。あの方はかつて闘技場での大会で優勝した実力を持っているのですよ」

「(そ、そう言えばそんな話をどっかで聞いたような……)」




ローエンからそう聞かされて、これは実際に見て迫力さが伝わってまた驚くものだ。とガイアスの力に圧倒されてしまった

す、すごい人が仲間になったな……この先ガイアスに引っ張っていってもらうRPGになってしまうんじゃないか?って少し笑ってしまいそうになるのを堪えて、依頼達成を報告しにカン・バルクへ向かう































カン・バルクに着いて宿にチェックインすると、ガイアスとローエンは国王としての仕事のためカン・バルク城へ。ミュゼはガイアス達について行って、アルヴィンとレイアとエリーゼは近くのカフェに行く

私はどうしようかな……部屋でゆっくり暖かくなろうかな?って行こうとしたらミラが呼び止めて聞いてきた




「リル、この後何も予定ないなら、私につきあってちょっと近所まで一緒に来てもらえない?」

「ん?いいよ」




せっかくの初カン・バルクだから、部屋に籠っているのは勿体ないって思い直した私はミラの誘いを受ける

ミラについて行って外に出ると依頼の報告し終わったルドガー、エル、ルル。そしてジュードがいた




「人が揃ったところで……出かけるから、さっさと支度して」

「ミラさん、行き先くらい教えてくれても」




そう、何につきあうのか聞いていなかったから、「ちょっと近所」って言葉にカン・バルクの街中かと勝手に思っていた



…………が




「何しに?」

「“クマの手”を撮りに!」

「ク……“クマの手”!?」




エルが細かい目的を聞くと驚く内容が返ってきた!クマの手を撮りにって……み、店で売っている食材であってほしいけど、どう考えても“撮りに行く”って事は外に…




「クマ!クマに会えるの?」

「そう。近くに棲息してるって聞いたの。知ってる?“クマの手”って高級食材で、いいダシがとれるのよ」

「そのクマ、もしかしてノール灼洞にいるっていう……?」




ジュードの問いに自信満々に頷くミラ。それを見たエルはジュードに聞いた




「知ってるの?クマ、モコモコ?」

「う〜ん……クマというか、凶暴なクマの魔物――だよね?」

「きょ、凶暴なクマ…!」

「そうよ。だから、こうやって頼んでるんじゃない」




ああ、やっぱり街の外だった!しかも凶暴とかなんか大変そうだ…

今さらやっぱり行かないっては言わないけど、また寒くなるなぁ

ん、でも待てよ。ノール灼洞って火の洞窟だったはず……あ、じゃあずっと寒いわけじゃないから大丈夫か

なんて単純に考えていると、ルドガーが「急すぎるお誘いだな…」って、少し困った様子だ




「あなたの臨機応変さが試されているのよ。協力するって約束した二番さん?」

「(二番さん?)」

「はぁ…そう言えば約束してたんだっけな…わかったよ」

「じゃあ、決まりね。行くわよクマ狩り!」

「クマ〜!」





ルドガーに対して二番さんとか言ったり、クマの手をどうするのかわからない等、何がどうなのか把握しきれていないけど…

この前までミラ=マクスウェルとの関連で考えたくない可能性に気付いてショックを受けていたミラがいつものように元気になっている

それが私にとっては嬉しいから、私は何も言わずに同行することにした



「ちょっと心配だけどね。ね〜?ルル」

「ナァ〜……」



なんてルルに話しかける私はこの時知らなかった。この後あんなドタバタになるとは……!


























――――――――――――









「噂だと、この辺りにいるはずなのよね」




洞窟の中央部分の広い空間に来てそう言ったミラだけど、周りは岩だらけでクマらしき生物は見当たらない




「じゃあ、手分けして探そう」




ここでジュードの提案で、皆お互いが見える範囲内でバラバラに分かれて探す

私はエルとルルの近くに行って、何かあった時のために武器を構えようとしたら…

鞭が無くて一瞬驚く。ああ……たしかオーディーンとの戦いで使い物にならなくなったから捨てて新しいのを探していたところだった。それを思い出して代わりに短剣を持った




「いた?ルドガー?」

「いや、こっちにはいない」




エルが遠くにいるルドガーに手を振って聞いて、すぐにそっちに行こうとしたから「急ぐと危ないよ」って一緒に行くと…




「きゃっ!」

「ミラ、危ない!」




なんと、予想していたエルではなく、ミラが転びそうになった!

ルドガーも慌てて支えようとしてるけど、間に合うかどうかわからない




「ミラ!!」




私も腕を伸ばしてミラを支えようと前に走る



そして



私がルドガーよりも早くミラを支える事ができた!………と、思ったら



倒れてきたミラの力に負けてしまい、結局は二人一緒に地面に転んでしまった




「うぅ…リル、大丈夫!?」

「だ、だ…大丈夫だよー…ミラは?」

「おかげ様で大丈夫よ。全く、無理しちゃって」

「ははは…ごめんね。かっこよくその場で止めたかったなぁ」




ミラに怪我がなくてよかった〜って呑気に思っていると、ミラが手を差し伸べて立ち上がらせてくれた

なんか、私の格好がつかないけど…嬉しい。お礼を言うと「馬鹿ね」ってミラもどこか嬉しそうに笑っている

なんだか和やかムード……って言いたかったけど、私達の前にいたジュード、エル、ルドガーは凍りついたような固まった表情で何かを一点に見つめ、ルルは威嚇していた



……あれ?




「ど、どうしたの…皆?」

「ミラさん!リル!」

「う、後ろっ!」

「……え!?」

「ん?」




ミラと一緒に後ろを向くと…



トゲみたいな体毛の大きな獣が二足で立っていて、手に生えている鋭い爪を私達に向けていた!




「うっうわあああああああ!!」

「こいつがクマなのか!?」

「そ、そう!こいつよ!」




ルドガーの問いに少し慌てた様子で答えるミラ

あ、あれがクマ……クマって言うよりパッと見にヤマアラシみたいな外見だけど、凶暴そうなのは間違いない!




「奇襲とは卑怯よ!」

「モコモコじゃないよ、ミラー!?」

「だから言ったのに……」

「う、うるさい!やるわよ!」




不意打ちな上にエルからは自分の想像していたクマじゃないと言われ、ジュードからは凶暴だから気をつけてって言ったのに…と呆れられてしまい、なんだかてんてこ舞い状態になったミラはとにかく剣を取り出しクマに戦いを挑んだ!

続いて私達も、それぞれ武器を構えてクマに向かった


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