生活費と彼の心配



放課後のチャイムとやらが鳴って改めて自分が掃除してきたの一望すると、だいぶ本一冊一冊は拭き掃除のおかげで綺麗になったのを見て満足した

次は手前の本棚三つ分だなって思ったのと同時に本当に自分は兵長化してきそうで、そうならないようにちょっとは手を抜かないとな。なんて苦笑する


そして決められた時間になると、鍵をして図書室を出る

そこには昼休みほどじゃないけど、やっぱ数人の高校生が俺を見に来ていて「あの、なに人ですか?」とか聞いてきた。それに対して笑って誤魔化して何も答えずに職員室に行った

なにじん?どういう事だろう?後で翔君に聞くか

そう思って、図書室の鍵を返して先生達に「お先に失礼します。お疲れ様でした〜」って言って玄関に向かう

その時に俺は翔君達の部活している所を見れるかな?って期待しながら外に出ると…


丁度、校門前にいたところを見つけた!




「あ、いたいた。これから町中走るのー?」




そう大声で聞きながら近づくと、翔君以外は「あ、ユーリィさん!仕事終わったん?」みたいな感じなんだけど…




「何しに来たん?さっさと帰らんの?」




翔君だけは来るなと言わんばかりに嫌そうな目で見る。ま、予想通りというか、お決まりだけどね




「前から言ってんじゃん。翔君の走るところ見たいって!ほら、今回は仕事終わって外に出たら、たまたま翔君達がいたってやつだから見たいからって待ち伏せしてたとかじゃないよ!だから……いいだろ?」

「君ほんま、しつこいな……そんなに見たいん?」

「えっ?うん!」




負けずに今日改めて練習を見ても良いか?って聞くと、翔君は嫌そうな顔からキョトンとした表情になって本当に見たいのか聞き返してきた

え?まさか何度もお願いしてたから、ここで折れてついに良いって言ってくれるのか?そう期待して、勿論って頷く




「けど、どうやって見るん?」

「え、どうやってって……」

「その場で立っていても、僕らの走っとるとこをちゃんと見れんの?」

「……あ」




そうだった。ロードで走りに行くんだから、その場で見るって行っても遠くに行ってしまって、やがて見えなくなる……それに今更気づくと翔君は「はぁ…」って溜め息を吐く




「やっぱよう考えないで言っていたんやな。僕らは長い距離を走るんから、待ちくたびれてしまうで……」

「あー!あー!そ、そうだ、そうだ!!考えがあるんだ!」

「っ!?…うっさいわ!いきなり騒ぐな!」

「何思い付いたんすか?」




翔君から呆れられてしまいこのままだとまた早く帰れって言われてしまいそうな時、俺はある事を思い付いたと言って、翔君達を校門に待たせて……自転車を取りに行って戻ってくる




「これ!俺も自転車に乗って皆について行って見る!」




この俺の発言には皆「はぁ!?」って言って驚いた




「ユーリィちゃん……ロードとママチャリは違うって理解してはるよな?まさか僕らに君に合わせてゆっくり走れ言うん?」

「いや、その必要はない。皆はいつも通りに走って。俺が皆についていくから」

「ま、待って下さい!普通の自転車じゃ追い付けない上にスカートのスーツを着た状態でスピードで出す走りは危険や!」




聞いていた石垣君がそう言って止めようとすると、他のメンツも次々に「流石にそれは、マズイです!」とか「ユーリィさんが俺らの通るコースの何処かで先に行って待っていれば、見れるんとちゃいますか?」とか言っていると…




「……なら、来れるもんなら来てみぃ」

「御堂筋っ!?」

「ただし、無理やと思ったらそのまま大人しく帰るんやな」

「本当?ありがとっ!じゃあ、それ約束するからついて行く!」




俺はようやく許可が出た嬉しさと、翔君や皆の走りが見れる楽しみで純粋に喜んで、皆と校門前にスタンバイする






「おい!御堂筋…君。なんで止めんのや!?」

「ファ?聞いていたやろ。本人がどうしても行きたい言うたから」

「だとしても、あの人は親戚なんやろ?身内が危険な目に遭ってもええんか!?」

「石垣クゥン。決まった事に対して後からうるさく言うんやめてくれる?」

「なっ…!?」

「……大丈夫やと思うで。どうせ追い付いて来れへんから、早々に諦めて帰ると思う」

「だと……ええんやけど」

「君が心配する事無いわ……ほな、行こか」




翔君は石垣と先頭で何か小声で話しているみたいだけど、どうせ俺が一緒にいて良いのかって話だろう




「あの。もしあれでしたら……俺、横にいて少し押しましょか?」

「井原、それセクハラになるで」

「いや!変なとこは触らんよ!」

「それでもなるわ」

「井原さんは存在自体がわいせつ物ですからね」

「なんだと?ヤマ、お前……!」

「アハハハッ……大丈夫だよ。ありがとう」




井原君が俺を気にしてそう言ってくれたのは気を遣ってくれて嬉しいけど、辻君の言う通り変なとこ触られたら大変だし、もし翔君に見つかって井原君が怒られたら嫌だから俺は断る

にしても、ごめんなさい。山口君の井原君は存在自体わいせつ物って発言に酷いと思いつつ笑ってしまった

水田君は俺と翔君を交互に見て、俺を手助けしようか翔君の言う事聞いて走りに集中しようか悩んでいるみたいだから「大丈夫だよ!」って言うように、何かかしらのジェスチャーを送ると先頭の翔君が走り出して皆は後を追う



まずは“普通に”自転車を漕いで皆とのスピードを合わせる。出だしはよかったから、最初はなんとか一番後ろの辻君と並ぶようになっていたけど、段々差が出てきたからもっと強く漕ぐ

スーツのスカートだから、あまり足は動かせなかったけど結構頑張って速くしているつもり……だったけど、ものの数分後には俺は皆から離された




……フッフッフッ。仕方ないな。俺はある物を持ってきてるから、朝の時みたいに追い付いてやるさ!